笑い合い、言葉を交わす姿に感じる“放課後感”――「放課後 GAMING LIFE」に映る青春の一幕

 小学生の頃、友達の家に集まってゲームをしていたあの時間。夕暮れに響く笑い声、ゲーム画面に釘付けになって盛り上がった放課後。STARTO ENTERTAINMENTのアイドルから選抜されたメンバーが送るYouTubeチャンネル「放課後 GAMING LIFE」は、そんな懐かしさを呼び覚まし、画面の向こうで笑う彼らに、かつての自分の姿を重ねてしまう。本稿では“放課後感”を強烈に呼び起こした動画をピックアップし、本チャンネルの魅力に迫っていく。

“犬猿の仲”のやり取り、見守る母親的な存在から感じる“放課後感”

 「放課後 GAMING LIFE」というチャンネル名は、改名時にメンバーで相談し決定。告知動画でHey! Say! JUMPの有岡大貴は「放課後みたいな雰囲気で今後も配信していく」とコメントしている。

 筆者はもともとSTARTOのアイドルが好きだ。またゲームも同じくらい好きであり、彼らがゲーム実況をスタートすると聞いて歓喜した記憶がある。いざ視聴してみると、地上波バラエティを経験した彼らのトーク力は折り紙付きでゲーム実況にも安心感があった。なにより、学生時代に友人の家に集まり、ゲームで遊んでいた“放課後”の懐かしい記憶を思い起こさせてくれた。数ある動画の中から、特に“放課後感”を感じた2本を紹介したい。

メンバー総勢16名(当時)の中で『マリオカート』が一番強いのは誰なのかを決め、予選は「グランプリ」モードに1人ずつ挑戦し、総合得点を競い合っていた(<予選#11>重岡大毅【JGRマリオカート最強王決定戦】)

 WEST.の重岡大毅が『マリオカート8デラックス』をプレイ。彼の応援として同グループの藤井流星、神山智洋が出演している回だ。

 同期で“犬猿の仲”と言われている重岡と藤井が終始ギャーギャーと喧嘩を繰り広げ、その横でニコニコと神山が笑っている。その構図がなんとも微笑ましい。その様子はまるで小学生がワチャワチャと家に集まりゲームを楽しんでいるような雰囲気だ。

 重岡がゲームでスタートダッシュを決められなかった時、藤井が「残りカスみたいなダッシュ」とボソリと言う。それを聞いた重岡は「何が残りカスみたいなダッシュや!」と反論。順位が下がってしまった藤井を重岡が煽ると、藤井は「うるせーコイツ」とうれしそうに怒る。

『マリオカート8デラックス』公式ページより

 その後、順調に1位になった重岡は、7位の藤井が口を開くやいなや「どうした7位?」と煽る。「予選落ちの7位コメントある?」と重岡が追い打ちをかけると、藤井から「メンバーじゃなかったら友達やめてるわ」と言われてしまう。重岡はその答えを予想していたかのように大笑い。少し生々しいやり取りではあるが、幼い頃は誰もがこういう売り言葉に買い言葉な経験をしたことがあるのではないだろうか。

 こうした軽口を叩くふたり、それを見守る母親のような神山の姿に、友達同士で『マリオカート』をプレイした“放課後”を思い出す人もいるだろう。“犬猿の仲”のふたりの咆哮にスタッフも一緒に笑い、終始笑いが絶えない回になっている。

笑いと懐かしさが交差する『もじぴったん』回に映る“放課後感”

 続いては、Hey! Say! JUMPの有岡、WEST.の重岡・藤井・神山が出演する『ことばのパズル もじぴったんアンコール』回だ。

文字を組み合わせて言葉を作るパズルゲーム。空白マスに文字を入れてたくさん言葉を作っていく(ミラクル期待のことばパズル対決!【もじぴったん】)

 リードを広げる対戦相手・藤井に話を振り、気を逸らそうとする重岡。その作戦も虚しく負けた重岡は、少年のように意地を張りコントローラーを離そうとしない。その様子を見た藤井が思わず「昔こういうヤツおった」と、重岡を指差す。有岡も「意地でもコントローラー離さない子」と自嘲気味に返す。この何気ないやり取りが、あの時の“放課後”を強烈に思い出させてくれた。

 本動画で“放課後感”を強く感じたのは、動画の7分辺りだ。ゲーム内で「おまえいえ(お前家)」という文字列ができる。それを見た重岡が「おまえ家(いえ)、ウーロン茶ある?」と、リラックスした姿勢で発した。これを聞いた3人は、その言葉に同感するかのように爆笑する。重岡は昔を懐かしむように「お前ん家でウーロン茶飲ませてってなかった?」と話す。藤井は「ジュースがある家がうれしかった」、有岡は「友達の家で飲む麦茶がすごくおいしかった」と、自身の放課後の思い出を口々に語り出す(神山はゲームに熱中しており会話に不参加)。

マイニンテンドーストア商品ページより

 動画の終盤では、ペアを組んでバトルすることに。同い年の藤井・神山、「だいき」同士の重岡・有岡のチーム戦だ。重岡が先輩の有岡に敬語で話しかける一方、藤井・神山は同い歳だけに、ゲームが上手く進むとハイタッチ。その光景が昔、先輩や友達問わず誰かの家に集まり、ゲームをしていたあの時を鮮明に思い起こさせてくれた。

 なぜここまで本チャンネルの動画に“放課後感”があるのかを考えた。それはきっと、彼らは幼少の頃から30代の大人になるまで、それこそ青春時代を共に過ごしてきたからだろう。だから、他のゲーム実況チャンネルにはない独特の“放課後感”が生まれているのだと強く感じた。ゲーム実況は数あれど、“放課後感”をここまで色濃く漂わせるのはこのチャンネルならではだ。

 「放課後 GAMING LIFE」は、彼らのような青春時代を送った世代はもちろん、全世代におすすめしたいチャンネルだ。“ゲーム”と“アイドル”を通し、青春時代のあの放課後の思い出にぜひ浸ってほしい。

『原神』テイワットを旅して出会った心の奥に残る景色 音楽と出会う人々がくれた記憶の欠片

「いつか人生が静かに終わりを迎える時、この水中の景色が観たい」――それが初めてフォンテーヌの海に潜った時の、心からの感想だった。…

関連記事