ルンバ初の“フルラインナップ刷新” 日本向けモデルなどシーンで選べる6機種の特徴とは?
ロボット掃除機の草分け的存在である、アイロボット社のルンバ。そのルンバが、いま大きな変化を迎えようとしている。
2025年4月、アイロボットジャパン合同会社から新しいルンバが6機種(カラバリを含めると9種類)発表された。ルンバ初のフルラインナップ刷新となり、従来シリーズとは一線を画す性能や分類が特徴となる。
2024年4月にアイロボット社のCEOとして就任したゲイリー・コーエン氏も、今回の新製品発表のために初来日。新しいタグライン「Roomba, made for this」を掲げた。また、アイロボットジャパンの挽野元社長は日本市場における戦略として「ルンバは掃除機の当たり前」を目指し、数値目標として2030年までにクリーナー市場でのブランドシェア20%を目指すという。各家庭の掃除機の5台に1台はルンバ、という計算だ。
新しいラインナップは、エントリー向け、ミドルクラス向け、フラッグシップ向けの3グレードに分類できる。本記事ではエントリー向けから順に紹介していこう。
画期的なゴミ圧縮機能は日本市場にもグッド
まずはもっとも手頃な価格帯となる、エントリー向けモデルを見ていこう。このグレードは日本の市場を特に意識しており、単身世帯、シンプルな間取り、コスパを優先する人などをターゲットとしている。
こちらは『Roomba 105 Combo ロボット』および、『Roomba 105 Combo + AutoEmpty 充電ステーション』。吸引掃除とモップによる水拭きができる2-in-1モデルとなる。
ルンバいわく、ラインナップ刷新によりもっともグレードアップを感じるのはこのエントリー向けではないかとのこと。新しいラインナップは全モデルにLiDERを搭載しており、本モデルもエントリー向けながら高精度なマッピングを可能としている。
もうひとつのエントリーモデルは『Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット』。業界初の機械式圧縮処理を搭載することで、なんとロボット掃除機本体内で最大60日分のゴミを貯めることが可能。ステーションいらずでゴミ捨ての頻度を軽減できる画期的な仕組みだ。
写真左が105、写真右が205。205の方が背が高くなっており、その分ゴミをロボット本体内部に貯められるというわけだ。105の上部の出っ張りはLiDERセンサーで、走行中やマッピング中に回転し障害物を検知する。
本体内部のダストボックスのサイズも、写真左の105と中央の205を比べてみると一目瞭然。写真右には白い綿が展示されているが、これは205の本体内部のみで回収できたゴミの総量、つまり60日分のホコリに近い量とのこと。これだけの量をロボット掃除機内のみで取り込めるとは、驚きだ…。
ところで、205の上部にはLiDERによる出っ張りが無かった。ではLiDERは非搭載かというと、そんなことはない。
このように、ロボットのモノアイのごとく上部のスリットにLiDERセンサーが内蔵されている。つまり実質的な高さは105と大差はなく、むしろ数値上では205の方が僅かに背が低い(105の高さは10.4cm、205の高さは10.1cm)。
掃除能力については、105が毛とゴム製のシングルアクションブラシを搭載。205はゴム製シングルアクションブラシを搭載。吸引力は同等で、マイクロファイバーモップパッドの搭載も同様。モップの洗浄、およびラグ掃除時のモップ取り外しなどはユーザーが行う必要がある。
ロボット掃除機本体のデザインについても全シリーズで刷新されており、新たにGRIDと呼称するデザインをまとっている。3つの異なる質感が同居するモダンな仕上がりで、上品な印象だ。手掛けたのは『Roomba Combo j9+』などを手掛けたデザイナーの、インサン・ホン氏。
オンラインストア公式価格は『Roomba 105 Combo ロボット』が3万9400円。『Roomba 105 Combo + AutoEmpty 充電ステーション』は5万9200円でオンライン限定販売。『Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット』も5万9200円。いずれもカラバリはホワイトとブラックがあり、ルンバ公式のサブスクリプションプランも用意されている。
モップ乾燥を含む全自動を、アンダー10万円を実現
次はミドルクラス向けのモデルを2種類紹介しよう。このグレードは子育てファミリー、複数の間取りを持つ家、引っ越したばかりで清潔な家をキープしたいといったニーズをターゲットとしている。
こちらは『Roomba Plus 505 Combo + AutoWash 充電ステーション』。掃除、水拭き、モップの清掃&乾燥までをこなせる、全自動なモデルだ。
写真左は505の下位モデルとなる『Roomba Plus 405 Combo + AutoWash 充電ステーション』。デザインはとても似ているが、405は本体前方にカメラを搭載していない(赤外線センサー搭載)。505は本体前方の凹んだ部分にカメラを搭載しており、LiDER+カメラによる「PrecisionVision™ AIテクノロジー」で、障害物の認識まで行ってくれる。コードや靴下、ペットの排泄物などを認識することで、回避や洗浄を的確に判断するのが強みだ。
405と505は非常に似た性能で、両モデルともルンバとしては初めての回転式モップ『DualClean モップパッド』を採用している。だが、細かな部分の仕様が異なる。
写真左が405、右が505のモップ。505は本体左側のモップが外側に延長する『DualClean モップパッド with PerfectEdge』に対応している。壁際までしっかりとモップが当たるわけだ。メインブラシは共にゴム製のシングルアクションブラシを採用している。
実際に505が掃除をしている様子。モップが本体から飛び出て、壁際に沿っているのがわかる。吸引力は405と505で変わらないため、より効果的なモップ掃除を望む場合は505が理想となるだろう。
充電ステーションは、405と505でほぼ同じデザイン。上部に清水タンクと汚水タンクを搭載している。清水タンクの水を使ってモップを自動洗浄し、洗浄後の水が汚水タンクに格納されるという仕組みだ。ゴミ収集は紙パック式で、最大75日分のゴミを収納できる。モップの乾燥方式は、405が送風のみ、505が温風乾燥と違いがある。
オンラインストア公式価格は『Roomba Plus 405 Combo + AutoWash™ 充電ステーション』が9万8800円。『Roomba Plus 505 Combo + AutoWash 充電ステーション』は12万8400円。いずれもサブスクでの購入に対応している。
405は、全自動機能を備えつつも10万を切った点が特徴だろう。505はわずかに10万円を上回るが、伸縮するモップパッドやモップの温風乾燥、LiDER+カメラによる高精度な対象認識がプレミアムな機能となる。個人的にはモップは温風で乾燥させたいので、やや予算が上がっても505を推したいところ。
ラグも畳も任せられる、最強の吸引力
最後は最上位グレードのフラッグシップモデルを紹介する。このグレードはペットと暮らしている家庭や、ラグやカーペットを多用している部屋に特化している。
それがこちらの『Roomba Max 705 Vac ロボット + AutoEmpty 充電ステーション』。このモデルは水拭き機能が付いていない代わりに、ルンバ史上最強の吸引力を誇る、まさに掃除機能に特化したモデルなのだ。従来モデルの「ルンバ j9+」も吸引に特化していたが、その後継に近い。
今まで紹介してきたモデルはいずれもブラシが1本だったが、本機は唯一の2本ブラシ搭載。「ゴム製デュアルアクションブラシ」により、毛足の長いラグの中に潜んだゴミもしっかりとかきだす設計だ。吸引力についても、今まで紹介したモデルがいずれも最大70倍(Rommba 600シリーズとの比較)だったところ、本機は最大180倍となっている。
505と同様、本機もLiDERと前方カメラによる「PrecisionVision™ AIテクノロジー」に対応。水拭き機能こそないが、的確に回避することで掃除漏れも少なくなる。
充電ステーションでは最大75日分のゴミを収納可能。水拭き機能が無いおかげで、ステーションのサイズも非常にコンパクトだ。また、掃除中の騒音やごみ収集時の吸気音も、このパワフルな掃除性能に対してはかなり静粛だと感じた。
オンラインストア公式価格は、9万8800円。「自分の家はラグが多いから水拭き機能は持て余すかも」といった人にとっては、日々の掃除を任せられる良いモデルとなるだろう。フラッグシップなのにコンパクトというのも面白い。
あなたの暮らしにはどのルンバ?
今回のフルラインナップ刷新に伴い、アプリのデザインも新しくなった。
全モデルがLiDERを搭載したことで、部屋の間取りや部屋ごとの区切りも認識するように。掃除も部屋ごとに設定できるようになり、例えば「食後にキッチン周りだけ水拭きさせたい」などのピンポイントな指定もできる。進入禁止エリアの設定も可能だ。
最後に、今まで紹介してきた全モデルの比較表をプレスリリースより掲載する。なお既存の「Roomba Combo 10 Max」シリーズは継続販売となる。
改めて新しいモデルについてまとめると、ワンルームなどのシンプルな間取りでは105もしくは205。全自動水拭き機能が欲しいなら405もしくは505。水拭きは不要で吸引力を重視したいなら705。このような認識で良いだろう。
新しくなったルンバシリーズは、2025年4月から発売している。近年のロボット掃除機業界は中国メーカーが強力だが、ルンバは長年のブランド力やリテーラーとの連携に力を入れていくという。個人的には一新された本体デザインも魅力的で、インテリアとも調和しやすそうだと感じた。ぜひ量販店などでも、新生ルンバに触れてみてほしい。