ヴェノムに込めた意匠、クレイブンから得た学び――秘蔵エピソード盛りだくさんの『Marvel's Spider-Man 2』開発者インタビュー

クレイブンのキャラクターデザインから得た“学び”

映像表現におけるこだわりを明かしてくれた

――映像表現のなかで、それだけストーリーから影響を与えた部分はありましたか?

Chew:ありました。リサードがいい例ですね。原作のコミックスをどうやって再現するか、私たち独自の要素をどうやって与えるかという2つの要素も大きいですが、3つ目の要素として、ストーリーからの影響がありました。ピーターからすると、リザードになるコナーズ博士は友人ですし、原作に近い、服を着たバージョンのリザードをまず作ったんです。しかし同時に、カッコいい敵と戦うという要素も必要なため、より怪獣的なリザードも作りました。敵としてより迫力のある、凶暴化したリザードと戦わないといけない、という要素ですね。ストーリーでは、ピーターが友達と戦いながらも、傷つけたくはないから、どうやって敵を殺さずに倒すかという要素がありますが、そうしたこともいろいろと考えたうえで、2つのバージョンのリサードを作りました。これはストーリーから影響を受けての表現になったと思います。

――では、そんなリザードを含めて、本作で最も思い入れのあるキャラクターは誰ですか?

Chew:個人的には脇役やサブキャラクターが一番好きなのですが、今回のゲームプレイには出てこなかったですよね(笑)。出てきているキャラクターのなかでは、クレイブンは私がデザインするにあたって、とても好きなキャラクターでした。本当に極端な特徴を持つキャラクターなので、その要素をどうやって解釈して、どうやってゲーム内でデザインしていくか考えました。原作のコミックスだと、ライオンの頭がついたベストも着ていますし、体格もすごいですよね。でも、そんな人がニューヨークを歩き回ってたらあまりにもおかしいということで、さまざまなデザインの方向性を試行錯誤して、カモフラージュの迷彩服や軍隊服などをデザインしてみたんです。

 ただ、そのなかでキャラクターの芯となるものが失われてしまって良くない、という結論に至りました。そうして方向性を見直したところで、もう一度コミックスのデザインに立ち返り、今度はライオンの被り物をもっと大きくしたり、その要素を掘り下げてみようといろいろ考えました。チームでも本当に試行錯誤した結果、現在のキャラクターデザインになったんです。私たちとしても、あまりにも変えすぎると、キャラクターの芯となるものを失ってしまう危険性について、いい学びになりました。チーム全体としても、クレイブンのデザインを作るのはとても楽しかったですね。

――最後に、発売を楽しみにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。

Chew:では、私から日本のファンに、ちょっとした攻略のヒントをお伝えします。「スパイダーマン」シリーズはストーリーが人気ということで、今作ではさまざまなコンテンツにストーリーの要素を詰め込んでいます。せっかくなので、メインストーリー以外のコンテンツやサイドミッションなどをプレイしてみて、原作につながるストーリー性を楽しんでいただけるとうれしいです。そうした要素を見逃したくない方は、ぜひサイドミッションも全部プレイしてみてください。

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