青春ヶ丘俊光が“情熱”で吹き飛ばした「アーティストとしての重圧」 BLUE ENCOUNTとの対バンライブを見て

「準備できてる? はじめるよ!」(田邊駿一 Vo./Gt)というシャウトからはじまったオープニングは、最新アルバム「Alliance of Quintetto」にも収録されている「囮囚」(読み:ばけもの)。高村佳秀(Dr)の強靭な4つ打ちビートと江口雄也(Gt)の鋭利なギター、辻村勇太(Ba)の骨太のベースラインが絡み合い、いきなり観客をロックする。さらに超オフェンシブなサウンドが炸裂した「BLADE」を放ち、最初のMC。

「アウェイかなと思ったら、みんなすげえ優しいね。俊光くんとは完全に“はじめまして”(笑)。俺、サウナ好きなのよ。調べたら“俊光 サウナ好き”って出てきて、それだけで仲良くなれた気がしてます! 呼んでもらったからにはロックで返したいと思います。めちゃくちゃ盛り上がってくれよ、いけるか? 東京! あなたのままで楽しんでくれればいい。マジでここを選んだことを後悔させない。最後までよろしく!」(田邊)
という言葉の後は、ド派手なスラップベースに導かれた「ALIVE」。さらに〈万の宴で舞い踊って〉というラインとともに観客が身体を揺らしまくった「VS」、ダンサブルなビートとミラーボールの煌びやかな光がぶつかり合った「バッドパラドックス」、大切な人のために生きる決意を高らかに響かせた「ポラリス」とライブアンセムを次々と放ち、フロアを熱狂へと巻き込んでいった。
「ロックバンドは本当のことを言わないと」と田邊は、俊光について話し始めた。“トシミツ”が音楽活動を始めたというニュースを見たときに、「こっちの畑に来ないでくれよ」と思ったこと。“どうせ”片手間だろ、“どうせ”時間があいたからやるんだろと穿った見方をしていたこと、実際に音源を聴いて、その考えを改めたことーー。
「“どうせ”よりも“もしかしたら”という言葉を使うと生きやすいんだなと思いました。もし誰かに“どうせ”と思われていたとしたら、それをぶち壊す生き方をすればいい。あなたがかっこよく生き続けられるように、俺達アーティストは曲を届けないといけないと気合いが入りました。俺達も彼に負けないくらいかっこいいから、これからもよろしくね」
最後に披露されたのは、メジャー1stシングル「もっと光を」。〈ずっと僕が君を照らすから〉というフレーズとともに、ロックバンドとしての生き様を刻み付けた圧巻のステージだった。
そして青春ヶ丘俊光のステージへ。
TAKASHI(Ba)、越前谷直樹(Key、Gt)、いっちゃん(Dr)、ぽにきんぐだむ(Gt)に続いて登場した俊光は、〈繋がって もっと声を聞いてくれ〉というラインを持つ「僕らの鳥」からライブをスタートさせた。「声を聞かせてくれ!」という叫びによって“ウォイ!ウォイ!”の大合唱が生まれたのは「I don’t stop playing!!」。ずっと青春は続く!というメッセージを込めたこの曲は、青春ヶ丘俊光の本質そのものだ。
対バンツアー2日目です! 東京! 楽しすぎるじゃないか!」とシャウトしまくる俊光。
「“なんでブルエン呼んだの?”と田邊さんに聞かれたんですけど、“かっこいいバンド紹介して”といったら、いっちゃんがつないでくれました! 今日はブルエンさんの胸を借りて遊ばせてもらいます!!」というMCから、「LOVE SONG」。ディスコ的なサウンドとともにどこまでも真っ直ぐで真剣な愛を高らかに歌い上げ、フロアの高揚感は一気にアップ。
さらに「Freedom!!」では手拍子と大合唱で会場全体の自由な雰囲気を演出し、「Parade」では〈何度も言うぜ 勝利を掴め〉という超ストレートなフレーズに合わせ、観客がタオルを振り回す。これみよがしにカッコ付けるのではなく、自分自身をさらけ出し、愚直な言葉をダイレクトに響かせる。これこそが俊光の武器なのだと改めて実感させられた。
「叫んでくれないのか?」と自分で煽っておきながら、「うるさい! 水飲んでるでしょう!」とツッコミを入れる俊光。2度目のMCのテーマはやっぱりサウナ。「温度よりも大事なのは湿度なんで。…ここ、湿度やばくないですか? 水分しっかり取って!」「俺の人間性がわからないって田邊さんが言ってたけど、一番わかりやすい言葉がある。俺、サウナより熱い男です!」という言葉とともに披露されたのは、熱さ全開のロックチューン「輝跡」。ミクスチャーロック的な音像と〈明日頑張ればまぁいっか!〉という歌詞のコントラストが楽しい「Dog&Soul」、飛び跳ねるようなビートと“どこまでも行こう、勇敢な臆病者よ!”というメッセージが響き合う新曲「スーパースター2(仮)」、おしゃれなピアノのフレーズと力強いバンドサウンド、“せめて夢のなかでは平和に……”という思いを込めた歌が一つになった「夢で逢いましょう」などバラエティに富んだ楽曲によって、青春ヶ丘俊光の世界観をダイレクトに提示してみせた。