祝・『ポップンミュージック』25周年! “渋谷系”との接続など、音楽的功績や筐体の歴史を改めて振り返る

ポップン25周年、そしてこれから

 最後に、直近の「ポップンミュージック」からトピックスをいくつか紹介しよう。

 2023年7月29日には、『ポップンミュージック ライブリィ』に対応した新型の専用コントローラーが発売(https://www.konamistyle.jp/products/detail.php?product_id=111099)。かつての「ポップンコントローラ2」(2006)にも似た、コンパクトかつ丸みを帯びたボタンを備えた小型のシルエットで、アーケード版の体験を高度に再現した従来の「プレミアムモデル」(https://www.konamistyle.jp/products/detail.php?product_id=109637)よりも安価かつ気軽に、家庭用ポップンのプレイ環境を構築可能となった。

 8月9日、eスポーツ年次イベント「Konami Arcade Championship(2023)」の予選ラウンドが開幕。同イベントの対象タイトルには『ポップンミュージック ユニラボ』も選出されており、11月25日の決勝ラウンドに向けて、プレイヤーたちの熱いスコア争いが繰り広げられている。

 8月16日には『GITADORA FUZZ-UP』とのコラボが開始。かつて『ポップンミュージック2』(1999)で初登場したゲーム内バンドDeuil(ドゥイユ)のリーダー・ユーリが、ポップンを代表するキャラクターであるミミ・ニャミのコンビと共に、描き下ろしの立ち絵とセリフを携えて登場した。9月13日にはDeuilのドラマー・アッシュもまた、同作に出演を果たしている。

2022年にはインディーゲーム『UNDERTALE』の人気楽曲が収録。同作の人気キャラ・サンズもポップンワールドの仲間入り

 かくして2023年の「ポップンミュージック」は、1998年9月のリリースから途切れなくナンバリングを続けるアーケード作品本編の最新作『pop’n music UniLab』、そしてその体験を家庭内に再現し現世代と次世代をつなぐ『pop’n music Lively』の2作品を柱として、音楽ゲーム業界の最前線を他のBEMANI作品と並んで走り続けている。

 前述の通り初代ポップンを立ち上げた一人である竹安は、2003年に催された座談会で、制作者やプレイヤーが入れ替わりながら長い時間をかけてその概念を拡大してゆく「ポップンミュージック」を、サグラダ・ファミリアに相似させて以下のように語っている。

 「完成することよりも、時代時代のアーティストや職人が少しずつ手を加えながら、未来まで建築が続いていくことのほうが大きな意味があると思います。(中略)音楽的にもキャラ的にも、ファンも一緒に、ポップン的なもの、ポップンワールドをまだ一緒に作ってる最中、っていう気がするんです。(中略)それでもまだポップンワールドは続いて、完成してない。そういうふうに、ずーっと続いていくとおもしろいなぁと思います」

 そして2023年9月28日。「ポップンミュージック」は25周年を迎えた。四半世紀にわたる過去を常に現在に内包し、時代に適応し、人々がゆるやかに行き交い、未来へ向けてそれぞれの新しさを開拓しながら、ポップンワールドは続いてきた。

 魅力的な音楽やキャラクターが生まれ集積されてゆくこの唯一無二のプラットフォームが、「ポップンミュージック」という夢が、これからの四半世紀もまた続いていくことを、切に願う。

主要参考文献

「ポップンミュージック 公式ガイド」(1999)
「ポップンミュージック キャラクタービジュアルガイド」(2001)
「ポップンミュージックブック! ポップンな関係エクストラ」(2003)
「ポップンミュージック スーパーコレクション」(2003)
「ポップンミュージック キャラクターイラストブック AC & CS pop’n music 1-5 + pop’n stage」(2008)
「ビートマニア プレスミックス」(1999)
「BEMANIぴあ」(2018)
「季刊エス 2号」(2003)
「ゲームマシン 第590号」(1999)
「月刊アミューズメント・ジャーナル 2023年2月号」(2023)
「日経ビジネス 1999年2月15日号」(1999)
日本アミューズメントマシン協会「プリントシール機20年史」(2015)
田中”hally”治久「チップチューンのすべて All About Chiptune」(2017)
(監修)田中”hally”治久「ゲーム音楽ディスクガイド──Diggin' In The Discs」(2019)
(監修)田中”hally”治久、今井晋「インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド──ゲームの沼」(2022)
石井ぜんじ「ゲームセンタークロニクル」(2017)
Brian Ashcraft, Jean Snow「Arcade Mania: The Turbo-charged World of Japan's Game Centers」(2008)
市村圭「音楽ゲームとギターポップの関わり」(「ポプシクリップ。マガジン 第6号」収録)(2015)
市村圭「コナミ音ゲーが家庭に“戻ってきた”意義 『pop'n music Lively』リリースの背景とポスト・コロナの音ゲーを考える」(https://realsound.jp/tech/2020/09/post-618695.html) (2020)
白壁「FURIMUKI style」(https://furimuki.sakura.ne.jp/index.html)(2023年9月10日閲覧)
「APPEND TRAVELのうた」(https://www.youtube.com/watch?v=7nONbREeNJs) (2012)
「pop'n music | The 9th KAC ダイジェスト」(https://www.youtube.com/watch?v=Auy_1kgXVQY) (2020)

協力

アズニィ
月刊オトモ編集部

©2023 Konami Amusement

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