“復縁のため”の恋愛リアリティーショーに学ぶこと 『ラブ トランジット』の元恋人同士たちが見せた“変化”に対する向き合い方

『ラブ トランジット』元恋人同士の“変化”に対する向き合い方

(以下、ネタバレを含みます)

 たとえば、あみと美容師・こうへいの場合、「お互いの環境の変化で小さな悩みが蓄積していった」ことが別れの原因だった。抽象的ではあるが、立場や年齢が違えば考え方も変わってくるので、相手に100%寄り添うのが難しくなることもあるのだろうと予想できる。当初、こうへいと復縁する気は一切なく、キャンドルアーティスト・マサシとの新たな恋に向かっていったあみ。そんな彼女に未練を残すこうへいが何をしたかといえば、二人の恋を邪魔することではない。まだ好きであるという気持ちを素直に伝え、あとはあみの意見を尊重すること。あみに貸した上着を「マサシに悪いから」と返された時も、不機嫌な態度を一切見せず、むしろ彼女を気遣った上で「自分が一番(あみへの)気持ちがあると思う。でもそれを決めるのはあみだし」と伝えたのは、こうへいなりの反省がそこに含まれていたように思う。たとえ意見が違っても、それはそれとして、いつだって相手の味方でいる姿勢を貫いたこうへい。その結果、あみはこうへいと再び同じ道を歩むことを決めた。

 あみが変わったこうへいを受け入れた一方で、俳優のマイは起業家・ダイキの変化を受け入れることができない。二人の場合、別れてから収録が始まるまでの間に10年もの歳月が流れており、再会を果たしたときには色々なことが変わっていた。昔はお金がなくても二人で楽しめていたのに、大人になって再会したら相手はすっかり成功者になっていて……なんてドラマみたいな展開だ。マイがダイキに感じた「私は昔のあなたが好きだった」という気持ちも感情的には理解できる。だけど冷静になってみれば学生時代と社会人になってからでは金銭感覚や考え方が変わって当たり前だし、むしろまったく変わらないでいる方が難しい。単純に価値観や性格が合わなくなってしまっただけなのだ。だけど、マイが残念に思ってしまった、変わってしまったダイキを大学生のありさは好きになった。若くして経営者になり、10代の頃にはなかった地位を築いたダイキは、ありさが俳優でモデルのきょうへいと付き合っていたころには得られなかった安心感を満たしたのである。マイにしてみればお金がなくても楽しかった頃に付き合っていた相手。時を経て自分の好きだった部分が変わってしまっていても、出会った時期が異なれば、変化したからこそ、その人を好きになる存在もいるのだ。

 そんなダイキの恋敵である、ありさのことがまだ好きで好きで堪らないきょうへいが、嫉妬やヤキモチで空回って自爆する場面には何度もヒリヒリさせられた。同じグループ内に所属している相手との恋愛では必ず味わうあのヒリヒリ感もこの番組の醍醐味だ。でも悪いことばかりではなく、みんなの輪の中にいる相手を見て今まで気づかなかった一面を知り、さらに好きになることもある。オーガニックスキンケアのマーケティングを行っているルカとアメリカンフットボール選手・よしひとの元カップルはその良い例だろう。ルカはよしひとに変わることを望んでいたが、蓋を開けてみれば復縁の鍵を握っていたのはルカの方だった。

 ……と、こんな風に考察しがいのある恋愛模様を見せてくれた5組のカップル。最初は「これって誰得なんだろう?」と思っていたが、意外にも意義のある番組となっていた。『ラブ トランジット』はすでに次の参加者を募集しており、10月初旬から撮影が始まるそうだ。別れてしまった相手との復縁をかけて応募するもよし、新たな出会いの場を求めて応募するのもよし、あるいは引き続き視聴者として番組を楽しむのもよし。いずれにせよ、本番組の新たな展開を期待したい。

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