オーディオテクニカが耳の課題を解決するために送り出した新時代の「ワイヤレスイヤホン」の開発背景とは

 オーディオテクニカは、“聴こえ”の可能性を引き出すブランドとして「audio-technica MIMIO」をローンチした。年齢や生活環境の変化に伴って音の“聴こえ”に不安や変化を感じる人に寄り添い、一人ひとりに対応するヒアリングサポート製品のラインナップとのことだ。発表会の内容からそのポイントをレポートする。

「audio-technica MIMIO」ブランドのラインナップ。新製品2モデルに加え、既発売モデルも新たにMIMIOブランドとして発売される

耳の負担が多い時代の中でも、楽しい音体験ができる製品を届ける

 先に開催された新製品発表会には、株式会社オーディオテクニカ 代表取締役社長 松下和雄氏が登壇、今回のブランド設立について、「オーディオテクニカの新たな挑戦です」と述べた。

 「当社は創業以来60数年に渡って、社会や価値観の変化に合わせて、多様な音体験を追求・開発してまいりました。音楽は、暮らしと人生を豊かにします。会話や音楽がよく聴こえる、そのような幸福感を社会の全員の方に味わっていただきたいと考えております。今は耳の負担が多い時代です。そんな環境の中でも、音が聴こえて楽しい人生が過ごせる、新ブランドのMIMIOはそのような思想に基づいて立ち上げました。人生を豊かにする、愛されるブランドにできますよう、オーディオテクニカ全員で努力してまいります」と松下社長。

新ブランドの戦略と新製品について紹介が行われた。右が株式会社オーディオテクニカ 代表取締役社長 松下和雄氏で、左が専務取締役 マーケティング本部ゼネラルマネージャー 成原公太郎氏

MIMIOは、耳に心地いい、優しい音を届けることで、毎日の暮らしに彩りを添える

 続いて、専務取締役 マーケティング本部ゼネラルマネージャー 成原公太郎氏から、新ブランドと新製品についての紹介が行われた。

 「MIMIOは全ての人の“聴こえ”の変化に寄り添いながら、一人ひとりに心地よい試聴体験をお届けすることを目指すブランドになっていきたいと考えております。耳に心地いい、優しい音を届けることで、毎日の暮らしに彩りを添え、大切なひとときをそっと支える存在になり、そんな思いから生まれたブランドです。

 皆さんは、テレビの音が大きすぎて家族からボリュームを下げてと言われた、あるいは騒がしい環境での会話で何度も聞き返してしまった、といった経験はありませんでしょうか。こうした“聴こえ”の困りごとは今や特別なことではなく、誰にとっても身近なことになっているのではないでしょうか。

 WHO(世界保健機関)の報告書によりますと、2050年までに全世界の4分の1の人が何らかの難聴を抱えるようになると予測されています。若い世代においても、大音量の音楽やイヤホンの使い方の影響で、聴力低下のリスクがあると報告されています。こうした傾向は、“聴こえ”の変化が社会全体の課題になっており、今後そうした時代に入っていくことを示しているのではないでしょうか」と世界的な情勢について言及。

WHOによるリポートなども参考に、今の時代にあった耳に優しい製品の企画・開発を進めてきた

MIMIOには、耳に優しく音を届けるという思いが込められている

 さらに成原氏は「このような時代や社会に変化していく中で、オーディオテクニカとしては、ユーザーの音の聴こえ方の変化そのものに向き合うべき時が来たと感じています。その思いを形にするべく、昨年社内にヒアリングサポート事業部を立ち上げました。この部署では製品の企画・開発にとどまらず、“聴こえ”にまつわる様々な課題や、暮らしの中にある“聴こえにくさ”をどうしていくべきかについて、チーム内で検討してまいりました。その答えの一つが本日発表させていただいたMIMIOになります。MIMIOには、耳に優しく音を届けるという意味が込められています。年齢や環境による変化に寄り添いながら、オーディオテクニカの音響技術を活かしてより良い音との付き合い方を提案してまいります」と新ブランドの意義を強調した。

ワイヤレスイヤホンの『MIMIO ASSIST ONE』はベージュとブラックの2色をラインナップ。イヤホンは片側約5.7gと、長時間つけていても気にならない重さを実現している

パーソナライズ機能&集音器としても使えるワイヤレスイヤホン『MIMIO ASSIST ONE』

 そんな思いを込めたMIMIOブランドの新製品として、今回2モデルが発売された。

 ひとつめの『MIMIO ASSIST ONE』は、会話やテレビの音などを聴きとりやすくするワイヤレスイヤホンで、集音器としても活躍する製品。スタイリッシュなデザインと快適な装着感、直感的な操作性を備え、自分自身で“聴こえ”を調整できる新たな選択肢として提案されている。

 最大の特徴は、聴きたい音(声)をキャッチする優れた集音性能にある。高性能MEMSマイクを搭載し、さらにビームフォーミング技術を用いて聴きたい方向の音をクリアーに集めてくれる。ノイズキャンセリング機能(オン/オフ)も備えているので不要なノイズを低減しながら人の声を明瞭に聴き取ることができるという。

 さらにアプリから測定を行うことで、聴こえ方をパーソナライズ可能だ。聴覚検査と同じような信号を使ってユーザーが聴こえる音の範囲を測定、再生音を可聴範囲に合わせ込むことで全ての情報を聴取できるようにしてくれる。この状態で音楽再生や通話が可能になるわけだ。

パーソナライズの測定を行うアプリは、『MIMIO ASSIST ONE』の発売に併せて最新バージョンが提供される予定。ノイズキャンセリングのオン/オフもアプリから行える

オーディオテクニカの知見を活かして新規開発した10mmドライバーでいい音を実現

 再生時には、シーンに応じたモード切り替えにも対応する。「標準」「テレビ」「会話」「屋外」「カスタム」など7種類の中から、よく使う4つの機能については本体ボタンで簡単に切り替えられるようになっている。

 もちろん音楽を楽しむためのイヤホンとして、音質面にも充分配慮されている。音響ブランドであるオーディオテクニカの知見を活かし、10mmのダイナミック型ドライバーを新規に開発し、パワフルかつクリアーなサウンドを実現した。

 長時間装着するユーザーにも配慮し、自然で快適な装着感も追求。多くの人の耳型を研究し、耳甲介(耳の穴の周りの窪み)にぴったりフィットする形状を採用した。

 バッテリー持続時間はイヤホン単体で約10時間、充電ケース併用で最大約40時間。IP55の防水・防塵仕様なので、日々の使用でも安心だろう。本体仕上げには、日常使いやビジネスシーンに馴染むブラックと、性別や年齢を問わずに使いやすいベージュの2色がラインナップされる。

イヤホン本体は小型ながら、10mmという比較的大きめのドライバーを内蔵する。これも『MIMIO ASSIST ONE』のために開発された

音楽を楽しんでいる時でも、人の声が自然に聴こえてくる不思議な体験

 会場で『MIMIO ASSIST ONE』の音を確認。今回は測定によるパーソナライズは行えなかったので、汎用的な調整値で聴いているが、その状態でも強調感のない、自然な音の再現性が確認できた。

 女性ボーカルも声がのびやかで、ギターなどの楽器もスピード感を持って響いてくる。低音はもう少し量感があってもいいかな、という気もしたが、このあたりはパーソナライズによって変化するだろう。

 何より音楽再生中でも、人の声がしっかり聴き取れるのだから面白い。それも、一般的なアンビエントモードのように話者の声質が変化するようなこともなく、もともとの声のトーンで聴き取ることができる。これなら音楽を聴きながら自然な会話も可能になりそうだ。

手元に置くことで、テレビの音を聴きやすくしてくれるテレビ用スピーカーの『MIMIO SOUND MOVE』も発売される。内蔵バッテリーで約18時間の再生が可能

お手元テレビ用スピーカー『MIMIO SOUND MOVE』は、人の声を聴きやすくする「はっきり音」機能を搭載

 もうひとつの新製品『MIMIO SOUND MOVE』は、テレビの音を自分に合った音量と明瞭な音声で快適に楽しめる、お手元テレビ用スピーカーだ。

 送信機をテレビにつなぎ、スピーカー部との間を2.4GHz無線伝送することで、手元でクリアーな音を楽しめるようになる。独自の音響・回路設計で人の声を聴きやすくする「はっきり音」(オフ/1/2の3段階切り替え)も搭載されている。

 オーディオテクニカでは、これまでも同様のテレビスピーカーを発売していたが、それらはモノラルスピーカーが中心だった。『MIMIO SOUND MOVE』ではステレオスピーカーを搭載し、電気回路も刷新したことで、豊かな臨場感再現を目指したそうだ。大型ボタンによる簡単操作や、スピーカー部の防滴仕様(IPX2相当)など使いやすさにも配慮している。

カフェなどのスペースでも活用してもらいたいとのことで、MIMIOの使用イメージも展示されていた。

MIMIOブランドとして、7モデルをラインナップ

 なお今回の新ブランド誕生に併せて、既発売のオーディオテクニカ製品もMIMIOブランドとして再編成されている。これによりMIMIOブランドとしては、現在7モデルがラインナップされている。

 MIMIO製品は全国の家電量販店、Amazonや楽天などのECサイト、公式オンラインサイトでの販売を予定しており、今後3年間で45万台の販売を目指していくそうだ。さらに、全国各地のタッチポイントの拡充、イベントやポップアップストアーの展開など、多くの方にMIMIO製品を体験してもらえる様々な展開も計画しているそうなので、実際にこれらの製品に触れて、その快適さを体験してみてはいかがだろう。

商品名:ワイヤレスイヤホン
型名:『MIMIO ASSIST ONE』
価格:公式オンラインストア価格4万9500円(税込)

商品名:お手元テレビ用スピーカー
型名:『MIMIO SOUND MOVE』
価格:公式オンラインストア価格2万1780円(税込)

●参考資料
https://www.audio-technica-mimio.com/

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