“パワータイプ”の人気VTuberがパズルゲームの運命を変えるまで 『Q REMASTERED』ヒットの理由を分析
『Q REMASTERED』の名がVTuberシーン全体へと波及していくまで
樋口楓が2月初旬にプレイしたあと、2月26日に不破湊が挑戦。3月1日には椎名唯華がプレイし、3月6日には不破が2度目の挑戦をする横で、本間ひまわり、フレン・E・ルスタリオも配信することに。1日に3人ものライバーが『Q REMASTERED』をプレイしたこの日以降、本作はにじさんじ内でじわじわと流行していった。
にじさんじ所属のタレントは、お互いに「どんなゲームをプレイしているのか?」と観察することが多く、プレイするきっかけについて問われれば「みんなやってて流行ってるなと思って……」とハッキリ答える者も多い。
そういったことも影響してか、本作は3月には42回、4月には25回と、かなりの回数にじさんじ所属のタレントがプレイすることとなった。配信でプレイされた回数だけで言えば、『Apex Legends』『Minecraft』といった定番ゲームにも負けていないだろう。
VTuberシーンでも影響力の強いにじさんじのメンバーがこぞって配信でプレイした少し後からは、にじさんじと同じくシーンを牽引するホロライブでも『Q REMASTERED』が流行し始める。
ホロライブでは兎田ぺこらが3月26日に一番手で配信すると、その翌日からホロライブ所属のメンバーが次々と配信上でプレイ。さくらみこや白銀ノエルらといった国内メンバーだけでなく、ハコス・ベールズや森カリオペといった海外メンバーもプレイし、3月から4月にかけての一ヶ月と満たない間になんと27人もの所属メンバーがプレイすることとなった。
数十万人〜百万人レベルのチャンネル登録者を誇るにじさんじ・ホロライブの面々は、生配信をおこなえば数千人から数万人近くが視聴者としてリアルタイムに集まる大人気のコンテンツだ。
そんな彼ら/彼女らが一気にプレイしたことで、『Q REMASTERED』はにじさんじ/ホロライブ以外のVTuberシーンやゲーム配信者にも注目され、本作は配信界隈のいたるところに登場するようになったのだ。
兎田ぺこらやさくらみこが同作をプレイした際には、視聴者が一気に公式サイトをチェックし、その影響でサーバーがアクセス過多状態となりついにはダウンしてしまうほどであった。“これぞインフルエンサー”ともいうべき圧倒的な影響力であろう。
にじさんじ・ホロライブの影響力により、VTuberやゲーム配信者の間で一気に名前が広まった『Q REMASTERED』。本作のオフィシャルもその影響力によって生じた“波”を巧みにキャッチしており、それぞれ配信開始前の予告ツイートや配信が終わったあとの感想ツイートなどに、リツイート・コメント付きリツイートで反応している。
にじさんじ・ホロライブといったトップランカーだけではなく、デビューして間もない個人VTuberであっても同じように丁寧な対応をしているので、もはや「『Q REMASTERED』のTwitterアカウントを見ればまだ見ぬVTuberに出会える」といった状況だ。
それだけでなく、お目当てのVTuberがライブ配信している場所に登場し、リスナーと同じようにヒネリの効いたコメントを残していくこともあるほどだ。
ライブ配信、それもゲーム実況という場に開発者本人がやってくることは珍しく、コメントまで残していくのはとてもレア。しかも、ときにはスーパーチャットでコメントを残すほどであり、配信者本人・見ているリスナーも「本人!?」と一様に盛り上がる。
ここまで配信者フレンドリーな(それもリスナーに近しい目線で楽しんでいくような)ゲームクリエイターもほかに類をみないのだ。