ようやくPS5が「家電」から「ゲーム機」に戻った 新モデル&PS Portalレビュー

 2020年12月にPlayStation 5が発売されてから、ちょうど3年が経つ。前世代機となるPlayStation 4が約7年ほどのライフスパンを過ごしたことを考えると、そろそろ中盤戦といったところだろうか。いよいよPlayStation 5専用ソフトも珍しくなくなってきたこのころ、そんな現世代機の存在感をさらに高めるような新たな商品が次々と発売されている。通称“PS5 Slim”こと新モデルのPlayStation 5と、リモートプレイ専用デバイスの「PlayStation Portal リモートプレーヤー」だ。本稿では、そんな2つの新製品のレビュー・インプレッションをお届けする。

順当なマイナーアップグレードを遂げた新型PS5

 11月10日に発売されたPlayStation 5の新モデル「CFI-2000A01」、同デジタル・エディションの「CFI-2000B01」(以下、新型PS5)は、従来のモデルから性能自体はそのままに、小型化を実現したものとなる。とはいえ、根本的なデザインなどに大きな変化があったわけではないため、体感としては前世代機(PlayStation 4)における初期モデル「CUH-1000系」から軽量化を図った「CUH-1200系」への変化が最も近いかもしれない(「CUH-2000系」ほどの大きな変化はない)。

 筆者は発売当初から長らく初期モデルを愛用している身だが、今回、インプレッションを書くにあたって新型PS5を最初に見たときに感じたのは、「思ったより小さくなった」という印象だ。正直、本モデルが最初にアナウンスされたときには、「ほぼ変わらないのでは」と思っていたのだが、実際に目の当たりにするとしっかりとした変化に気付かされる。あえてこの言い方をすると、「3年前に『PlayStation 5』という言葉に対して期待していたサイズ感」が実現できているように感じられた。

 というのも、正直なところ初期モデルのPlayStation 5はなかなかに巨大であり、家電量販店から持って帰るのにも、自宅の置き場所を考えるのにも、模様替えするときにも、知人の家に持っていくのにも、その都度悩まされるようなサイズと重量を誇っていた。今回の新型PS5の登場で、ようやくPlayStation 5が「家電」から「ゲーム機」に戻ったとも言えるかもしれない(それでも後期PlayStation 4よりは間違いなく大きいため、過度な期待はしないでほしい)。

 また、新型PS5におけるもう一つの大きな変化としては、ディスクドライブが着脱式になったことが挙げられる。とはいえ、(取り外し自体はある程度簡単にできるのだが)外したからといって本体が小さくなったり、劇的に重量が変わるわけではないので、この機能単体での需要はそこまで高くはないかもしれない。どちらかといえば、デジタル・エディションを購入したユーザでも、後からディスクドライブを追加することができるというメリットの方が重要であるように思う。

 その他の変化としては、交換可能な本体外側のカバーが従来よりも取り外しやすくなった。PlayStation 5ではカバーのバリエーション展開が実施されているが、従来のモデルでは「えっ、これ大丈夫なの?」と不安を感じるくらいには強めにカバーが固定されていたため、望ましい改善ポイントと言えるだろう。一方で、縦置き用のスタンドが本体同梱ではなく、別売りとなったのはやや残念なところである(フォローをしておくと、専用の縦置きスタンドは従来の同梱品よりもかなりコンパクトになっており、利便性は向上している)。また、初期モデルではフロントのUSB端子がType-AとType-Cが一基ずつ搭載されていたが、PS5 SlimではType-Cのみが二基搭載されるようになった。このあたりは好みの分かれるところだろう。

 そのほかにもスイッチやコネクタの配置が変わったといった細かな変更点はあるのだが、主なポイントとしてはこのくらいだろう。総じて「順当なマイナーアップグレード」という印象であり、初期モデルと新型PS5のどちらを薦めるかと聞かれると、新型PS5の方をオススメしたいところではありつつ、その分価格も上がっているため、値段と利便性のどちらを優先するかで判断いただきたいところだ。

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