キーワードは“静謐” 『ASUS Zenbook Sora』のフラットな佇まいに惚れた

2025年2月4日、ASUSから最新のノートPC『Zenbook SORA』が発表された。価格は16万1820円〜。
ZenbookはASUSが提供しているプレミアムなノートPCシリーズで、薄さと軽さを追求しつつ性能にも妥協しないモデルだ。今年のモデルは名称に「SORA」という、より軽さを想起させる単語も含まれている。
また、Copilot+ PCの要件も満たしているのが特徴だ。Copilot+ PCとはMicrosoftが定義した次世代PCの総称で、AI機能を快適に動かせるためのスペックなどが必要条件となっている。Copilot+ PCを名乗れているイコール、高いスペックを備えていると言っても良い。
独自素材の天板がチャームポイント
今回は『Zenbook SORA(UX3407RA-HA32170GR)』をチェックしていこう。こちらが実機の外箱で、環境に配慮した紙パッケージが採用されている。


というわけでこちらが『Zenbook SORA』の実機となる。重量は約980g(UX3407RA)と1kgをきっており、見た目以上に軽く感じた。軽いPCは外に持ち出すのも苦にならないので、より使用する頻度も増えるというものだ。
天板の素材はASUSが独自に開発した「セラルミナム」を採用。セラミックとアルミニウムを組み合わせた造語で、2024年秋モデルの「Zenbook」にも採用されている。見た目はプラスチックのようにも見えるが、触ってみると立体感や頑丈さが感じられた。非常に独自性があり、デザイン面での特徴ともいえるだろう。もちろん、軽量さと堅牢さにも貢献している。
また、以前までのモデルにあったAモノグラムロゴがなくなっている。『Zenbook SORA』という、新たなネーミングルールとも関係があるのだろうか? 細かい点でいうと天板に刻印されている「ASUS Zenbook」のロゴのも時間もゆったりと取られており、全体的なデザインの方向性に新しさを感じた。
ディスプレイは14インチの有機EL。発色の良さは文句無しで、これぞ14インチのノートPCに求めている作業体験と言わんばかり。
端子類は、左側面にHDMI、Type-Cが2ポート、ヘッドホンジャック。右側面にUSB Type-Aが1ポートという構成。Type-Cは40Gbpsを伝送できるUSB4に対応しており、データ転送や外部デイスプレイとの接続にも強い。
超軽量なCopilot+ PCで、あらゆる作業が軽やか
今回レビューしたモデルは、CPUにQualcommのSnapdragon® X Eliteを採用している。今までのZenbookはIntelのCPUを搭載しており、QualcommのCPUを搭載したのはこれが初となる。
Snapdragon採用でもっともメリットとなるのは、バッテリー時間の向上だろう。『Zenbook SORA』のバッテリー時間は、なんと約21時間! ほぼ1日中、充電不要で作業ができてしまう。
一方でアーキテクチャの違いによるソフトの互換性はSnapdragonのデメリットとして長らく指摘されているが、Officeソフトをはじめ大手メーカーのソフトを使うのであればそれほど懸念する必要はない。PCゲームやクリエイティブソフトなどは、まだ互換がまたれているものも多くあり、どんな用途でPCを使いたいかを念頭に置くべきだろう。
だが、スペックについては安心して欲しい。Geekbench 6で『Zenbook SORA』の性能を計測したところ、シングルスコアは2397、マルチスコアは14161、グラフィック性能は20678と出た。このスコアは非常に高く、高性能なIntelもしくはAMDのチップにも引けを取らない。ビジネスやプライベートで使うためのノートPCとしては、充分すぎる性能といえるだろう。
タッチパッドから様々な機能にアクセスできる「スマートジェスチャー」機能も、使ってみると便利だった。これは内蔵ソフトのMyASUSから設定が可能だが、例えばタッチパッドの右端を触って画面輝度を調整したりと、キーボードを触ることなくいくつかの操作が行える。
柔と剛、2つの要素がデザインを際立たせる
最後に『Zenbook SORA』のデザインについて語っていきたい。筆者の感覚では、Zenbook=シャープ、最新、先鋭的、といった印象があった。今回の『Zenbook SORA』にもそういった部分はあるが、そうでない部分もまた魅力だと感じたのだ。
例えばキーボード。キートップの角はカチっと切られており、非常にシャープな印象を受ける。右下のかな入力切り替えキーの文字の小ささなどは、デザインの妙を感じられる点だ。
打鍵感も良好で、静音かつ快適にタイピングできる。タイピング感の良さは「Zenbook」シリーズ通しての持ち味だが、より磨きがかかったように感じた。キーボードバックライトの光もシャープで、いやらしい眩しさがない。
こうした要素は『Zenbook SORA』のシャープな面といえる。一方で、柔らかさを感じる要素も見受けられた。
エッジの加工は柔らかさを感じた代表的な部分だ。PC本体の四隅やエッジ部分はかなり丸めに加工されている。パームレストのエッジも丸いため、手首にあともつきにくい。
その柔らかな印象から、雑誌や本と溶け込ませたくもなる。PCと本、デジタルとアナログ。相反するこれらのアイテムが、一緒に置いてみると違和感なく同居してくれるのだ。PCっぽくないとか、インテリアのようとか、そういった表現をしたくなる逸品。この印象を、筆者は「静謐なノートPC」と評したい。
次世代の禅スタイルを体現したノートPC
Zenbook(ゼンブック)という名前は、仏教の禅から来ているという。平穏を表すこの言葉をアンセムにZenbookシリーズは展開されてきたが、『Zenbook SORA』の醸し出す雰囲気は、今までのZenbookには見られなかった禅スタイルを体現しているように感じた。
例えるなら「見た目は平凡なのに実はすごく手間がかかった料理」に対して抱く感覚に近い。一見すると変哲のない見た目だが、素材や中身にはとことんこだわっており、それを大げさにアピールしない……という。
もしかするとSORAという言葉は仏教の空(くう)を表しているのか? そのようにも思わせてくれた『Zenbook SORA』。こうしたミニマルなガジェットもあるのかと驚かせてくれた、新しい時代のノートPCの姿だ。
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