「アイドルマスター」とVTuberの交流に、様々な去就――年度末のバーチャル業界を振り返る
めぐり合う「アイドルマスター」とVTuber
にわかに、VTuberと「アイドルマスター」の交流が始まっている。まず、「にじさんじ」発のユニット・VΔLZが、『アイドルマスター SideM』とコラボした。VΔLZの弦月藤士郎、長尾景、甲斐田晴が、天道輝、桜庭薫、柏木翼と共演し、「アイドルの心得」を3本勝負形式で学ぶという動画が投稿されたのだが、その様子はあまりに自然。こうしてVTuberとキャラクターが共演している光景は、なかなかにインパクトがある。
「ホロライブ」でも、所属メンバーの星街すいせいが6周年記念配信にて、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の高垣楓と共演を果たした。星街すいせいは『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』でプレイアブルキャラとして出演しており、まさに相互でタイアップを果たしている形だ。VTuberとキャラクターの共演もここまでビッグネーム同士が成立する段階に入ったと思うと、業界初期から眺めている身としては感慨深い。
星街すいせいの新曲「ビビデバ」のMVも非常に興味深い。360度カメラで収録した実写とアニメーションを融合する手法的な面白さと、「バーチャルな存在が現実にいる」という構造を、決してドラマチックに描かない演出が白眉で、あえて言えばある種の“グロテスクさ”すらある。星街すいせいというアーティストの強度、そしてVTuberカルチャーの成熟を示すマイルストーンとなるだろう。
翻って「アイドルマスター」では、アイドル育成プロジェクト・vα-livの最終結果が明かされた。結果は、多くのユーザーからの支持を得て、候補生3人全員がアイドルデビューが正式決定。「アイドルマスター」とVTuberのはざまにあるような実験的試みは、最高の結末を迎えた。彼女たちの所属先は、『THE IDOLM@STER Dearly Stars』に登場した876プロダクション。まさかの接続を果たしたvα-livは、さらなるステージへと歩みを進める。
「ぽこピーランド」一周年と、独自の路線を征く個人勢の星・ピーナッツくん
『VRChat』に建設されたぽんぽこ&ピーナッツくんのテーマパーク「ぽこピーランド」は、開園一周年を迎えた。一年間に訪れた人数は18万人とのことで、VRChatワールドとしてなかなかの大台に乗っている。
一周年を記念したアップデート企画も発表されており、第1弾アップデートとしてランドが夜仕様になった。夜の遊園地というだけでもテンションが上がるが、なにより2時間おきに開催される花火とドローンによるパレードが目玉だ。さらに期間中は毎日開催されるという太っ腹ぶり。ぜひ一度は目にしてほしい。
そして、ピーナッツくんは4thアルバム『BloodBagBrainBomb』を発表した。さらに、東京、愛知、福岡、大阪を回るZEPPを巡る全国ツアーの開催も明かした。個人活動の限界に、そしてVTuberの限界に挑み続ける、一人のヒップホップアーティストの晴れ舞台は7月に開催予定だ。