祝・『ポップンミュージック』25周年! “渋谷系”との接続など、音楽的功績や筐体の歴史を改めて振り返る

家庭用ポップンの系譜

pop'n music専用コントローラ プレミアムモデルと初代『ポップンミュージック』サントラ(いずれも筆者私物)

 次にアーケード作品の家庭用コンソール移植版、および一般プラットフォーム向けのオリジナル作品について触れたい。

 家庭用ポップンに先行して存在していたのが、「メタルギア」シリーズや『スナッチャー』『DEATH STRANDING』等で名高い小島秀夫がプロデュースした、『beatmania』のプレイステーション移植版(1998)。同作が提案した、各アーケード作の新規要素に家庭用作品オリジナル要素を追加して移植、専用コントローラーと共に提供するスタイルを、ポップンもまた辿ることになる。

 第1作『ポップンミュージック』はPlayStationおよびドリームキャストをプラットフォームとして開発された。サウンドディレクターに林陽一、家庭版での新規コンポーザーとして中田暁と兼田潤一郎、ゲストボーカルに増田礼子を招聘。後に水口哲也と共に『Rez』『ルミネス』『メテオス』などを手掛けることになる堀田昇がデザインディレクターを担当、グラフィックデザイナーに松岡功や原田広美らを迎えた本作は、専用コントローラーである「ポップンコントローラ」と同時の1999年2月25日に発売された。

 その後コナミは各作品の移植を順次継続し、PlayStation 2版『ポップンミュージック14 FEVER!』で、据え置き機向けの移植を終了。『ポップンミュージック15 ADVENTURE』をPSP向けにカスタマイズしつつ追加要素を加えた『ポップンミュージックポータブル』(2010)として、『ポップンミュージック16 PARTY』を同様に『ポップンミュージックポータブル2』(2011)としてそれぞれ移植。AC版のナンバリングタイトルと直接対応する家庭用作品は、ここでいったん途絶えることになる。

 ナンバリング外の外伝作品としては、ベスト版『ポップンミュージック ベストヒッツ!』(2003)のほか、キーチェーンゲーム『ビーマニポケット ポップンミュージック』(1999)、携帯機向け『ポップンミュージックGB』(2000)、アニメソング中心の『ポップンミュージック アニメーションメロディ』(2000)、ディズニーコラボ作品『ポップンミュージック ディズニーチューンズ』(2000)、PC向けタイピングゲーム『pop'n music打!!』(2000)、キャラクター版権もの『pop'n対戦ぱずるだまONLINE』(2002)、特殊なマウス型コントローラーを携えたPC作品『ポップンミュージック ビーマウス』(2008)、北米向け派生作品『Beat’n Groovy』(2008)、Wii用カスタマイズ作『ポップンミュージック』(2009)、Nintendo DS向けスピンオフ『うたっち』(2010)、フィーチャーフォン専用作品『ポップンミュージックM』(2011)、iOSアプリ『ポップン リズミン』(2013)等もリリースされている。

 2015年、コナミアミューズメント社は直営のプラットフォーム「コナステ」(旧:e-AMUSEMENT CLOUD)上で、同様に家庭用作品への移植が絶えていた「beatmania IIDX」シリーズのPC作品『beatmania IIDX INFINITAS』を公開。かつて家庭用コンソールで展開していた、ACゲーム体験の高度な移植+専用コントローラーの提供という体制を再生しつつ、月額課金と定期的な有償楽曲パックの発売を並立した料金形態、そして独自の運営体制を構築したのち、2020年には『ポップンミュージック』のPC版『ポップンミュージック ライブリィ』(pop’n music Lively)をリリースした。

『ポップンミュージック ライブリィ』ベータ版時点のプレー画面。既にアーケード版と遜色ない演奏体験を提供していた

 『ポップンミュージック ライブリィ』についてはベータ版の公開当時、リアルサウンドテックに解説記事(https://realsound.jp/tech/2020/09/post-618695.html)を寄稿している。当該記事では、本作のリリースがもたらすメリットを考察し、「プレイヤーのライフステージ移行への対応」「海外向け展開」「相乗効果によるアーケードと家庭用双方の音楽ゲーム市場拡大」の3点について論じた。

 コナミアミューズメントの沖田社長はコナステについて、PC・スマホ向けにサービスを提供することで若年層にアーケードゲーム作品との繋がりを持たせ、ゲームセンターに誘引したい狙いがあると、2023年の『アミューズメント・ジャーナル』誌上で語っている。

 ここまで「ポップンミュージック」シリーズの発端と経緯、そして現状を簡単に辿ってきた。それでは、果たして「ポップンミュージック」という作品の、音楽ゲーム文化における魅力や独自性はどこにあるのか?

 結論めいたものはプレイヤーの数だけ存在することに疑いはなく、各々の語りも尽きようがないが、本稿でとりわけ注目したいのはシンプルに2点。「楽曲」そして「キャラクター」だ。

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