「YouTubeを辞めるか、続けるかの道しかなかった」　副業を始めた人気YouTuber・歩乃華が導き出したキャリア論

歌手活動を諦めてから迷走状態に

ーー実際にYouTubeを始めてみて、どうでしたか？

歩乃華：いろんなクリエイターに出会って、つながりを持てたのが嬉しかったです。事務所に入ってよかったなと思うし、同業者の方たちとのつながりは、YouTubeをやっていなかったらつくることができなかったので、やってよかったと思っています。

　YouTubeを始めていろんな人に応援してもらった結果、ずっと夢だった歌手デビューもさせてもらえました。でも、いざ歌手の夢を叶えてみると憧れていた景色とは違っていて、“何か違う”と感じてしまったんです。“歌が好き”という気持ちだけで歌手に憧れていたので、理想と現実のギャップに戸惑ってしまいした。

ーーなるほど。

歩乃華：それから曲もあまり出さなくなってしまったんです。視聴者の方にも歌手になる夢を応援してもらっていたし、ワンマンライブを目指すと宣言もしていました。だからファンの人たちは、私のどの活動を応援したらいいのかわからなくなってしまったんだと思います。動画の投稿頻度も落ちてしまい、“歩乃華離れ”のきっかけになってしまったと感じています。

ーーそこから、どのように活動していったのでしょうか？

歩乃華：YouTubeに専念しようと思って、2022年の1月から3月にかけて自分なりに頑張りました。クリエイターのみんなに声をかけたら、50人くらいの方にコラボしてもらえることになったんです。毎日投稿も2週間ほど続けて努力したのですがあまり伸びなくて、コラボしてくれた人にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そこから、1年くらい何もしなくなってしまった期間がありましたね。

「大好きなお店の役に立ちたい」　6年間の憑き物が落ちた瞬間

ーーYouTube活動に対して、思い悩んでいた時期だったんですね。

歩乃華：もうYouTubeもSNSもバッサリ辞めて、視聴者の方にも活動を卒業することを報告して、就職しようと思っていました。だから、資格を取るために勉強もしていたんです。

ーーそのときは、どのような心境でしたか？

歩乃華：焦りまくっているにもかかわらず、なにもできないという感じでした。どうせなにか発信しても誰も見てくれないと思い込んで、マイナス思考から抜け出せなくなっていましたね。そんなときに、ずっと通っていた美容室のオーナーが「TikTokを始めたんだ」と、教えてくれたんです。昔からその美容室は家族ぐるみでお世話になっている大好きなお店でした。

　同じ時期にマネージャーから「SNSコンサルっていう仕事もあるよ」っていうことを教えてもらっていたんです。そんなときに、大好きなお店が「SNSを頑張りたいんだよね」って言ってるのを聞いて、すべてが噛み合った感覚になりました。「これだ！」って思ったんです。

ーーいろんなタイミングが重なったんですね。

歩乃華：美容のことは私も好きだし、SNSのことならいままでの活動で学んだことも活かせるし、なにより自分が大好きなお店の力になれることが嬉しくて。それからすぐに計画を立てて、オーナーに「本気でやります。断ってもらっても大丈夫です。結果が出なかったら、運用を止めてもらっても構いません」と、想いを伝えました。

ーーYouTubeとはまた別の活路を見出して、心境の変化はどうでしたか？

歩乃華：ここ6年間で感じていた不安やプレッシャーみたいなものが、フワーッとなくなっていく感覚でした。YouTubeを辞めるか、続けるかしか道がないと思っていたので、続けながら別のことにも挑戦するっていう道があるんだって、初めて気づいたんです。それからは、ほかのクリエイターにも「なんか歩乃華キラキラしてるね」って、言われるようになりました。