何度も挑戦したくなる難しさと『SAO』の好相性が生んだシナジー 『THE TOKYO MATRIX』総合Dが語る“新宿ダンジョン”誕生の理由

『THE TOKYO MATRIX』総合Dインタビュー

初クリア者、FINAL Quest登場の先にある“ネクストフェーズ”

――前回取材させていただいた5月のタイミングでは、まだQuest 6のクリア者はいませんでした。ただ、7月になって初クリア者が現れましたね。

松平:そうですね。我々としてもそう多くの方々がQuest 6に行くとは思っていなかったのですが、次々に出始めています。想定よりも早いタイミングでしたね。

――そのあとにFINAL Questがあることが発覚し、ユーザー全員が驚きました。本来の想定では、FINAL Questに関してはもう少し先の段階で情報を公開しようと考えていたんですか?

松平:そうですね。当面言わないつもりでいたのに突然バレてしまいました(笑)。みなさんもお気づきの通り、我々作っている側は『SAO』で言うとヒースクリフ側なわけですが、それっぽく言うと「システムの制約を超えてきたな」と(笑)。

――これまでに出会った、松平さんが印象に残っているプレイヤーのコメントやリアクションはありますか?

松平:まず『THE TOKYO MATRIX』を体験した方は、最初の言葉としては2つのことしか言わないんです。「面白い」か「難しい」。その後、負けず嫌いの方たちが2回目、3回目の挑戦をするとハマっていく方が俄然増えるなと感じます。初見殺しの要素が結構な人たちをふるい落としてしまうところがあるので、初見の方にももう少し楽しさを味わっていただけるようなチューニングにしようと、開業してからすぐに手を入れているところです。

Quest 1の様子
Quest 1の様子

――初見の方がつまずくことが多いのはやはりQuest 2ですか?

松平:そうですね。ただこれも面白くて、Quest 2は日本語でプレイする方々は突破できるのですが、英語での説明が難しくて外国人の方々が軒並みドロップアウトしてしまうんです。ですので、それを夏の間に修正しました。日本人の方に対しては特にサービスは変更していないですね。

Quest 2の様子
Quest 2の様子

 でも、ゲームが好きな方々はすごく面白がってくれる傾向にあると思います。というのも、古来よりゲームにはライフがあって、一定のところでゲームオーバーになって、もう一度挑戦して上手くなっていくのが醍醐味じゃないですか。『THE TOKYO MATRIX』は、そういったビデオゲームの面白さを、肉体に転換した極めて少ない例だと思うんです。なので、ゲームの面白さを分かっている方が肉体でそれに挑む喜びに気付いていただけたときに、何度もプレイしていただけるのだろうなと思います。

 テレビ番組だと『SASUKE』や『逃走中』など、ゲームオーバーがあって努力して頑張るデスゲームのようなものは多いですが、自分たちでは中々できないじゃないですか。今回は一般人ができるギリギリの塩梅を頑張ってみたという感じですね。

――本当に斬新ですね。最近の施策だと、ランキングバトルや『お台場冒険王』でのQuest 1の体験コーナーなどが実施されています。常設の施設として長くやっていくために、既存のユーザーを楽しませ続けたり、間口を広げるための施策かと思うのですが。

松平:ランキングバトルは、既存のユーザーさまに競い合うモチベーションを発揮していただくための施策です。後者はおっしゃる通り間口を広げるためなのですが、これは我々にとってすごく重要なことで。『THE TOKYO MATRIX』が必ずしも『SAO』を知らなくても十分に楽しめるように作られていることは、一度プレイしていただければ分かると思うんです。IPとのコラボは、どうしてもそのIPのファンのためのものと思われることも多いですが、『THE TOKYO MATRIX』に関してはあくまで『THE TOKYO MATRIX』があって、そこでいま「アノマリー・クエスト」をやっていますという言い方をしています。『THE TOKYO MATRIX』の体験を1回でも理解していただければ、おそらく多くの方々に楽しんでいただけるだろうと思っていますが、その最初の1回を広げていかないと、みなさんが知らないまま終わってしまう。だからこそ、多くの方々に体験していただいて楽しさをお伝えしたいと思っています。

――ランキングバトルや秋以降に行われる「MATRIX Rank Battle」などコア向けの施策もいくつかありますが、クリアできる層の下にはQuest 4、5まではいけるけど中々突破できずじれったい思いをしている中間層がいて、新規ユーザーもいます。それぞれの層に向けた施策を両立させることは、これまでゲーム系の運営の方にお話を聞いている限りすごく難しいことだと感じているのですが、その点はどのように考えていらっしゃいますか?

松平:おっしゃる通り、すごく難しいです。FINAL Questに行けるチームは本当に限られているので、そのチームが常にランキング上位に鎮座しがちですから、いろんな種類のランキングを作るのがいいのかなと考えていて。ボクシングで言う階級のようなものがあってもいいと思いますし、毎日のランキングも出るので、そこで腕を上げていただいてトップに躍り出ることもあるのかなと。

――今後の展開で言うと、プレイ映像がダウンロードできるようになるというのも面白いサービスだなと思います。

松平:『THE TOKYO MATRIX』はリピート型のアトラクションなんですが、とはいえインバウンドの方々や地方から長期休みで東京に来た方々には、プレイした映像を思い出として持って帰ってもらえるのではないかと思います。今、SNSでシェアできるような短いハイライト映像を自動的に作る仕組みを導入しようとしているんです。ご自身ではフル尺のプレイを全部振り返っていただければと思いますし、SNSでシェアするときは短く縮めたバージョンを手軽に投稿していただければと思います。

――人によって尺が違うものを決まった尺にまとめ、ハイライトにするというのを自動で行うのは高度なテクノロジーですね。それはネタバレの観点から、Quest 2や3までの範囲をハイライトにするといった形なんですか?

松平:ネタバレには配慮して作っています。また、先程『SASUKE』の話もありましたが、プレイ映像をみんなで見るのって、すごく面白いんですよね。以前に行った1Dayランキングイベントのようにリアルタイムで実況することもできるでしょうし、超ハイテクノロジーを使って自動実況ができないかといったことも検討していきたいと思っています。

――今後、『THE TOKYO MATRIX』を長く続く場所にしていく上で、長い目で見た理想など松平さんが考えていらっしゃることはありますか?

松平:いろいろな展開の方法があり得ると思っています。「アノマリー・クエスト」自体はまだまだみなさんに楽しんでいただくべく、細かいチューニングも含めてやっていく所存ですので引き続き楽しんでいただきたいです。とはいえ『THE TOKYO MATRIX』自体が施設全体の在りようとしては発明に近いというか。常設でアバターを持ってアイテムを使って生身で攻略していくダンジョンはすごく斬新だと思いますし、それをどう進化させるのかについてはものすごい勢いで企画チームが話しているところです。もちろん、エンターテインメントであることが重要だと思うので、一番面白いことを選んで進んでいくつもりです!

■施設情報
『東急歌舞伎町タワー』
オフィシャルサイト:https://tokyu-kabukicho-tower.jp/

新宿ダンジョン攻略体験施設『THE TOKYO MATRIX』
住所:東急歌舞伎町タワー4F(東京都新宿区歌舞伎町1丁目29番1号)
営業時間:10時~22時(最終入場は21時)
プレイ料金(1人):通常価格 約2,000円~2,450円(税込)

〈予約方法〉
「アノマリー・クエスト ポータル(AQP)」から会員登録をしていただき、日時指定で予約いただけます。予約料金は、施設内通貨「トポロ」でのお支払いとなります。
※施設内通貨「トポロ」は、「アノマリー・クエスト ポータル」でチャージできます。
※「トポロ」チャージ方法(決済手段):クレジットカード、コンビニ決済
※プレイの開始(エントリー)は4月14日(金)からとなります。

プレイ料金、予約方法の詳細は「THE TOKYO MATRIX」公式サイトでご確認ください。
公式サイト:https://thetokyomatrix.com/

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