『FFXIV』公式バンド THE PRIMALSが到達した“ロックの聖地” ゲストを迎え特別演出で魅了した初の日本武道館公演
ザ・ビートルズに始まり、ディープ・パープル、クイーン、ガンズ・アンド・ローゼズ、ボン・ジョヴィ、エアロスミス……海外の有名ロックバンドが数多く来日公演を行ったことで、“ロックの聖地”と呼ばれた日本武道館。そんな時代にロックの洗礼を受けて育ったTHE PRIMALSのメンバーたちにとって、武道館は特別な場所。“『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)公式バンド”である以前に、体の奥底に流れるロックの血が、きっと煮えたぎった一夜だったことだろう。
サウンドディレクターの祖堅正慶(Gt/Vo)を中心に、マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(Vo)、GUNN(Gt)、イワイエイキチ(Ba)、たちばなテツヤ(Dr)のメンバーで活動するTHE PRIMALSが、7月から全国のZeppを巡ったツアー『THE PRIMALS Dark Decades Tour』の追加公演を9月29日と30日、日本武道館にて開催。千秋楽となった30日の公演は、特別なセットリストでツアーを締めくくった。
『暁月のフィナーレ』『黄金のレガシー』楽曲を畳み掛けた序盤〜中盤
ツアーのこれまでの様子やバックステージのメンバーの様子などが映し出されたオープニング映像に続いて、鋭いギターが唸りを上げるあ。1曲目「此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~」で、THE PRIMALS初の日本武道館公演の2日目が幕を開けた。
最初のMCで「ヒカセン(光の戦士=ファン)に負けないように!」とお揃いのスーツを新調してきたと話した祖堅正慶(Gt/Vo)。「THE PRIMALSはロックのライブなので楽しみ方は自由です。とは言え千秋楽。高火力で頼むぜ!」と声をかけ、続けて「Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」「White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」と、序盤は『FFXIV 暁月のフィナーレ』の楽曲を畳みかけ、会場を早くもアツく盛り上げていった。
続いて『FFXIV 黄金のレガシー』編に突入。まずは、ツアーを通してのちょっとしたお遊びコーナーを設けた祖堅とGUNNによる「Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトへビー級~」でファンを楽しませた。「ご当地Bee My Honey」と題し、サビのキメで何を叫ぶかを会場ごとに決めてきたこのコーナー。THE PRIMALSのライブでは恒例となった、客席で観賞するスクウェア・エニックスの吉田直樹氏にコメントを求める形で参考意見を聞くことになり、開口一番「僕のマイクはありませんか?」の吉田の一言に、「あるわけないだろ!」と祖堅がツッコみ、会場が爆笑で包まれた。そんないつものやりとりを経て、鶴の一声でこの日は候補にもなかった「祖堅」に決定。『黄金のレガシー』でお馴染みのキーアイテム・レギュレーターを頭に付けた祖堅とGUNNが、可愛らしいポップナンバーを歌うという違和感もさることながら、会場が〈祖堅!〉と何度も叫ぶという異常事態に観客は大いに沸いた。
続く「Ride the Rhythm ~至天の座アルカディア:クルーザー級~」では、サングラスをかけた祖堅が、ギラギラのジャケットを身につけ、会場にはミラーボールが回り、武道館は『サタデー・ナイト・フィーバー』状態に。その後も「どんどん階層を上げて行こう」と言って、『黄金のレガシー』のストーリーになぞらえて曲を繰り出していった。
中盤にはゲストとして、ヒゲとテンガロンハットがトレードマークのジェイソン・チャールズ・ミラーが登場し、「Unleashed~至天の座アルカディア:クルーザー級~」を太くも美しい歌声で披露して魅了。今回のツアーで同曲は、武道館のみでの披露となった。そんな特別なセットリストに観客は大興奮。また、エモーショナルさあふれるミディアムチューン「Close in the Distance」は、ロックバラード然とした楽曲の雰囲気やスケール感も相まって、武道館を感動で包み込む。今の海外のアーティストにとっても日本武道館は特別な存在のようで、ジェイソンは「また日本に戻って来られて、しかもこんなにも素晴らしい景色が観られて最高です!」といった思いを英語でコメントして会場を沸かせた。
また、毎回ゲームになぞらえた特別な導入でファンを楽しませる「Shadowbringers」は、日本武道館仕様の新たな演出が施され、「なら……魂ごと、持って行け!」というお馴染みの決め台詞をきっかけに演奏がスタート。ダークでありながらアツさや荘厳さも感じさせる同曲。間奏でバイオリニストの伊藤友馬が登場し、ジェイソン、伊藤を加えたフルスペックで同曲を披露すると、会場は大歓声に包まれた。祖堅は「『Shadowbringers』のフルバージョンがずっとやりたかった。それを晴れて武道館でやれたことがうれしい」とコメント。続けて「守護神にちなんだ曲を」との伊藤の曲紹介によって、ライブで定番となった「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」を披露。ゲームでは茅野愛衣がボーカルを務めた流麗な同曲もTHE PRIMALSの手にかかればアツく奮い立つようなロックに変身してしまう。そんな楽曲を、武道館で聴くということにもどこか感慨深いものがあった。