「スター・ウォーズ」初のオープンワールドから「アサクリ」新作の熱狂まで 『Ubisoft Forward 2024』現地レポート

『Ubisoft Forward 2024』現地レポート

 Ubisoftによるショーケース『Ubisoft Forward 2024』が日本時間6月11日、アメリカ・ロサンゼルスにて開催された。『スター・ウォーズ 無法者たち』や『アサシン クリード シャドウズ』といった今年発売予定の注目作品の最新情報や、新作の初披露など、さまざまなサプライズの詰まった今回のショーケースについて、現地からのレポートをお届けする。

 ちなみに今回の内容については、YouTubeで世界同時中継され、アーカイブも公開されているため、各発表内容の詳細についてはそちらを確認していただくのがベストだろう。本稿では現地の模様やオーディエンスのリアクションなどを交えながら、特にインパクトのあった内容を中心にまとめていきたい。

Ubisoft Forward:公式ライブ配信 - 2024年6月|#UbiForward

 今回の『Ubisoft Forward』の会場となったのは、100年近い歴史を誇る劇場のThe Belasco。客席やステージも舞台のような装飾が施されており、カンファレンスに参加するというよりもコンサートや演劇を観にきたような感覚だ。会場にはThe Game Awardsや数日前に開催されたSummer Game Festでもお馴染みのGeoff Keighley氏や、アクセシビリティ関連の活動で知られるSteve Saylor氏といった著名人の姿も見られ、その賑わいぶりが窺える。

 ショーケースの本編に先駆けて、人気ダンスゲームシリーズ初のVR作品となる『Just Dance VR』(10月15日発売予定。日本語版の発売は未定)や、Ubisoftがサポートする『This Bed We Made』、『King of the Hat』(ともに発売済)といったインディー作品、配信されたばかりのiOS版『アサシン クリード ミラージュ』などを紹介するプレショーが会場のムードを高めていく。ちなみにiOS版『アサシン クリード ミラージュ』については会場内に設けられた体験ブースで実際にiPhone版を試遊してみたのだが、PS5版に慣れ親しんだ筆者でもタッチ操作でしっかりと暗殺や戦闘を楽しめる点や軽快な動作に驚かされた。

アサシン クリード ミラージュ: iOS版ローンチトレーラー |Ubisoft Forward

『スター・ウォーズ 無法者たち』ゲームプレイ映像公開

 さて、いよいよ本編の開始時間を迎えると、まずはオーケストラによる豪華なライブパフォーマンスが観客を魅了する。雄大でありながらもなじみ深いメロディや巨大スクリーンいっぱいに広がる壮大なスペース・オペラの光景が示す通り、最初に紹介されたのは『スター・ウォーズ 無法者たち』(8月30日発売予定。PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S)。演奏への惜しみない拍手が寄せられるなかで、スクリーンに今回の目玉となる約11分のゲームプレイ映像が投影される。

『スター・ウォーズ 無法者たち』:公式ゲームプレイ紹介トレーラー | Ubisoft Forward

 映像では、アーケードゲームを楽しんでいた主人公のケイ・ヴェスがガンスリンガーのエキスパートを訪れるために宇宙船に乗り、宇宙で繰り広げられる追っ手とのドッグファイトを切り抜けてタトゥイーンに着陸、広大な砂漠をスピーダー・バイクに乗って移動し、目的地の護衛たちをさまざまな戦法を駆使して撃退してついに目的の人物と対面という、スター・ウォーズ初のオープンワールドゲームとなる本作における一連の流れを確認することができた。それぞれの内容はもちろん、なによりも「これだけの要素がシームレスにつながっている!!」ということへの驚きと興奮は大きく、堂々と本作のロゴが映し出された瞬間、凄まじい拍手と歓声が会場を包み込んだ。

 幕開けに相応しい見事な熱狂のなかで登場したのは、本作のクリエイティブ・ディレクターを務めるMassive EntertainmentのJulian Gerighty氏。歓声に動じることなく、同作に詰め込まれた無法者としての濃密な体験と、本作の制作自体が自らの子どものころからの夢であったことを雄弁に語ったJulian氏は、さらに新たなトレーラー映像を見せてくれた。既に会場自体は大満足のムードだったが、本作における主人公の相棒であるニックスの「Criminal Tool≒無法者の道具」であるキュートな死んだフリが炸裂するとともに、その熱狂がさらに高まったのは言うまでもない。

『スター・ウォーズ 無法者たち』ゲーム概要トレーラー

「プリンス オブ ペルシャ」35周年

 先日、本格的なローンチを迎えた基本プレイ無料FPS『エックスディファイアント』のシーズン1の予告や『スカル アンド ボーンズ』のシーズン2の発表を経て、次にスポットライトが当てられたのは今年で35周年を迎える「プリンス オブ ペルシャ」シリーズだ。Ubisoft Montpellierのブランド・マネージャーを務めるGwenn Berhault氏がステージに登壇し、これまで同シリーズを彩ってきた主人公たちの姿をバックに、今後の展開について語ってくれた。

 同社が中心となって手掛けた『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』の追加コンテンツ配信開始&ストーリーDLCのリリースタイミング(9月)決定、『Dead Cells』の開発陣で知られるEvil Empireによる『ザ・ローグ:プリンス オブ ペルシャ』の最新アップデート配信開始と、今年リリースされた2作品の速報が開発者によるユーモラスな映像と併せて立て続けに発表され、(両作にかなりハマっている筆者を含めた)ファンの歓声を強く誘ったGwenn氏は、トドメと言わんばかりに「これは私たちからのラブレターです」という言葉とともに3つ目の発表を行なった。

 2020年に初報がアナウンスされて以来、長らく延期の報が相次いでいたリメイク版『プリンス オブ ペルシャ 時間の砂』を、あらためて2026年にリリースすると発表したのである(対応プラットフォームは未定)。これには会場からも喜び、そしてそれ以上の驚きの声が寄せられていた。今回はあくまでロゴとリリース時期の発表のみに留められていたが、リメイク作品としては異例とも言える開発期間を要した同作の仕上がりに注目が集まるところだ。

リメイク版 『プリンス オブ ペルシャ 時間の砂』ティザー

「アノ」シリーズ最新作 『アノ 117: パックスロマーナ』

 『Rocksmith+』の新情報、『アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』のストーリーDLC第一弾、『ザ クルー:モーターフェス』のシーズン4の詳細などが次々と発表されていくなか、やがてスクリーンには中世を彷彿とさせる世界が映し出され、皇帝陛下を名乗る老人が(完全に無関心の)動物たちや広大な大海原を前に力強い演説をするシュールでユーモラスな映像が流れる。絶妙なムードと笑いの中で発表されたのは、老舗ストラテジーシリーズ「アノ」の最新作となる『アノ 117: パックスロマーナ』(2025年発売予定。PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S)だ。

『アノ 117: パックスロマーナ』ライブアクションティーザー

 ステージには同作のクリエイティブ・ディレクターを務めるManuel Reinher氏とブランド・ディレクターのHaye Anderson氏が登壇(ともにUbisoft Mainz)し、西暦117年のローマ帝国(まさにパクス・ロマーナの時代)を舞台とすることへの興奮と、本作が「アノ」シリーズ史上初めてどの地域からゲームを開始できるかを選択できることを明らかにした。「アノ」といえば長らくコアなファンベースに支えられてきたシリーズだが、その最新作の発表をこの派手なステージで実施したということ自体に、作品に対する期待の高さが窺える。

『アサシン クリード シャドウズ』 ゲームプレイ映像公開

 いよいよショーケースも終盤に差し掛かり、ステージ上では再びライブパフォーマンスの準備が進められていく。やがて、真っ赤な照明をバックに、情熱的な和太鼓の力強い生演奏が会場に響き渡り、今年のショーケースのラストを飾る『アサシン クリード シャドウズ』(11月15日発売。PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S)の時間が幕を開ける。ステージに登壇したのは、同作のゲーム・ディレクターを務めるUbisoft QuebecのCharles Benoitだ。ただでさえ人気の高い「アサシン クリード」シリーズの最新作であるだけではなく、長らくその内容が噂されてきた待望の作品ということもあって、Charles氏があらためて本作の舞台が日本であることを語ると、観客から熱狂的な反応が返ってくる。

『アサシン クリード シャドウズ』ゲームプレイウォークスルー

 今回公開された約13分に及ぶゲームプレイ映像では、丹波国の福知山藩を訪れた主人公・弥助がその地を支配する者たちと対峙し、彼と合流したもう一人の主人公である奈緒江がその任務を引き継ぎ、夜の城への潜入と大名の暗殺を完遂するという一連の流れが紹介された。なんといっても今回の目玉となっていたのは、Charles氏もプレゼンテーションで特に強調していた二人の主人公における視点、立場、戦い方といったさまざまな違いであり、そのなかでも想像以上にパワフルな弥助のあまりにも豪快な戦いっぷりと、さまざまな忍びの技術を活用して暗殺を重ね、複数人の敵を前に鮮やかに鎖鎌を操って応戦する奈緒江の姿には一際大きな反応が寄せられていた(ちなみに、これらと同じくらいに弥助が柴犬をなでるシーンで凄まじい熱狂が生まれていたことも書いておきたい)。

 オーディエンスの感覚としては、弥助の戦い方には従来のシリーズのスタイルを(『ヴァルハラ』すらも)超えた暴れっぷりへの驚きを、奈緒江の戦い方には「アサクリらしさ」と忍らしさを見事に両立していることへの興奮を抱いている印象が強く、やはりその違いこそが本作に対するイメージをよりフレッシュなものにしているように感じられた。

 『アサシン クリード シャドウズ』の発表を終えると、会場はすっかり大団円ムード。登壇した人物を筆頭にさまざまなUbisoftのスタッフがステージ上に集まり、あらためてショーケースを見てくれた人々への感謝の想いを伝えていた。もちろん、個人的に期待していた内容(『Beyond Good and Evil 2』...!!)がすべて叶えられたわけではないが、作品への注目度を一気に高めた『スター・ウォーズ 無法者たち』のゲームプレイ映像を筆頭に充実の内容となっていたことは言えるだろう。

 ちなみに会場には『スター・ウォーズ 無法者たち』のスピーダー・バイクの実寸台モデルの展示や、ストームトルーパーたちによる会場の巡回といったさまざまな楽しい取り組みが行われていたのだが、それらと同じくらい印象的だったのが、オールジェンダートイレの導入(筆者が見た限りではすべてのトイレがそうなっていた)や、耳栓の配布、アクセシビリティ面のサポートの周知(これは取材決定時点から)といったさまざまなインクルーシブな取り組みが行われていたことである。これは配信においても同様で、英語においては生放送と同時にリアルタイムでの字幕反映、手話(アメリカ手話)、音声ガイド付き配信が実施されるという視覚・聴覚サポートの取り組みが実施されていたのだ。Ubisoftと言えばアクセシビリティ分野における積極的な取り組みで知られる会社でもあり、今回のショーケースはそれを肌で感じる貴重な機会でもあったように感じられた。間違いなく一つの基準であってほしいし、だからこそ今後は日本語における取り組みも積極的に実施していただきたいと強く願っている。

 また、今回の取材では、『アサシンクリード シャドウズ』の(今回発表されたゲームプレイ映像以外の要素を含む!)ハンズオフ・プレビューの模様と、『スター・ウォーズ 反乱者たち』の先行プレイレポート、さらに両作それぞれの開発者インタビューを実施しているため、そちらの公開も楽しみにしていてほしい。

【検証してみた】『アサシン クリード オデッセイ』の世界はどこまで忠実に作り込まれているのか?

『アサクリ』最新作の時代考証はどこまで正しい?  『アサシン クリード オデッセイ』の魅力はなんと言っても、精確な時代考証によ…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる