法人化がモチベーションを奪う? “YouTuberの苦悩”をかっつーの報告動画から考える

 YouTuberに限らず、個人事業主にまとわりつく節税問題。一定の収入に達すると法人化をして対策をする方が多いだろう。2024年1月21日、YouTuberのかっつーが「今後のYouTube活動について」という動画を公開。2023年に法人化した結果と、その後の現状について語ってくれた。

 かっつーは2019年からYouTube活動を始め、個人YouTuberとして人気を獲得してきた。2023年は、同じく人気YouTuberのデカキンとともに『M-1グランプリ2023』に出場するなど動画外での活動も精力的に行っており、2024年1月24日現在で登録者数は130万人にのぼる。

 今回投稿した動画の冒頭でかっつーは、「法人化でやる気がなくなっていました」と告白した。法人化によってやる気がなくなるとは、どういうことなのか? この問題は、YouTuberという特殊な職業だからこそ起きた問題だと考える。

【ご報告】デカキンとかっつー、M-1に出ます。

 かっつーが法人化を考え始めたのは「一昨年(2022年)の終わりくらい」のこと。2023年から法人化したことにより収入が固定になったようなのだが、その体制については「動画で映していないところのネタづくりとか、そういうのいろいろ込みで固定給では絶対にやりたくないですよね」と振り返った。

 結果を出せば出すだけ収入に還元された以前とは違い、努力の量に関係なく収入が一定になるということが、モチベーションに大きく影響したようだ。「撮影だけですって人は、固定給でもいいかもしれないけど」と語っているように、YouTubeクリエイターは、企画によっては撮影時間より画面外での作業にかなりの労力や時間がかかっている場合もある。かっつーは個人で活動していることもあり、より以前との違いを感じたのではないだろうか。

 そこで「YouTube全部ビジネスにして、法人に入った収入を外注費に使って」というシステムに切り替えたところ、「かっつー編集してないな」「その動画は本当に出したいと思って出してる?」と、視聴者に思われているのではないかという悩みに陥り、半年ほど「病んでいましたね」「牙が抜かれた1年でした」といった状態だったようだ。

 結果的に1年を通して「外注してもいい動画、外注したほうがいい動画、外注しちゃいけない動画の3つがある」ことがわかったと報告した。近年YouTubeでは長尺動画がかなり増えてることもあり、そういった傾向に合わせて撮影したものは外注依頼をするなど、ケースによって判断していくことが大切だと語った。

 ここ数年でYouTubeは急激に巨大なプラットフォームとなり、ビジネスの場となるまで成長した。登録者数が100万人を超えるクリエイターも増え、チャンネルや企画の規模もかなり大きくなっている。そして、ほとんどの大型クリエイターには動画制作を支えているスタッフや事務所などが存在する。

 ただ、制作に関わる人数が増えるということは、それだけチャンネルの色を保つハードルが上がるということだ。とくにYouTubeチャンネルの個性というのは言語化するのが難しい部分もあり、クリエイターによってバラバラだ。ただ、クリエイターの個性やこだわりがダイレクトに視聴者に届くところは、YouTubeの魅力のひとつでもある。そのバランスを取るのがどれだけ難しいことなのかを、今回リアルな背景から知ることができた。

 かっつーの動画ではいろんな視点を踏まえ、YouTubeの楽しさを改めて考える“原点回帰”のきっかけになっていたように感じる。質を保ちながらスムーズに動画の投稿をし続けることももちろん大事だが、クリエイター自身がYouTubeを楽しみ続けられる方法が増え、発信する側、受け取る側の両者が楽しいと感じるコンテンツであり続けることを願う。これからも多くの可能性を秘めたこのプラットフォームの動向を追っていきたい。

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