Metallica × Apple Vision Proのライブ映像に感じた“圧倒的な没入感” コンサート体験の新たな可能性を切り拓くか

Metallica、Apple Vision Proでライブ映像公開

 Appleの新たなイマーシブ体験となる動画「Metallica:Apple Immersive」が3月14日、Apple Vision Proに追加された。

 本作はアメリカの伝説的ヘヴィメタルバンド・Metallicaの「M72 World Tour」2年目のフィナーレ、6万5千人以上が集まったメキシコシティのライブパフォーマンスをAppleの最先端技術によって再現したもの。

 リアルサウンドテックでは実際にApple表参道で「Metallica:Apple Immersive」を視聴。その体験をレポートする。

 Apple Vision Proの体験セッションは、操作未経験である筆者のために基本的なチュートリアルから始まった。

 ヘッドセットを装着してから目の動きを追跡、選択したい項目に視線を向けることでカーソルが合う視線操作、親指と人差し指を軽くつまむように動かすことで決定するタップ操作など、慣れると直感的にコントロールできるUIだと感じた。奥行きのある「空間写真」や「空間ビデオ」、180度見渡せるパノラマ写真も非常にきれいで驚き。

 操作に慣れた後、最初に試したのは「恐竜たちとの遭遇」。この映像では目の前に巨大な恐竜が現れ、リアルな動きと迫力の咆哮が体験できる。映像のクオリティもさることながら、目の前にまで迫ってくる恐竜がリアルで、リュミエール兄弟の映像『ラ・シオタ駅への列車の到着』を観た客が電車が迫ってくる、と後方へ逃げたという逸話を思い出した。

ラ・シオタ駅への列車の到着(L'arrivée d'un train en gare de La Ciotat)

 そんな洗礼を浴びた後、いよいよ超高解像度の180度ビデオと空間オーディオを使用した「Metallica:Apple Immersive」を再生。全編では「Whiplash」「One」「Enter Sandman」の3曲が収録されているが、今回体験したのは全3曲のなかの1曲「Whiplash」の部分だ。

Metallica — Official Trailer | Apple Vision Pro

 映像は固定カメラ、ケーブルで吊るしたカメラ、ステージの周囲をリモートコントロールで動くカメラ台車のシステムを組み合わせた、14台のApple Immersive Videoカメラによって撮影されている。巨大なセットと強烈なライティング、そして圧巻のパフォーマンスが目の前で繰り広げられているかのような没入感があった。

 今までに見たことがない画角でステージ全体が映し出され、各メンバーがそれぞれ観客にアピールしている姿はとても一度の視聴ですべてを網羅できない。複数回の視聴に耐えうる作りとなっていた。Metallicaのラーズ・ウルリッヒが「ゲームチェンジング」と語ったのも頷ける。

 ただ空間オーディオに関してはヘッドセットのフィットの問題なのか、左右のバンドに内蔵するオーディオポッドの音響に若干の不満を覚えた。ただ、この問題もAirPodsをペアリングすることで容易に解決されるだろう。

 1曲の短いコンテンツではあったが、コンサート体験の新たな可能性として、今後さらに多くのアーティストが本フォーマットでコンテンツ制作を行うことが予測できる内容だった。

 この日の担当者は「Metallica:Apple Immersive」の魅力について「画像が高精彩なので映像らしさを感じない」と説明してくれた。またApple Vision Proの今後の見通しについては「色々なヘッドセットが今年リリースされるそうなので、競争によって何かいい流れが生まれることを期待しています」と前向きなコメント。

 今後も「Metallica: Apple Immersive」のようなテクノロジーと音楽の融合が生み出す新たな映像体験の登場を楽しみに待ちたい。

 Apple表参道では、引き続きApple Vision Proの体験セッションを実施中。興味のある人は、ぜひ未来的なテクノロジーを味わってみてほしい。

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