眠れない夜に寄り添える“居場所”になるために——「EchoVerse」新人VTuber・花依よるは独占インタビュー

 インフルエンサーやメタバースなど、チャレンジングな新規事業を重ねてきた大丸松坂屋百貨店が、2024年から始動したVTuberプロジェクト『EchoVerse』。その最初の一歩となる、VTuber・花依よるはのデビュー配信が、9月27日20時からスタートする。

 歌うこととゲームが大好きで、のめり込んだら止まらない“オタク気質”な一面を持つ花依よるは。イラストレーター・森倉円が手掛ける可憐なルックスで、正統派とも言える、EchoVerseにとって第一号となるVTuberが、VTuber文化への理解と情熱を持つ運営チームとともにデビューを果たそうとしている。

 さて、「百貨店のVTuberプロジェクト」から誕生した、いささか稀有なこのVTuberは、いったいどのような人物なのだろうか。デビューを間近に控えた花依よるは本人に、デビューまでのいきさつや、これからの活動にかける想いを伺った。(浅田カズラ)

歌や芝居に自信あり 好きなことは「小さな幸せ探し」

――まずは、読者に向けて自己紹介をお願いいたします!

花依よるは(以下、花依):はじめまして、EchoVerse所属VTuber・花依よるはと申します! 誕生日は4月8日です。呼び方は、リスナーの皆さんに決めてもらいたいです。初配信の時に、みんなで一緒に考えられたらいいなと思います。

 ハッシュタグは、全体タグが「#花依よるは」、ファンアートタグが「#最高よるはピクチャー」です。ファンネームは呼び方と同様に、初配信でリスナーのみなさんに決めてもらおうと思います。みなさんのお気に入りの名前になれば嬉しいです!

――好きなことや、一番自信があることはなんですか?

花依:楽しいことや、小さな幸せを探すことが好きです。自信があるのは、歌やお芝居などの、表現に関することです!

――最近はどんな「小さな幸せ」を見つけましたか?

花依:自分はガジェット好きだと気付いたことですね。初配信に向けて、マイクなどの機材に関する情報を集めては、ニヤニヤしています(笑)。配信用のパソコンも、デビューに向けて自分で組んだんですよ!

――ご自身でPCを組んでいるのはすごいですね!  差し支えなければ、PCスペックの一部を教えていただけますか。

花依:組み立ては少し前だったのですが、配信用なので、それなりに高いスペックが必要だと思い、当時のハイエンドラインに近いパーツを揃えました。グラフィックボードは『GeForce RTX 4070』を積んでいます。CPUも含めて、安定して動かせる構成にしてあります。

――ご自身の姿(キャラクターデザイン)について、好きなポイントや、こだわりをこめたところなどはありますか?

花依:一つは、瞳の美しさですね。お仕立てを担当してくださったイラストレーターの森倉円先生に、「瞳の美しさや色彩の鮮やかさがすごく好きです!」とお伝えしたところ、「私もお気に入りなんです!」と返していただいて。意見が一致して嬉しかったです! あとは、好きなお花をモチーフにしたヘアピンもこだわりの一つです。

――ヘアピンはどんな花がモチーフになっていますか?

花依:デルフィニウムです。私が一番好きなお花をモチーフとして取り入れてくださいました。もともと、ネモフィラなどの青いお花が好きなのですが、その中でもデルフィニウムは可愛いし、花言葉もポジティブな意味が多くて、特に好きなお花なんです。

眠れない夜に出会った、あるVTuberのようになりたくて

【9月27日初配信!】花依よるは / Hanayori Yoruha ティザー【 #新人VTuber 】

――花依さんはなぜ、VTuberになろうと思ったのでしょうか? ティザームービーでは「あの配信が私に願いをくれたから」と発言されていましたが、どんないきさつがあったのでしょうか。

花依:ある時期、いろいろなことで悩み、漠然とした不安から眠れない夜が続いてしまったことがあって……。そんな中、深夜にふとYouTubeを開いたら、その時間でも配信しているVTuberさんがいたんです。

 もともとYouTubeはあまり観ていなかったのですが、その配信が当時の自分には驚くほど刺さって。夜って、みんな寝てしまうから、どうしても寂しさを感じてしまいますし、変なことを考えやすいじゃないですか。けれども、こんな深夜でも、不安な気持ちを忘れさせてくれる“ライブ感のある居場所”があるんだと知って、私も誰かにとってそういう存在になりたいと思ったのが出発点です。

――眠れない夜に、心を救われた体験があったのですね。ちなみに、その時にご覧になったVTuberはどなたかおぼえていますか?

花依:それがおぼえていなくて……! ある意味では恩人なのに、いま名前を思い出せないのが心残りです。

――今後の活動の中で、ふと思い出す瞬間があるといいですね。

花依:そうですね! いつか、お礼を言いたいと思っています。

――恩人とも言えるVTuber以外に、いま好きなVTuberや、尊敬しているVTuberはいますか?

花依:ぽこピー(甲賀流忍者!ぽんぽこ、オシャレになりたい!ピーナッツくん)のお二人や、hololive DEV_ISの轟はじめさんが好きで、動画や配信も拝見しています。

 エンターテイナーとしては、にじさんじの不破湊さんを尊敬しています。トークや企画でリスナーさんを楽しませる力がすごいですよね……!

「大手にはない“未知”が待っていそう」――EchoVerseの募集に応募したワケ

――VTuberになる方法はいろいろありますが、花依さんはオーディションからのデビューを選ばれました。そして、数あるオーディションの中でも、大丸松坂屋百貨店のEchoVerseに応募されました。EchoVerseを知り、オーディションを受けようと思ったきっかけを教えてください。

花依:SNSの広告や、リアルサウンドテックさんの記事を見て、「大丸・松坂屋がVTuber事業を始めるんだ」と興味を持ったのがきっかけです。新しいプロジェクトということで、大手事務所にはない“未知”が待っていそうで、絶対に面白そうだなと感じたんです。ちょうど、自分のもとにも転機がきて、楽しいことを探していたこともあり、ダメ元で応募してみました。

――オーディションを通過していく中で、印象に残っている出来事はありますか。

花依:とにかく新鮮なことの連続だったのですが、特に配信審査は心臓がバクバクでした。配信を一度もやったことがなかったので、前日には友人などに手伝ってもらい、音量の確認など細かく準備して審査に臨んだんです。そしたら、ダメ出しどころかすごく褒めてくださって。自分では反省点が多かったのですが、まさかの評価に「あったかいなぁ」と感じました。

――どんなところが褒められたか、思い出せる範囲で教えてもらってもいいですか。

花依:自信のあった歌にくわえて、話すときのワードチョイスが面白いと褒めていただきました。自分ではちょっと苦手だと思っていた喋りの部分を評価されたことは、嬉しかったですね。

――VTuberとしてデビュー準備を進めていく中で、わからなかったことや、「こんなことが必要なんだ」と驚いたことはありますか?

花依:たくさんありますが、YouTubeのショート動画で出している「歌ってみた」動画は、苦戦しましたね。特に、カメラ映りですね。可愛いと思ってもらえる見せ方には苦労しました。頭を動かしすぎて頭痛になったこともあります(笑)。

 ショート動画の編集は自分でやっているのですが、動画編集も未経験だったので、いまも『Premiere Pro』を触りながら勉強中です。ショート動画は特に“映える”見せ方が重要なので、研究を続けています。

――リアルサウンドテックの記事ではEchoVerseの担当者・春田真里奈さんの「VTuber愛」など、詳しく話を伺っていました。春田さんにはどんな印象をお持ちですか?

花依:応募前にインタビュー記事を読んでみて、「この人、“理解(わか)ってる”人だ」と感じました(笑)。VTuber文化への理解や熱量がにじみ出ていて、「この人についていったら絶対に楽しいことが待っている」と直感しましたね。そのうえで、いつかタメ口でフランクに話しかけてほしいなって思っています(笑)。

大手百貨店の社員が“VTuber運営”になるまで 大丸松坂屋百貨店「EchoVerse」担当者に聞く、プロジェクト始動秘話

大丸松坂屋百貨店は、2024年11月にVTuberプロジェクト「EchoVerse」を始動。2025年春より、VTuber事業へ…

そのままの自分でいいんじゃないか――「花になって」カバーの理由

――花依さんは歌がお好きで、自信もあるとのことですが、「歌うことが好きだ」と自覚した、最初のエピソードのようなものはありますか。

花依:明確なきっかけは思い出せないのですが、昔からカラオケは好きでしたね。一人で行ったり、家族で楽しんだり。ただ、人前で歌うなんて考えたこともない性格だったので、あくまで自分の小さな世界での楽しみという感じでした。いまも、その延長で歌い続けているような感じですね。

――なるほど。実際にショート動画で歌ってみたを公開して、人に聴いてもらった感覚はいかがでしたか?

花依:とても緊張しましたね。「受け入れてもらえるかな」「コメント来るかな」と不安でした。でも、いざ公開してみると温かいリアクションが多くて、何度も繰り返し聴いてくださる方もいて、本当に嬉しかったです。

――歌の中で得意なジャンルや、好きなジャンルはありますか。

花依:聴くのはジャンルを問わず何でも好きです。普段からボカロ、アニソン、ポップス、ロック……いろいろ聴くので、基本的にジャンルレスです。歌うとなるとマイナー調や少し暗めの曲が好きですね。表現力を試される曲を歌うのに燃えるんです。

――得意領域以外でも、様々な歌動画を発表したり、歌枠で歌ってみたい気持ちはありますか?

花依:あります。リクエストも募集しようかと思っています。どんなものがくるかわからないですが、ジャンルレスに挑戦していきたいですね。

――ちなみに、普段あまり歌わないジャンルってありますか?

花依:ラップです。憧れはあるんですけど、滑舌が追いつかなくて(笑)。もしリクエストが来たら焦っちゃうかもしれません!

――ちょうど本日初のフル尺歌ってみた動画として、緑黄色社会「花になって」のカバーが公開されました。この曲を選んだのはなぜでしょうか?

花依:誰しも「自分って何なんだろう」と迷走する時期があると思います。私もその時期になった時、TVアニメ『薬屋のひとりごと』のオープニングテーマとして流れていた、この曲に出会いました。

 そしてこの曲を聴いた時、「そのままの自分でいいんじゃないか」と、処方箋をもらったような気持ちになったんですよ。だからこそ、自分のVTuber活動の指標になってほしいという思いを込めて選曲しました。

【歌ってみた】『花になって』 / 緑黄色社会 (花依よるは / cover)Ryokuoushoku Shakai – Be a flower

――原点に立ち返る一曲なのですね。ふと思ったのですが、「花になって」という曲名と、「花依よるは」というお名前には、「花」が共通点として重なっています。選曲のきっかけの一つだったりしますか?

花依:その通りです! そして、それ以外にもいくつか意味をかけた選曲になっています。

――まさに出発点にふさわしい歌ってみたデビューとなりましたが、歌を通して今後どんなことを表現していきたいですか?

花依:ポジティブに引っ張っていくよりは、「君は君のままでいいよ」と寄り添える、隣に立つ友達のようになりたいです。癒しや笑顔を届けられるように、そんな想いを歌に込めて表現できたらなと思います。

 あと、ゲームが大好きなので、好きなゲームの劇中歌担当など、音楽とゲームが交わる活動にも挑戦したいですね!

関連記事