『SXSW Sydney 2023』を通して考えた「テクノロジーと人々の現在と未来」

 オーストラリアにて行われたHP社の記者発表会。前回の記事では同発表会で公開された『HP Spectre Foldable 17』『HP ENVY Move All-in-One』という2つの新製品について触れてきたが、今回は同じくオーストラリアはシドニーで、同社がIntel社とともに参加していたイベント『SXSW Sydney 2023』の様子や、そこで行われたカンファレンスを中心に、テクノロジーと人々の現在と未来を考えていきたい。

 まずは人々とテクノロジーの現在を考えるうえで、わかりやすいテーマとして「テクノロジー企業が考える『労働』」について話されていた『HP Work Relationship Index Briefing』の内容からお伝えしていこう。

 登壇したHP社のOliver Hill氏(Country Manager, New Zealand)はこのセッションで「私たちはテクノロジー企業だが、一方で人が主役になるための会社だ」と語ったのだが、それを裏付けるデータが次々と発表されていく。

 まず最初に発表されたのは「仕事の物理的な場所が変わったことに焦点が当てられすぎている。実際には人々の仕事との関係も変化し、仕事に対して期待することも変わってきている」と語った。そこからデータとして世界の労働者のなかで「職場と健全な関係性」を築いている人は平均27%いる(そして日本は5%しかいない)というデータ。

 Oliver氏はこのことについて「職場や労働との関係性について考えなければ、結果的に自らさまざまな環境を悪くしていく。精神的に健全であること、身体的に健全であることがどれだけ重要か」と続ける。スタッフの幸福度が高くなければ、生産性も悪くなり、結果として会社全体に大きな影響を与えるということだそう。

 そのうえでOliver氏は大事な項目として6つのトピック「フルフィルメント、リーダーシップ、従業員中心主義、スキル、ツール、ワークプレイス(ワークスペース)」が重要だと話した。

 このOliver氏の発表を要約するのは少し難しいのだが、シンプルにいえば「今の時代に合ったマネジメントは“共感”や”柔軟性”をベースにしたものだが、それを実現するにはハードな努力が必要」であり「人々は労働に幸福度を求めており、それが達成されるならば収入の低下も厭わない」ということ、そしてその考え方については企業と労働者の間に大きなギャップがあるということだった。

 では、幸福度を満たすために重要なものや、人々がテクノロジーを通して考えなければいけないことは何なのだろうか。

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