『VALORANT』が重きを置く“カルチャーと体験”ーー2体目の日本人エージェント実装の可能性にも言及した開発者インタビュー
『VALORANT』チームが向ける、各国カルチャーへのまなざし
ーーゲッコーのエージェントトレーラーは、LAのストリートカルチャーにリスペクトを込めた映像と素晴らしい音楽が合わさり、ゲームのトレーラーを超えた素晴らしい出来栄えに仕上がっていました。新エージェントをプレイヤーとコミュニティに送り届ける際に意識していることはありますか?
Anna:ゲーム内にエージェントを追加するとき、そのエージェントの持つ文化を取り入れることは、我々にとってもっともエキサイティングなことのひとつです。それは単に“違う言語を取り入れること”だけでなく、そのエージェントの出身国に根付く音楽や食事をはじめとした文化など、多岐にわたります。
なので、エージェントを開発する際は、まずはそのエージェントのバックグラウンドを固めるために、さまざまな国の文化や風土を調査し、勉強するところから始めます。そうすることで、その土地が持つ食事や音楽、アートや街並み、その国の人々の振る舞いといった様々な要素を取り入れようとしているからなんです。
はじめに私たちが『VALORANT』をリリースした当初、最初に12人のエージェントをデザインしました。しかし、その頃はまだエージェントに文化を反映させることについて手が回っておらず、うまくできていたかと言われるとわかりません。しかし、3年間『VALORANT』の運営を続けて、ようやくいい感じにコンセプトが馴染んできたと感じています。
ーーエージェントトレーラーなどのクリエイティブに関して、開発チームからはどのような要望を出しているのでしょうか?
Anna:ゲームプレイのチームとしては、単にストーリーだけを表現してほしいというわけではなく、実際のゲームプレイやそのエージェントの本質がトレーラーに表現されているかというところに特に気を遣っています。なので、クリエイティブチームにもそういったエージェントの核となる部分を共有して、しっかり映像と体験が合致するよう依頼を出すことが多いです。
実際にトレーラーを作るチームでは、それを受けて、全体の雰囲気やトーンを映像に盛り込もうと協力をしていくんですけれども、やはりうまくいかないこともしばしばあります。なので、そういったときは、開発チームとクリエイティブチームでしっかり話し合い、一丸となって作り上げていくスタイルをとっています。
ーー最後に、私を含め日本のプレイヤーが気になっているであろう質問をさせてください。今回『Masters Tokyo』が開催されたことや、「オニ」や「No limits」スキンなど、ゲーム内でも「日本」を意識したようなデザインを強く感じます。ここまでくると、次はヨルに続く2体目の日本人エージェントが実装されるのでは、と期待してしまいます。実現の可能性はあるんでしょうか?
Anna:現状の具体的な計画はありませんが、エージェントは20人以上追加する予定ですよ!(笑)。今後追加するエージェントの構想は数多くありますが、1カ国につき1エージェントという縛りを課しているわけではなく、ひとつの国からたくさんのエージェントがでてもいいと思っています。そして、もちろん日本はその可能性が充分にある国ですよ。
【写真】新エージェント「デッドロック」や新モード「チームデスマッチ」のゲーム内画像
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