にじさんじ・空星きらめが放つ“まばゆい光”を追って 『神域』の宇宙できらめく蒼い星の軌跡をなぞる
煌めきはじめた空色の星は、にじさんじからどこまで飛び出せるか?
最後に触れるべきは、やはり「麻雀について」であろう。
「麻雀は家族と打っていた」とデビュー直後に語ったり、「麻雀の大会に出場してみたい!」とDiscord上にてメッセージを打っていたことを、麻雀打ちである先輩・舞元啓介が明かしていたことがあるが、当初から「麻雀」を自身の武器や魅力として考えていたようだ。
デビューから半年後、2021年1月に開催された『新春!にじさんじ麻雀杯2021』に出場。このときはまだ彼女の『雀魂』における段位が「雀士」と表記されていたが、この前後から本格的に麻雀を打ち始め、次第に勘所を掴み、実力をあげていくことになった。
2021年10月には『雀魂』にて「雀豪2」に到達、2023年7月1日に自身のデビュー4周年を記念した配信をおこない、その直後には「雀豪3」へと段位をあげた。
(編注:『雀魂』の段位は「初心1~3」<「雀士1~3」<「雀傑1~3」<「雀豪1~3」<「雀聖1~3」<「魂天」に分けられている)
『雀魂』を通じたソロ/コラボ配信を続けるだけでなく、同ゲームの公式配信にゲストとして呼ばれることもあり、にじさんじ内では先輩のルイス・キャミーと双璧を成す打ち手としてファンの間では知られていた。
だがにじさんじ内外の大会・企画をとおし、真の意味で「にじさんじに空星きらめあり」とより多くの人々……VTuber/麻雀ファンに知られるようになったのは、2023年に入ってからだ。
2023年1月7日から開催された『新春!にじさんじ麻雀杯2023』に出場した空星きらめは、大会初となる女性覇者となったのだ。しかもその対局内容も、自分の打牌により他のプレイヤーからロン和了されない(自分の打牌ミスから一切失点をしない)、「二日間・全試合で放銃ゼロ」というとんでもない内容だったのだ。
自身の点数を減らさず着実に相手から点数を奪っていくという、同大会を同時視聴していた他の麻雀系VTuberやプロ雀士が褒める以外にないほどの圧倒的な雀力を見せつけ、彼女は念願の“女王”となったのだ。
その後も勢いそのままに、プロ雀士や実力派の麻雀好きVTuberが揃うプロアマ混合のリーグ戦『神域リーグ2023』にエントリーし、渋谷ABEMAS所属の松本吉弘、ななしいんく所属の因幡はねる、同じにじさんじの先輩である緑仙とともにチーム「ヘラクレス」として参戦することになった。
ほぼ初対面に近い3人との距離も、「きらめはプロ雀士だと鈴木たろうが好き」など麻雀ネタを通したコミュニケーションで徐々に距離が縮まり、大会の対局ではエース級の活躍でチームをけん引した。
彼女のハイライトシーンといえば、『神域リーグ』史上2例目となる役満をアガった1局だろう。それ以外の画面でもにじさんじ麻雀杯と同様、安全かつ固い守備でほとんど失点することなく、ここぞの場面でアガりつづける打ちまわしで卓を制し続けていったのだ。
プロ雀士が集う『Mリーグ』でさえも放銃率が7%~9%であればトップレベルに類する。しかし、空星はこの大会で脅威の「3.9%」という放銃率を叩き出しており、異次元の守備力を誇っていたことが数値から伝わってくるだろう。
結果、『神域リーグ』における新記録である個人4連勝を果たし、1度も4着で終わることなく大会を終了。最大打点賞、放銃率賞、個人MVPの三冠にくわえ、チームを優勝に導くことになった。
同リーグ戦は麻雀系メディアからも注目されており、麻雀好きとVTuber好きが交流を図る素晴らしいステージとなっている。そのような場でここまで圧倒的な闘牌を見せたことで、否が応でも彼女に期待や興味をもつ人が増えるはずだ。
にじさんじどころか、VTuberシーンでもトップクラスに位置する麻雀の実力を持つと証明した空星きらめは、このあとどのようなステージへと進むのだろうか。ゆっくりと、そして強く輝き始めた星の光が、どのような軌跡を空に描いていくのか、その行く先を見守っていこう。
「ドン勝生活」「Vtuber甲子園」「神域リーグ」……ヒットコンテンツを生み出し続ける天開司が積み上げた5年間とこれから
2017年から2018年にかけて、一気にVTuber、バーチャルYouTuberが話題になってからはや5年。当時は“珍しいもの”…