“パワータイプ”の人気VTuberがパズルゲームの運命を変えるまで 『Q REMASTERED』ヒットの理由を分析

『Q REMASTERED』ヒット分析

シーンと一体となりWIN-WINの関係を作り上げることが成功の鍵?

 5月3日からは『Q REMASTERED』のSteam版が配信開始されており、Nintendo SwitchだけでなくPCからも本作をプレイすることができるようになった。

 Steam版ではコントローラーはもちろん、キーボード・マウスでの操作にも対応しており、ポータブルPCゲーム機『Steam Deck』などでのタッチ操作にも対応している。

 さらに、Steam版では新機能として「IQ診断モード」が搭載され、専用ステージをプレイするとプレイヤーを分析したグラフが出力されるようになっている。

 実際にライブ配信やプレイ動画を視聴したり、あるいは本作実際にプレイしてみた方であればお分かりかもしれないが、このゲームに求められるのは「パズルゲーム」という響きから連想される知的遊戯のセンスよりも、「脳筋プレイでいいからムリヤリにでも答えてやろう」という、ある種「気合」とでも呼ぶべきプレイングが重要になる。

「問いかけられたら答えを返す」「答えがスマートみつからないのであれば、どのような形であってもひねり出す」。それがこのゲームの本質なのだ。

 栗田曰く「『Q』は解き方を考えずに作るほうが、答えが透けて見えないため良問になりやすい」とインタビューで答えているように、答え方が分からない・思いつかないような問題も沢山ある。そうしたパズルゲームにあるまじき「型破りな自由さ」が、樋口楓のような「型破りなリアクション芸」を得意とするライバーと惹き合わせたのかもしれない。

 冒頭でも述べたように、本作を制作した栗田祐介は『空気読み。』を制作したクリエイターである。こちらの作品は長きに渡ってVTuberシーンで定番タイトルとして扱われ、幾度となくゲーム配信でプレイされつづけた作品だ。

 『Q REMASTERED』のヒットを受けてからのSNS上での動き・立ち回りは、前述したような「みんなやってて流行ってるなと思って……」というプレイに至る動機をさらに強くするもので、『空気読み。』と同じように配信者・ファンから愛されるキッカケ・理由となりうるだろう。

 金銭が発生する契約を交わして「プロモーション案件」として配信で取り上げる形ではなく、自然発生的に盛り上がっている流れにむしろ自分たちが飛び込み、シーンと一体となるように動いていく。

 すべてのゲームがこういった“幸運”に恵まれるわけではないが、思い切った決断とWIN-WINな広告活動により、もしかすると本作は今後『空気読み。』に並ぶくらいの定番ゲームとしてシーンに浸透していくかもしれない。

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