『Nothing Headphone (1)』はデザイン×音質×静音のどれもが秀逸 オシャレと性能を両立させた最強なヘッドホン

 『Nothing Phone (3)』のレビューをしている時、実はスマホを取り出すたびに小さな優越感を覚えていた。透明な背面、独特のデザイン。友人の前で使っているだけで「それ、何のスマホ?」と聞かれることもしばしば。

『Nothing Phone (3)』で五島を旅して気づいたカメラ性能の凄さ AI補正のおかげで撮って出しでも“伝わる”写真に

透明な背面と非対称なカメラ配置が特徴的な『Nothing Phone (3)』。ビジュアルは申し分ないが実際のところ、普段使いに…

 そんな『Nothing Phone (3)』と同時に発表されたのが、『Nothing Headphone (1)』だ。発表会の映像を見た瞬間、「これは揃えるしかないだろう」と思った。スマホと同じ世界観を持つヘッドホン。デザイン的な統一感もさることながら、性能面でも評判は聞いていた。でも実際のところどうなのか? 『Nothing Phone (3)』とあわせて『Nothing Headphone (1)』を連れて、長崎~五島列島への旅に出ることにした。

 正直に言うと、ここ数年ヘッドホンを使う機会がめっきり減っていた。最近のイヤホンはノイズキャンセリング技術が進化しているし、コンパクトで持ち運びも楽。わざわざ大きなヘッドホンを選ぶ理由が見つからなかったのだ。久しぶりにヘッドホンに期待するものって何だろう? 音質か、静音性か……そんなことを考えながら、『Nothing Phone (3)』と『Nothing Headphone (1)』を鞄に詰め込んだ。

まず驚いたのは、圧倒的なデザイン性

 届いた『Nothing Headphone (1)』を開封して、改めてこのビジュアルに心を掴まれた。透明な楕円形のパーツが特徴的で、内部構造が見える独特のデザイン。『Nothing Phone (3)』と同じく、所有欲を満たしてくれる佇まいだ。

 持っているだけでおしゃれ。身につけているだけでおしゃれ。学生の頃、ファッションの一環としてヘッドホンを首にかけて街を歩いていた記憶が蘇る。あの頃の、ヘッドホンを「身につけたい」という感覚、『Nothing Headphone (1)』はそんな懐かしいおしゃれ欲を刺激してくれる。

ソフトケースはシンプル

 装着感も申し分ない。しっかりとしたクッションが耳を包み込み、長時間つけていても疲れない。重さも気にならず、首への負担も少ない。これなら長時間のフライトでも問題なさそうだ。

 そして驚いたのが、奇抜なデザインなのに妙に服を選ばないこと。一見すると主張が強いヘッドホンに見えるが、実際に身につけてみると洗練されたミニマルさがある。テッキーなポリエステル製の服を使ったコーディネートにも、オールブラックでまとめたスタイルにも、絶妙なアクセントとして機能する。むしろどんな服装にも合ってしまう懐の深さがあった。

飛行機内で真価を発揮した静音性

 さて、長崎への旅。『Nothing Headphone (1)』が最も活躍したのは、やはり飛行機の中だった。

 ジェットエンジンの轟音。これはヘッドホンにとって最大の試練だ。イヤホンのノイズキャンセリングでは、重低音はどうしても貫通してくる。果たして『Nothing Headphone (1)』は、この轟音に勝てるのか?

 離陸後、ノイズキャンセリングをONにした瞬間、世界が変わった。

 静かだった。驚くほど静かだ。エンジン音が見事に消え、機内の喧騒もほとんど気にならなくなる。耳への密着感がしっかりしているので、物理的にも音がカットされているのが分かる。そしてノイズキャンセリングをONにするとき、人の呼吸音のようなサウンドエフェクトが鳴るのだが、これが不思議と静音空間への没入感を高めてくれる。

 専用アプリ『Nothing X』との連携も便利だった。外音取り込みモードに切り替えれば、CAさんとの会話もヘッドホンを外さずにできる。しっかりと外の音を取り込んでくれるので、わざわざ脱着する手間がない。

 他社の有名ヘッドホンもいくつか使ってきたが、ノイズキャンセリング性能は負けず劣らずだ。むしろこの価格帯では、かなり優秀な部類に入ると思う。轟音環境でもリラックスできるのは、長時間フライトにおいて何よりの価値だった。

音質も期待以上だった

 静音性だけでなく、音質も素晴らしかった。筆者は女性ボーカルの曲を聴くことが多いのだが、『Nothing Headphone (1)』はどうやら中高音域が得意なようで、ピッタリとマッチした。透明感のある歌声が、クリアに耳に届く。

 かといって特定の音域に偏っているわけではない。低音もしっかり出るし、どんなジャンルの曲もフラットに聴かせてくれる。長崎へ向かう機内でクラシックを聴いたり、Netflixで映画を観たり。様々なコンテンツを楽しんだが、どれも満足のいく音質だった。

音量調整のホイールや曲送りなども直感的で使いやすい

 五島列島では海が見えるホテルに泊まったのだが、ここであえて外音取り込みモードを試してみた。ベランダに出て、波の音を聴きながら音楽を流す。自然音と音楽が絶妙に混ざり合い、なんとも優雅な時間を過ごせた。『Nothing Headphone (1)』は、単に音を遮断するだけでなく、環境に合わせた使い方ができる懐の深さがある。

旅行後も手放せなくなった

 旅行から帰ってきてからも、『Nothing Headphone (1)』は日常に溶け込んでいる。電車内での移動時、カフェでの作業時。気づけば毎日のように使っている。

 イヤホンとは違う没入感、そして何よりこのデザイン性。持ち歩くのが楽しくなるガジェットというのは、実は貴重だ。機能だけなら他にも選択肢はあるかもしれない。でも所有する喜びまで含めて考えると、『Nothing Headphone (1)』は間違いなく特別な存在だ。

 ガジェット好きはもちろん、旅行好きにも、おしゃれを楽しむ全ての人にもおすすめできる。今のところ個人的には最強のヘッドホンだと思っている。デザインと性能、その両方を妥協したくない欲張りな人に、ぜひ手に取ってほしい一品だ。

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