自作PCは苦難があるからこそ、完成時のカタルシスが大きい 田中紫紋がASUSパーツで挑む“初めての自作”ドキュメント(第2話)

クリエイター田中紫紋が自作PCに挑戦

問題なく完成かと思いきや、思わぬ問題が……

 GPUの取り付けが完了し、最後の大物パーツである電源の設置に取り掛かる。まずはケース 内に電源を設置するためのブラケットに電源をねじ止めする。

しかし、ここで問題が発生。その問題とは……。

「電源につなぐケーブル、多すぎますよコレ!」

 電源パーツに同梱されていた内部用のケーブルが、まるでスパゲッティのように複雑だったのだ。マザーボードやGPUなどに電力を供給するため、電源ケーブルは正しく接続する必要がある。しかしパーツの配置はモデルによって変わってくるため、細かいケーブルの接続方法までは流石にマニュアルに記載されていなかったのだ。

 いくつかのケーブルにはそれらしいパーツ名称が記載されていたため、手探りながらもケーブルを差し込んでいく。我々、取材陣も「このケーブルはそっちに刺さるのでは?」「いや、それだとGPUの電源が....…」といったように、共に悩みつつケーブルと相対していく。

 また、さらに追加で問題が発生。先に取り付けていたクーラーのケーブルや、ケースとマザーボードを接続するケーブル(電源ボタンとマザーボードを繋ぐケーブルや、音声信号を送るケーブルなど)が繋がってなかったのだ!

 そのため、いったんGPUを外し、作業しやすい状態に戻してから改めてマニュアルを見ながらケーブルを処理していく。

 そのあいだも、田中さんはネットで正しい組み立て手順を検索していた。マニュアルだけではなく、色々なレビューなどを参考に多方面から情報を集めていく算段だ。

 やがて数時間ほどケーブルやパーツの組み立てをやり直すうちに……。

 ついに、PCに電源が入った! ようやくピカピカと光ってくれたPCを前に、田中さんも取材陣も狂喜乱舞。

 ......だが実はこのPC、まだ完成はしていないのだ。どうやらGPUに電源がうまく供給されていないようで、GPUファンが起動直後しか回転してくれない。謎の状況に田中さんも取材陣も困惑を隠せない。

「GPUに繋いでるディスプレイには何も表示されない、でも一応電源は供給されてるはず…......どういうことだろう......?」

 すでに時刻は19時を回って、ご家族も帰宅した状況。取材班も終わり時間が見えず、流石にこれ以上の長居は無理ということで、やむなく撤退。「改めて田中さんの自宅に伺ってPCを完成させるか、あるいは違う方法で完成を目指すべきか,,,,,,,,」。取材班は議論しながら後ろ髪を引かれる思いで田中家を後にしたのである。

だが翌日、田中さんから一通のメールが!?

 しかし翌日、編集部から筆者に興奮気味のチャットが飛んできた。なんと、取材班の撤収後に田中さんは朝までかけてPCを完成させたというのだ! しかも、完成にいたるまでの流れを以下のようにメールで送ってくれたという。

以下、完成に至るドキュメンタリーです(田中)

■22時
電源系統に問題?一度パーツを全て抜いて確認(Q-RELEASE便利!)。→GPUの補助電源に刺さっていたケーブルが間違っていたので差し替え→状況変わらず→マザーボードのランプがずっと白だったからGPU問題?→今使っているPCのグラボに差し替え(Q-RELEASE便利!)、状況変わらず→GPUじゃない!

■25時
問題はメモリ?→マザーのランプが白ランプなので違うはず、一応再確認→マニュアルを見るとメモリの差す順番が間違っていたので、直して最小メモリにする→状況変わらず、メモリではない!→CPUちゃんと刺さってない?→白ランプなので違うはず!!信じて別の道を探す。

■26時
原因の捜索。もしかしてCPUが最新だからマザーボードが対応しきれてない?→マニュアルを読み直す。BIOSのアップデート?BIOSが何かを学び直す。→検索して、USBメモリからのBIOS FLASHBACK機能にたどり着く→FAT32でフォーマット可能なUSBメモリの捜索→手順通りに実行。BIOSアップデート始まる

■28時
BIOSが立ち上がる、USBメモリからOSインストール!

■翌朝
各パーツを組み直して配線をなるべく裏に回して完成!

 まさかまさかの、BIOSが原因! 今回は14世代のインテルCPUを使ったが、当初マザーボード側が14世代CPUに対応していなかったのが原因だったという。しかも今回はBIOSが立ち上がらなかったので、USBメモリによる BIOS FLASHBACK機能を使う以外にBIOSをアップデートする手段がなかったと思われる。田中さんは自力で見つけ出して解決まで導いたのだ。その洞察力や調査力には感嘆するばかり。

 この知らせを受けた取材班は、再び田中さん宅を訪れた。するとそこには、元気に動くPCとやり遂げた顔の田中さんの姿が! 「いや〜完成した時はまさにカタルシスでした!」

 ついに次回は最終回。トラブルを突破した感想や、このPCでどんなことをやるのか、田中さんの未来の展望などについても伺っていく予定。ぜひともチェックしてもらいたい!

■参考情報

https://rog.asus.com/jp/
https://www.asus.com/jp/proart/

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