“継続メンバー制度”に“カリスマ的な卒業生”…番組開始8年目『今日好き』はなぜ人気を保っているか?

『今日好き』はなぜ人気を保っているか?

④ “継続マジック”は恋を有利に?ーー憧れの存在こと“継続メンバー”制度

 先に少し匂わせてしまったのだが、『今日好き』の人気は“継続メンバー”の存在に支えられているところも大きい。番組のルールは、毎回の出発時に発表されている通りーーカップルになれなかったメンバーは、次の旅に参加するかどうかを選べる。高校生である限り、何度だって旅に参加できるのだ。

 実際、継続組として旅に参加するメリットは多い。単純な場慣れはもちろん、初対面が多いなかで継続組はある程度、事前に人柄を知ってもらえているほか、なかには“この人にずっと会いたかった”と、参加前から自身を慕ってくれる新規組がいることも。いわば、出会いの前から特別、かつ憧れの存在として、彼らの瞳には一種の加工フィルターが掛かった状態になるわけである(筆者はこれを“継続マジック”と呼んでいるほか、継続組がさらなる継続組を生むことを“憧れの再生産”と位置付けている)。

 もちろん、そのプレッシャーは計り知れない。以前の旅では“追う側”だったのが、一気に“追われる側”に変わることも。そうなると、恋が思うようにいかなかったり、なにより旅を続けるプレッシャーもあるはず。だが、不思議と回を増すごとに、継続メンバーに愛着がわき、新規組以上に応援したくなる場面さえ出てきてしまうし、彼らがどんどん垢抜けて、自信を身につけていく姿を見守るのが楽しい。『今日好き』って、本当にいい番組だ。

<筆者が選んだ推しシーズン>

『卒業編2024 in セブ島』(2024年2〜3月放送)。通算5回目の旅に参加した、きさき(寺島季咲)の主人公ぶりに期待してもらいたい。前述した旅を継続するがゆえに生まれる恋の難しさ、周囲の期待に対するプレッシャーを感じながら、それを乗り越えようと前に進む姿は、誇張抜きで涙なしには語れない。継続メンバーという存在の尊さを噛み締められるはず。

⑤ 好きな人を振り向かせるサプライズやプレゼントーー十人十色な“アプローチ”

 高校生の恋を見守っていると、彼らの心のやりとりや、そこで紡がれる言葉がピュアすぎて、淀んだ心の持ち主(もちろん筆者のことである)にも関わらず、綺麗な涙を流してしまうときがある。

 好きな人を振り向かせようとするときのサプライズや、胸が優しく締め付けられる甘酸っぱい言葉の数々。運命の告白をするときの言葉選びはもとより、時には嫉妬の感情に気付いたり、結ばれなかったことで逆に友情が育まれたりと、相手との関係性の築き方は三者三様、十人十色だ。カメラには映らずとも、プレゼントを健気に準備する姿を想像するだけでさえ、一視聴者ながらときめいてしまうことだってある。

 それが大人ではなく、メンバーと同世代の視聴者であれば、ますます感情移入してしまうに違いない。ときには、自身の恋愛におけるロールモデルとして。またときには、自身の恋愛のふとした場面で、“あ、この感じ、今日好きで観たのと一緒だ”と、恋愛の普遍性を感じる瞬間だってあるかもしれない。たしかに『今日好き』の舞台は海外リゾートなのだが、恋愛における人の感情は再現性が高いもの。そんな経験を積み重ねることで、メンバーのアプローチを観たとき、ますますキュンとしてしまうのではないだろうか。

<筆者が選んだ推しシーズン>

 『沖縄編』(2022年10〜11月放送)。見どころは、しょう(髙橋翔)が告白前夜、好意を示していた女子にサプライズを披露した場面。ふたりで座るプールサイドからおもむろに立ち上がり、宿泊先の2階に。そこからなんと、沖縄に“雪”を降らせたのだ。「沖縄に雪が降るなんて奇跡でしょ?」と、大切な相手に目線をやる彼の王子さまぶりたるや。この雪の正体が、“驚安の殿堂”ことドン・キホーテにて購入した枕の中身だったという“いたいけさ”も、このエピソードにキュンとくる理由のひとつである。

⑥圧倒的カリスマ集団ーー“今日好きファミリー”は雪だるま方式で増えていく

 『今日好き』に一度でも参加したことがあるならば、これはもう“今日好きファミリー”。それは高校卒業後も変わらずで、そんな“今日好きファミリー”の活躍を最近、以前に増して多く目にしている気がする。

 番組内でいえば、「今日好き 公開オーディション」に登場したはなみち(植野花道)、くにはる(國本陽斗)、るる、りょうか(折田涼夏)ら。番組外でも、縦型ショートドラマ『最期の授業―生き残った者だけが卒業―』に、えいじ(吉田叡史)やゆのん(中島結音)、あいみ(伊藤愛依海)が出演するなど、『今日好き』参加をきっかけに活躍の場を広げているようである。前述の通り、この番組はすでに次世代スターの登竜門の役割を担っているわけだし、『今日好き』参加メンバーは、シーズンごとに雪だるま方式で増えていくのだから、ここからさらなる才能が華開いていくのは確実といえる。

 その象徴が、2024年3月に開催された、番組初の大型イベント『青春祭 by 今日、好きになりました。』。総勢60名もの歴代メンバーが東京・Zepp Hanedaに集結し、会場にはおよそ3000名のティーンが集結。冗談ではなく、本当に“熱狂”していた。詳細こそやや割愛するが、カップルとして結ばれた同士が、各々のSNSや番組の“1年記念デート”などはもとより、リアルな場で仲睦まじい様子を見せてくれたことも、熱狂を真期起こした要因のひとつだったのだろう(人によっては、いわゆる“推しカップル”もいたはず)。

 そして忘れてはならないのが、番組の伝説である、しゅん(前田俊)とまや(重川茉弥)の“しゅんまや夫婦”。この番組にとって、彼らの存在ほど大きなものはない。間違いなく、時代の功労者である。

<筆者が選んだ推しシーズン>

 『ハワイ編』(2019年4月放送)。『ハワイ編』を観ずして、『今日好き』を語るべからず。しゅんまや夫婦誕生の経緯を確認できるほか、いっせい(森長一誠)、あやめ(福山絢水)といった人気メンバーの姿も。有無を言わさず、観てほしい。すべてはここから始まっている。

 最新シーズン『キョンジュ編』が幕開けに。韓国の南東沿岸にある慶州(キョンジュ)を舞台に、前回の『ドンタン編』、さらにそれ以前の旅からも人気メンバーが多数集結している。今年で8年目を迎えた『今日好き』。申し訳ないが、この番組はまだまだ、どこまでだって面白くなってしまう。

『今日好き キョンジュ編』放送スタート 継続メンバー&新規メンバーのプロフィールを紹介

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