連載「#bienoZ世代インサイト」第3回

現役大学生の間で“盛れない”SNSが流行 『BeReal』『Snapchat』が支持を集める背景は?

 “SNS=キラキラした自分を載せるもの”という固定観念が、だんだんと覆ってきている。現在、若者の間で流行中の『BeReal』は、リアルな風景を映し出す“盛れないアプリ”だ。そして、もうひとつ大学生の間で流行しているのが『Snapchat』。こちらも現在の位置情報を常に共有し合ったり、小さなコミュニティで素の自分を曝け出していくSNSだ。

 なぜ、Z世代はわざわざ盛れていない自分やそのままの自分をネット上でさらけ出すようになってきたのか。

 今回は、『ミスミスター青山コンテスト2021』のファイナリスト・鈴木里奈と、『ミス慶應コンテスト2023』に出場中の仲野谷咲希。そして、Z世代をターゲットにしたブランディング・マーケティング支援を行う株式会社bieno(以下、bieno)の代表取締役・奥原ゆきの氏に話を聞いた。なお、今回の取材はbienoが実施した「【大学生認知度80%】大人は知らない!最新SNSアプリ~ “BeReal”調査~」の結果をベースに進行する。

大学生の連絡ツールは『LINE』よりも『スナチャ』?

左から鈴木里奈、奥原ゆきの、仲野谷咲希

ーーまずは簡単に、鈴木さんと仲野谷さんの自己紹介をお願いします。

鈴木里奈(以下、鈴木):青山学院大学総合文化政策学部に通う4年生の鈴木里奈です。大学では、メディアやサスティナビリティについて学んでいます。2年前の『ミスミスター青山コンテスト2021』に出場してからは、セント・フォースに所属して学生キャスターの仕事をするようになりました。今年に入ってからは、『Snapchat(以下、スナチャ)』でインターンをしていました。

仲野谷咲希(以下、仲野谷):慶應義塾大学部政治学科3年生の仲野谷咲希です。メディアコミュニケーション研究所に所属していて、そこではジャーナリズム論を学んでいます。7年間、海外にいた帰国生です。中国とデンマークに住んでから、日本に帰ってきました。中学1年生の時に始めた競技チアリーディングを今もサークルで続けています。あと、今年の『ミス慶應コンテスト』に出場しています。

ーーありがとうございます。仲野谷さんは帰国生とのことですが、海外のご友人とはどのアプリで連絡を取っているのでしょうか。

仲野谷:『Instagram(以下、インスタ)』と『スナチャ』でつながっています。海外の友だちは『スナチャ』のヘビーユーザーなので、常にスナップ(=フレンドに送る写真や動画のこと)で会話をしていますね。いちばん仲良い子は、『スナチャ』で位置情報を共有しています。

仲野谷咲希

ーーやはり、海外では『スナチャ』が『インスタ』に並ぶアプリになっているのですね。鈴木さんは、『スナチャ』のインターンに参加されているそうですが、活動としてはどのようなことをしているのでしょうか。

鈴木:はい。アプリのファンを増やすために毎月イベントを企画したり、マーケティングをしたりしています。最近では、『スナチャ』のヘビーユーザーを170人くらい集めて、交流するイベントを行いました。

鈴木里奈

ーーそんなに! 改めて『スナチャ』の勢いを感じますね。まわりでも、使用されている人は多いですか?

仲野谷:私の大学は、授業でも使用することがあります。『スナチャ』は位置情報を共有した瞬間に、その授業に集まっている人たちのグループを作ることができるんですよ。だから、授業の会話をするために使うことも。

鈴木:『スナチャ』は、仲良い人とより仲良くなれるツールでもありますよね。『LINE』では通じないギャグも、自撮りで表現することができたり。

仲野谷:私も、仲の良い友だちとはずっと『スナチャ』で会話しています。とにかくストリーク(=継続させるためには24時間以内にスナップをやり取りする必要がある)を続けたくて。大親友とはストリークの回数が1000を超えています(笑)。

ーーそれは、絶対に途切らせたくないですね。

仲野谷:そうなんですよ。最近、途切れてしまっても課金をすれば回数が元に戻るシステムができたので、ますますありがたくて……。

ーー課金している方は多いのですか?

仲野谷:結構いますね。私も経験者です。500回も続いていると、途中で切れてしまうのが悲しくて。100円くらいなので、「ジュースを1本買ったと思えばいいや」と課金してしまいます。

ーーみなさん、初めて『スナチャ』をダウンロードしたのはいつごろですか?

鈴木:私は、中学1年生の時です。きっかけは、海外のモデルやインフルエンサーが『スナチャ』をやっていたので、投稿を見るために。『スナチャ』は『インスタ』よりも素の顔が見られるんですよね。

ーー最初は、自分が投稿するよりも見る専門で?

鈴木:そうですね。当時は、フィルターアプリだと認識していた人も多かったと思います。でも、慶應と青学のなかでは中学時代から流行っていた気がしませんか?

仲野谷:たしかに。私も中学生の時にダウンロードしました。でも、しばらく経って離脱してしまって……。大学に入学した時に「使ってないの?」と驚かれたので、ダウンロードし直しました(笑)。

奥原ゆきの(以下、奥原):私も、仲野谷さんと一緒です。慶應の場合は、慶應ニューヨーク学院の子たちがこぞって使っているから、広がったのかもしれないです。『スナチャ』は、流行り廃りのあるアプリというより、ポジションを確立しているアプリになっていますね。

鈴木:海外では、会話のツールとして当たり前に使われていますもんね。日本では、『インスタ』『LINE』『TikTok』が確立していますが、そこに入り込むポテンシャルがあるアプリだと思っております。

ーー自分としても『スナチャ』は一度上陸したものの、あまりユーザーが増えなくて一度日本では勢いがなくなった印象があって。鈴木さんは仲野谷さんや奥原さんのように離脱した時期はなかったのでしょうか?

鈴木:なかったですね。むしろ中学から高校に上がってより繋がるようになりましたし、それぞれの大学に行った同級生とも『スナチャ』で繋がって、その子たちがまたそれぞれの大学で広げて、といった風になっていったので。

ーー東京の大学生の間で『スナチャ』が流行してるのって、もしかして鈴木さんたちが起点なのでは……。まさかトレンドの発信源に会えるとは思っていませんでした(笑)。みなさんのまわりでは、『LINE』よりも『スナチャ』を使う人が多いですか?

鈴木:『LINE』は事務的な連絡をする時に使うことが多いですね。逆に、お仕事関連の人と『スナチャ』で会話をするのはちょっと抵抗があります。

奥原:私も、友だちは『スナチャ』、仕事関係は『LINE』と大まかに使い分けています。社用と私用のスマホが同じ人は、そういう人が多いんじゃないかな。

仲野谷:『スナチャ』が流行して『LINE』を使わなくなったというよりは、使い分けが増えた感覚です。

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