『スーパードンキーコング』でおなじみデビッド・ワイズの音楽が彩る痛快アクション『Nikoderiko: The Magical World』レビュー

 10月15日、キプロスのインディースタジオであるVEA Gamesが開発した『Nikoderiko: The Magical World』が発売された。

 本作は伝統的なステージクリア型の2Dプラットフォーマーだ。マングースのニコとルナを操り、悪党グリンバルドに盗まれた遺物を取り返すという物語である。

赤いキャラクターがニコ、緑のキャラクターがルナ

 スーパーファミコン時代に一世を風靡した「スーパードンキーコング」シリーズを強く意識しており、音楽も同作品で脚光を浴びたデビッド・ワイズ氏が担当している。では、見ていこう。

 本作は子どもから大人まで楽しめる痛快なアクションゲームである。スライディング、ジャンプ(滑空)、急降下攻撃と物を投げるといったシンプルなアクションを駆使し、さまざまなギミックが凝らされたステージを踏破していくのが目的だ。

 用意されているステージギミックは、どれもこれも見覚えはあるが素敵なものばかりである。タル大砲、動く足場、降ってくる爆弾、消える床、トロッコなどなど……これだけでも本作がいかに「スーパードンキーコング」シリーズをリファレンスして作られているかがよくわかることだろう。

 その他にも、星を集めるボーナスステージや、ワールドマップの景観など、似せているところを挙げるとキリがないほどである。

 また、動物のキャラクターが入った箱が用意されており、彼らに乗ることでそれぞれにユニークなスキルを使用することもできる。コウモリは空を飛びながら毒液を吐き、タツノオトシゴは海中を進んでレーザーを撃つ。このあたりもスーファミを愛していたゲーマーにとっては勝手知ったるところだろう。

 しかし、本作は何もかもパロディというわけではなく、なんとステージ中、いつでも特定の動物を呼び出すことができる。それぞれに強力なパワーを有しており、ステージが難しいと感じたら彼らの力を借りるのもありだ。ただし、事前にキャンプでコインを払って動物たちを買っておく必要はある。

 さらに「クラッシュバンディクー」シリーズにあったような奥スクロールステージもあり、いろいろなレトロプラットフォーマーのマッシュアップという印象も受けた。

 どのステージも基本的に面白く、飽きがこない作りになっている。2Dのステージの途中で奥スクロールを挟んでみたりと、現代のゲームらしいアクセントの付け方がなされているところも面白い。

 ステージの最後にはボスが待ち構えており、こちらも敵の攻撃を避けた後に落ちてくるダイナマイトを投げるか、急降下攻撃を入れるかというサイクルなのだが、筆者としてはもっとも退屈さを感じたポイントだった。しかしながら、この点においてもよくあるプラットフォーマーのボス戦であることは変わりないので、ジャンルの伝統に対してどういう思いを抱いているかで、印象が変わってくることだろう。

 気になった点についても書いておこう。

 まずローカライズについてだ。初日に遊んでいたときは改行がなく、すべての会話文を読むことができなかったので非常に残念だったが、この点はアップデートで修正が入った。しかし、未訳の文章も残っているので、引き続きアップデートを続けてほしいポイントである(そして願わくば、ストーリー途中で読めた会話劇をもう一度読めるようにもしてほしいところだ)。

 そして、筆者はNintendo Switch版をプレイしたのだが、フリーズやめり込みといったバグがかなり目立った。特にステージの途中で挟まるカットシーンや、タル大砲の射出後や水中からの出入りといった瞬間に起きた。このあたりもアップデートで改善されたようだが、相変わらずカットシーンなどは不安定な挙動を見せるのでヒヤヒヤする点だ。

 他にも、ロードの長さや、カットシーンの表示がおかしいなど、細かい粗は挙げるとキリがないのが、どれもこれも最適化不足にまつわるものが多く、そういった意味でも残念である。ゲーム内容自体は良くできていたので、頑張って直していただきたいポイントだ。

 デビッド・ワイズの音楽は相変わらず優れており、リファレンスだらけではあるものの、あのころのプラットフォーマーの感動を現代に蘇らせていることには一定の価値があるだろう。ローカルマルチプレイヤーにも対応しているので、思い出に浸りながら、あるいは子どもたちに遊ばせながら楽しんでみるのが良いのではないだろうか。

 『Nikoderiko: The Magical World』はNintendo Switch/PlayStation 5/Xbox Series X|Sにて販売中。また、Steam/Epic Game Storeでも販売予定。

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