DELLが傘下ブランドを統合や刷新した意図とは？　ゲーミングブランドの「Alienware」は更なる強化を推進

　DELLテクノロジーズの新製品発表会が開催され、新たな製品ラインナップとサービスが紹介された。今回はDELLが約40年間PC業界で培ってきたブランドをさらに強化するために、新たなブランド体系を導入することが発表された。ブランドの強化、ゲーミング市場への注力、冷却技術の革新を重点的に進めていくために「DELL」というブランドを前面に押し出し、ハイエンドからミドルレンジまで、あらゆる層に適したPCを提供していく。

　これまでの「Inspiron」「XPS」「Alienware」などのブランドは整理され、新たに「DELL」「DELL Plus」「DELL Premium」「Alienware」の4つのシリーズに統合された。「DELL」ブランドには旧Inspironシリーズが含まれ、エントリー向けのラインナップとして展開されることになった。「DELL Plus」は旧Inspiron Plusに相当し、高級アルミ素材や高性能スペックを備えたモデルが揃う。「DELL Premium」は旧XPSシリーズを統合したハイエンド向けのモデルであり、「Alienware」はゲーミングPCブランドとしてより一層強化される。

　今回の発表の目玉となったのは、約5年ぶりに復活した『Alienware Area-51』ゲーミングデスクトップPCだ。最新のハードウェアを搭載し、高性能と冷却性能を両立したモデルとなっている。CPUにはオーバークロックに対応したIntel Core Ultraプロセッサーを搭載、冷却システムには簡易水冷型のラジエーターと新たに開発された冷却技術「シーリング・エアフロー」が採用され、内部圧力を調整することで冷却効率を25%向上。メモリはDDR5規格で最大64GBまで拡張可能であり、ストレージには最新のジェネレーション5 SSDが対応している。

　グラフィックカードはRTX 4000番台が搭載され、今後さらに上位モデルへの拡張も予定されている。『Area-51』は80万円台からのスタートであり、最高構成では130万円に達する高価格帯の製品だが、デルとしては利益を重視するのではなく、ゲーミング市場の拡大を狙った戦略的な価格設定であると強調した。

　発表会にはインテル株式会社の佐藤氏も登壇し、新たなIntel Core Ultraプロセッサーシリーズ2について説明した。このプロセッサーは、NPU（Neural Processing Unit）を搭載し、AI処理能力を向上させている。また、従来のCPUおよびGPUの役割を補完しながら電力効率の向上を実現しているということだ。

　続いて現れたデル・テクノロジーズの林田氏は宮崎カスタマーセンターから出張で上京しての登壇となった。林田氏はDELLの新たなサポートサービス「エリートケア」および「プラスプレミアムケア」について発表した。これらのサービスは、従来の「プレミアムサポート」や「プレミアムサポートプラス」に代わる形で導入されるものであり、特にゲーミングPC向けのサポート体制を強化するものとなっている。

　林田氏は「これまでのサポートは基本的な技術サポートにとどまっていたが、新たなサービスではゲーミング設定の最適化、ドライバのインストール、周辺機器の設定支援など、ゲームに特化したサポートを提供する」と説明。これに加えて、ノートPC向けにはバッテリー保証の延長が含まれ、1年間は無償でのバッテリー交換が可能であり、2年目以降も4年間にわたり1回の無償交換が受けられる。

　また、林田氏は宮崎カスタマーセンターの役割についても言及。2006年に設立された同センターは、現在約420名の社員を抱え、そのうち300名がテクニカルサポート部隊、120名がその他の業務に従事している。特に、60名の専門スタッフがAlienwareのサポートを担当し、日本全国のAlienwareユーザーの問い合わせをほぼ100%カバーしている。宮崎センターは、日経コンピュータの顧客満足度調査で高評価を獲得しており、さらに日本電信電話ユーザー協会の電話応対コンクールでも実績を上げているという。カスタマーセンターの設備は近年リニューアルされ、オフィス環境も大幅に改善された。また、Alienwareのサポートにおいては、10年以上前の機種にも対応できる体制を整えており、古いモデルを愛用するユーザーにも十分なサポートを提供している。センター内には最新のゲーミングPCが揃えられ、スタッフの知識向上のためのトレーニングも定期的に実施されている。

　発表会では豊富な実機展示も行われた。ブランドの整理によって今、DELLが注力するポイントが外から見ても明確になったことに加え、ゲーミングのフラッグシップPCが現れたのも嬉しいニュースだ。今後の展開にも期待したい。