『バルダーズ・ゲート3』で注目のLarian Studios 完成されたシステムのルーツとは?
『バルダーズ・ゲート3』に感じる『DOS』『DOS2』の息吹
先にも述べたとおり、開発・発売元のLarian Studiosは『DOS』『DOS2』を制作したスタジオとして知られている。これらもまた『バルダーズ・ゲート3』と同様に、ファンタジックな世界観、攻略に対する自由度の高さを強みとした作品たちだ。
あえて『バルダーズ・ゲート3』との違いを挙げるとすれば、それは前者がオリジナルの世界観を持つ一方で、後者は『D&D』をモチーフとした世界観を持つ点。つまり、それ以外の部分に関しては、多くが両者の共通要素であるということになる。同タイトルの面白さを支える戦略的なターン制バトル、疑似リアルタイムで行われていくオンラインマルチプレイ、キャラクターの生まれや能力値が物語の進行に対して持つ影響力なども、両作から踏襲している要素だ。
また、類似するほかの作品にはあまり見られない特徴として、『DOS』『DOS2』には「すべての登場人物が個別のインベントリを持ちつつも、仲間キャラクターに関しては実質的にそれを共有する」という性質もある。基本的にアイテムは所持する本人しか装備・使用ができないが、仲間には自由にアイテムを渡すことができる。この点もまた、『バルダーズ・ゲート3』に脈々と受け継がれている両作のエッセンスのひとつだ。シミュレーションRPGのようにフィールド上での立ち位置が重要となる3作のバトルシステムにおいて「自身の立ち位置を生かし、ともにプレイする誰かの代わりにアイテムを拾得できる」という点は、ロールプレイへと没頭させるための大切な要素となっている。
一方、ストーリー部分に関しては「ダイスで運命を決める」という点が、両者の明確な違いである。テーブルトークRPGの特徴にインスパイアされた同要素は、『バルダーズ・ゲート3』の最大のアイデンティティだと言えるだろう。そのようにして展開していく物語が同タイトルのひとつの魅力であり、『DOS』や『DOS2』以上に『バルダーズ・ゲート3』が評価された理由でもある。
いかにも洋ゲーらしく、和ゲーに慣れた日本人からすると、ややとっつきづらいゲームデザインを持つ『バルダーズ・ゲート3』が海外を中心に話題を呼び、「Game Of The Year」を受賞するに至った背景には、日本国内以上に海外でテーブルトークRPG、さらには『D&D』が支持されてきたことも多分に影響しているのだろう。その前提には、プレイヤーがそうした世界観に没頭できるだけの完成されたシステムがあった。そこに世界観やグラフィック・演出面の良化がくわえられていたからこそ、同タイトルは文字どおり、2023年を代表する1作となり得たのではないだろうか。
PS5版の発売、日本語へのローカライズをきっかけに、『バルダーズ・ゲート3』を手に取るフリークも多くいると想像する。誰にでもおすすめできるような遊びやすいタイトルではないが、もしそのゲーム性に魅了されたならば、ぜひ『DOS』『DOS2』もプレイしてみてほしい。決して小さくはない、「Divinity」シリーズとのつながりを感じてもらえるはずだ。
なお、Steamプラットフォーム上ではPS5版『バルダーズ・ゲート3』の発売に合わせ、『DOS』『DOS2』もまた、セール価格で販売されている。2024年1月5日までの期間であれば、前者を75%オフの995円、後者を70%オフの1,494円(ともに税込)で購入できる。
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