HTCの新型HMD『VIVE Focus Vision』の実力やいかに コスパに優れた他社製品を上回れるか
HTCがいまスタンドアロン型のヘッドセットを発売したワケ
ところで、冒頭からお伝えしている通り『VIVE Focus Vision』はスタンドアロン型のヘッドセットだ。デバイスに装着されたカメラで位置を測定するインサイドアウト方式を採用しているので、従来機でよく使用される「Lighthouse(赤外線センサーを使用した規格)には対応していない。筆者はかねてよりVIVEを利用しており、赤外線方式のトラッカーを使用してきたのでそこは少し寂しいところだが、ベースステーションが不要になるなど、一般ユーザーにとっては手軽な面が多い。手軽なVR体験を求める一般ユーザーのニーズの増加を考えると、VIVEがこうした製品を開発するのは正しい姿だろう。
またもうひとつ特徴的なのが、本機はPCと接続する際の方式としてDisplayPortを採用していること。映像入力用ポートといえばUSB-CかHDMIであることが多いが、DisplayPortを採用することで、高解像度・高リフレッシュレートな映像を実現しているという(VIVEは「ロスレスPCVR機」を謳っている)。高解像度ディスプレイでコンテンツを存分に楽しめるようになっているのはうれしい点だ。
なお、リフレッシュレートは発売時点では90Hzだが、2024年内に120Hzへのアップデートを予定しているという。
VRでアクションゲームをよくするという方や、美しい映像、迫力のあるコンテンツを体感したいという用途に向いているはずだ。ただし、9月の発表会時点では90Hzでのゲーム体験にとどまったため、明確な優位性を感じるほどではなかったことも付け加えておく。
『VIVE Focus Vision』は利便性の高いスタンドアロン型のVIVEデバイスとして、そして同社製品ならではの拡張性を兼ね備えた製品と言えるのではないだろうか。
他社製品と比べると?
繰り返しになるが、『VIVE Focus Vision』は本体価格が16万9000円(税込)と、HMDとしてはやや高価な価格帯。そのため、手頃な価格が人気の『Quest 3』や『PICO 4 Ultra』などと比べると決して「初心者向け」とは言えない。一方で、同じように、初心者向けというにはやや高価な価格帯のVRヘッドセットである『Bigscreen Beyond』や『MeganeX』と比べると、軽量化や着け心地に特化している分重さが気になるところ。
とはいえ、目線や表情も自在に動かしたい方には、VIVE Proシリーズよりも安価に購入できるデバイスである。くわえて、「LightHouse」が不要なスタンドアロン型なので初期投資の面でも優しい。アイトラッキングだけならば『Meta Quest Pro』もあるが、こちらは販売終了がアナウンスされているため、将来のことを考えると『VIVE Focus Vision』が断然おすすめだ。
VRChatで豊かな表現をしたい方におすすめ
『VIVE Focus Vision』は、VIVEの拡張性、スタンドアロンの利便性を兼ね備えたデバイスなので、VRChatで踊ったり、アイトラッキングで目線を動かしたり、豊かな表現に興味がある方におすすめだ。特に、アイトラッキングに対応するヘッドセットは少ないため、『Quest Pro』からの買い替えを考えている方にもよいかもしれない(かくいう筆者もQuest Proユーザーであり、かなり心が揺らいでいる)。
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