ベテラン・若手ラッパーの垣根を越えたバトル『フリースタイル日本統一』 見どころを整理
フリースタイル界隈の年末年始は大忙し。毎年恒例のイベントであれば、12月下旬に『ULTIMATE MC BATTLE』(UMB)、1月上旬には『KING OF KINGS』(KOK)が行われる。2023〜2024年はさらに『FSL VOL.4 YEAR END SPECIAL 2023』が入場無料で開催されたほか、2023年秋より放送中の番組『フリースタイル日本統一』(テレビ朝日/ABEMA)もまた、大きな見どころを迎えている。
2024年1月9日深夜に、新年最初の放送を控える『フリースタイル日本統一』。昨年末には、TEAM埼玉(K-rush×TKda黒ぶち×崇勲×晋平太)と、TEAM神奈川(FORK×句潤×SANTAWORLDVIEW×輪入道)が熱戦を繰り広げ、ベテランラッパーであり“ライムセーバー”のFORK(ICE BAHN)が今回、いよいよ初陣を飾る。FORK戦を跨いでの年越し、視聴者にとっては“お預け”にも程があると嘆いたことだろう。そんな重要局面を前にしたタイミングで、同番組について改めておさらいしておきたい。
『フリースタイル日本統一』番組独自ルールをおさらい
『フリースタイル日本統一』は、日本語ラップのレジェンド・Zeebraをオーガナイザーに、2015年より始まった『フリースタイルダンジョン』や『フリースタイルティーチャー』に続く、“ラップバトル”番組の第3弾にあたる。
なかでも『フリースタイルダンジョン』は、国内でのラップ/ヒップホップブームを牽引。数々のチャレンジャーを迎え撃った“モンスター”のうち、当時こそまだ若手だったT-Pablowがその後、自身の所属するクルー・BAD HOPで、来たる2月19日に国内ラッパーの前人未到の地=東京ドームにてワンマンライブを敢行するなど、長年かけて一過性のブームではない、たしかな人気を確立させた。
『フリースタイル日本統一』が過去シリーズと大きく異なるのは、いわゆるトーナメント形式、かつラッパー単独ではない“チーム戦”でバトルをすること。それぞれの地元の威信、ならびに優勝賞金の100万円を賭けての勝負は『フリースタイルダンジョン』と同様。全国16地区で活躍するラッパーが3名1組の全16チームとなり、1回戦を終えるごとに、敗退チームから好きなメンバー1名を吸収できるというのが、この番組の特筆すべきルールである。
たとえば、トランプの大富豪、あるいはポーカーでもなんでもいい。共通するのは、手札が増えれば、勝利に結びつくパターンもそれだけ多岐に広がるということ。手元のカードを切るタイミングも重要になるし、“切り札”をできるだけ長く隠し持っておくこともできる。チームに加わるラッパーが増えるとは、このワクワク感とほとんど一緒だ。