ブレスレット型のスマホや画面が伸びる端末まで 『MWC Barcelona 2024』で見た“近未来のスマホたち”

『MWC Barcelona 2024』で見た“近未来のスマホたち”

スマホの画面で3D映像を楽しめるようになる

 3D映像をスマートフォンの画面でも手軽に楽しめる試作モデルを展示していたのはStrongだ。3Dを見るとなると専用のメガネが必要なことが多いが、このスマートフォンは動画を再生するだけでそのまま3D映像を見ることができる。しかも普通の動画もスマートフォン本体内で3Dに変換してくれるので、自分で撮った動画などを奥行き感のある3Dで再生も可能なのだ。

裸眼で3D動画が見れるスマホ

 本体が若干厚みのあるサイズになっているのは、裸眼3D表示対応のディスプレイを搭載しているからのようだ。Strongの親会社、Skyworthは世界でもシェア上位に入る中国のTVメーカー。中国では北京オリンピック中継の3D放送も行われるなど、3D熱が高まっている。3D表示スマートフォンはそう遠くないうちに販売されるだろう。

3Dスマホの登場は近いかも

スマホの電波が入らなくても世界中で使える衛星スマホ

 最近のスマートフォンは衛星通信に対応していることを知っているだろうか?たとえば『iPhone 14』や『iPhone 15』はアメリカなどで緊急時に衛星を使ったメッセージ送信ができる。とはいえ衛星通信を本格的に行うには大きなアンテナが必要であり、一般的なスマートフォンでは簡易的な機能しか使えない。

一見すると普通のスマホに見えるが、ただのスマホではない

 衛星通信に対応するスマートフォンや携帯電話は販売されているが、大きなアンテナがあるため日常的に使うにはサイズが大きすぎる。ところがThurayaが今年秋に発売予定の『SKYPHONE』は、普通のスマートフォンサイズの中に、収縮式の薄いアンテナを備えている。一般的なスマートフォンよりやや厚みがあるが、スーツのポケットにも入るサイズで日常的に使うこともできる。山岳地のみならず、フェリーに乗って海上に出たときなど、スマートフォンの電波が入らなければアンテナを引き出して衛星通信ができるのである。しかも通話や速度は遅いがデータ通信も可能だ。『SKYPHONE』があれば本格的な登山はもちろん、災害時にも安心してスマートフォンを使えそうだ。

アンテナを伸ばせばどこでも使うことができるのだ

アプリが不要、話しかければ何でもできる「AIスマホ」

 スマートフォンで何かをするためにはアプリを使う必要がある、そんな常識を無くしてしまう「AIスマートフォン」をドイツの通信キャリア、ドイツテレコムが開発中だ。この写真のように、スマートフォンに向かって質問をなげかけるだけで検索も自在にできるのだ。ChatGPTなどAIアプリをパソコンで使っている人も多いと思うが、それとほぼ同等の機能を搭載しているのがAIスマートフォンなのである。

何か思い立ったらスマートフォンに話しかければいい

 デモではプレゼントや航空券の検索を見せてくれた。「明日、バルセロナからパリに行きたい」と話しかけると、数秒でその検索結果が出てくる様を実際に見ることができた。現状では最終的な航空券の購入はアプリに移動するが、将来は検索画面から「3番目のフライトを予約して」「座席は前方の窓側」「支払は登録しているクレジットカードで」のように、すべて音声だけで済ませるようになる。スマートフォンの画面上にたくさんのアプリアイコンを並べ、それを整理する必要もなくなるのだ。

AIがすぐに検索結果を表示してくれる

究極のAIデバイス『AI Pin』を見た

 ドイツテレコムのAIスマートフォンのさらに先を行くデバイスがHumaneの『AI Pin』だ。胸につけるバッジ型のデバイスで、話しかけるだけで音声で回答をしてくれる製品なのだ。とはいえそんなことが実際にできるとは想像しにくい。MWCでは実物のデモが行われ、「今日の天気は」「この辺りで美味しいレストランを教えて」といった音声質問に対し『AI Pin』がクリアかつ大きな音声で実際に回答する動作を体験できた。

胸元に取り付けているのが『AI Pin』だ

 『AI Pin』には小型のカメラとプロジェクターも搭載されており、『AI Pin』の前で指先を動かすジェスチャー操作も可能だ。また数行の文章や、操作用のパネルを手のひらに投影することもできる。これらの動作はすべて実際にデモがなされたが、実用性は十分あると感じられた。ポスト・スマートフォンとして最も有力なデバイスだろう。

手のひらに操作パネルを投影

スマートウォッチの次はスマートリングだ

 サムスンが展示していた『Galaxy Ring』は指に装着する指輪型の「スマートリング」と呼ばれるデバイスだ。スマートウォッチのように運動データを計測したり、心拍数の測定などができる。なによりも小型であり充電も数日おきで済むため、睡眠中の健康データも連続して取得可能だ。スマートウォッチは高機能だが夜中に充電する必要があるため、自分の健康状態を完全に把握しにくいという欠点がある。健康状態を把握したい人のためのデバイスとしてスマートリングはこれから注目を高める製品になるだろう。『Galaxy Ring』の発売時期は未定だが、早ければ今年の夏と噂されている。

健康状態を24時間計測できる『Galaxy Ring』

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