3COINSのガジェットはなぜ売れる? 開発担当者が明かした“オトナ女子”の意外な需要

最近、『3COINS』のデバイスが注目を集めている。一般的なデバイスに比べ、色合いやデザインが圧倒的に可愛く、それでいて低価格。さらに機能もしっかりとしているのだ。
さらに今年4月に発売された新作デバイスである『ミニトイカメラ』は速攻完売。再販後も“おひとりさま各色1点まで”と個数制限があるほどの反響ぶりだ。3COINSのデバイスは、確実に世間から注目を集め始めている。
今回は、開発担当の堀内しおりさんにインタビューを実施。3COINSにおいてデバイスが注目され始めた背景や、成長の過程について聞いた。
300円台から高価格帯への挑戦
ーー今回はデバイス商品の企画・開発についてお伺いさせていただければと思います。まず、3COINSで“デバイス”というジャンルが始まったのは、いつごろなのでしょうか?
堀内しおり(以下、堀内):デバイスカテゴリーが生まれたのは、2020年の3月になります。それまでも300円の価格帯を主軸とした充電ケーブルやスマホケースなどは展開していましたが、「低価格なのにおしゃれ」「低価格なのに便利」といった3COINSらしさを大切にすれば、より高価格帯のデバイスにもチャレンジできるのではないかと考え、徐々にその領域にも展開を広げていきました。3COINSのなかでは比較的高価格なのかもしれませんが、市場全体と比べればリーズナブルで、可愛らしい商品を実現できるのではないかという思いからスタートしたんです。
ーー高価格帯のデバイスとして、最初にヒットした商品はなんですか?
堀内:『ワイヤレスステレオイヤホン』ですね。この商品のヒットがきっかけで、ラインナップの広がりに幅が出たなと感じています。

当時、この価格帯で、このレベルのデバイス商品を販売している同業他社さんがあまりいなかったのもあり、発売当初は注目を集めていました。あと、最初はいまみたいなカラーバリエーションではなく、白黒の定番色のみで展開していたんです。
この商品のヒットをきっかけに、男性のお客様の割合も増え、3COINS自体の認知度も広まっていきました。そこで改めて、3COINSのメインターゲット層である“30~40代の女性”のお客さまにフォーカスし、カラーバリエーションなどを増やしていったんです。
ーー最初はシンプルなカラー展開でスタートしたんですね。
堀内:そうなんです。そこから徐々に女性らしいデザインに振り切って、“女性も手に取りやすい電気モノ”という存在を確立していきました。2、3年前くらいから、「3COINSに行けば、可愛いイヤホンが売っている」というようなイメージが認知され始めたように感じます。
ーー私も普段買い物をするときに感じますが、カラーバリエーションがあると楽しいですよね。
堀内:カラーバリエーションは“選ぶ楽しさ”がありますよね。
ーーちなみに、カラーバリエーションは普段どのように考えているのでしょうか?
堀内:色味は1番難しいです。いつも悩んでいます(笑)。弊社は(株)パルというアパレル会社なのですが、3COINSはそのなかにあるいち雑貨ブランドなんです。なのでアパレルの商材から、今年のトレンドや傾向をヒントにして組み立ててはいるのですが、洋服と雑貨はまた違うので。
たとえばトートバッグなら、着回しなどを考えると、シンプルな白やグレーだと持ちやすいですよね。でもポーチや小物なら、ちょっと派手なものを持ちたい。デバイスも一緒で、お客さまがどんなときに使うのか、どんなアイテムが周りにあるのかなどをイメージしながら考えています。でも、やっぱりトレンドを反映したカラーバリエーションにはしたいと思っていますね。
ーーデバイスもアイテムによって、ずっと身につけているものとそうでないものもありますからね。そういった色味の面なども含めて、女性向けに振り切ってヒットした商品はありますか?
堀内:『ゲームコントローラー』は、そういった切り口でヒットしたデバイス商品になります。

ゲームコントローラーって白黒が一般的だったり、もしくは子ども向けのデザインが多いと思うんですけど、意外と“大人の女性”もゲームをすることに気づいたんです。 市場にはまだそういった色味のゲームコントローラーがあまり出回っていなかったこともあり、ちょうど未開拓の部分を見つけられたと思っています。
ーー“ゲームコントローラー”というアイテムに目をつけたのは、なぜでしょうか?
堀内:私はあまりゲームをしないんですけど、何か新しいゲームが発売すると社内で話題に上がることが多くて。ブランド内には、3COINSのターゲット層である年代の女性社員が多く在籍しているのですが、話を聞くと、意外とひとり1台Nintendo Switchを持ってるんだ……という気づきがあったり、「今日帰って新作のゲームやらなきゃ!」とか「買いに行かなきゃ」と言ってる子も多かったんです。

そんななか「コントローラーって意外と消耗品だから、販売してもいいんじゃない?」という声を聞いて、意外とうちでもやれそうだなと思ったのが企画の始まりでした。どうせやるならうちらしくしたいよね、ということで、カラーバリエーションを出して、部屋に置いても可愛いカラーやデザインにしてみたり、女性の手のサイズに合わせて小さいサイズも展開したんです。
ーーリアルな女性の声が、企画の発端だったんですね。
堀内:そうですね。社内での会話もそうなんですけど、普段企画を考えるときは店舗のスタッフの声も意識して拾っています。昔からそうなんですけど、スタッフの子が「可愛い!」って言った商品は売れる傾向にあるんです。私自身も、現場で働いているときに、新商品をスタッフの子たちと見て「あれがいい」「これが可愛い」って言っている時間がすごく楽しかったので。そういう現場の声も、私のなかでは大切にしているポイントですね。