『Weekly Virtual News』(2023年4月17日号)

新規VTuber事業に企業VTuberスタッフ、アイマス新プロジェクト――新年度スタートとともに始まる新展開

全員デビューか、プロジェクト凍結か。試金石としてのアイマス新プロジェクト

PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)発表会

 「アイドルマスターシリーズ」の新たな展開として、昨年12月末に発表された『vα-liv』の全容が明かされた。

 プロジェクトの大筋は、「アイドル候補生が配信を通じてデビューを目指す」というもの。視聴者をプロデューサーと定義し、その投票をもってアイドル候補生は支持を獲得していくとのことだ。そして、支持率が一定値に届かなかった候補生はデビューできない。いわば公開オーディション番組である。

 そしてアイドル候補生だけでなく、『vα-liv』というプロジェクトそのものも評価対象となっている。プロジェクトが支持を得られなければ、プロジェクトそのものの終了もあり得るとのことだ。そのシビアさからかつてVTuber業界を騒がせた「バーチャル蠱毒」を思い出した人も多いようだ。

 とはいえ、「確実に一人に絞り、それ以外は消滅する」という方式だった「バーチャル蠱毒」と比較すると、全員デビューもあり得る点では厳密には異なる。それでも「最悪推しが消える」という可能性は、トラウマの喚起に十分だろう。

 「好きなアイドル候補生のデビューを賭けて応援する」という行動をファンに要求するコンテンツは、大きな熱量と引き換えに、ファンの消耗も激しくなる可能性を孕む。「全員デビュー」という華々しく結果にたどり着くか、プロジェクト終了という憂き目を見るか。良くも悪くも「試金石」の色を、『vα-liv』からは感じる。はたしてどう転んでいくか。本格始動は5月からを予定している。

ホビー業界もVRに。ホビージャパン公式ワールドがVRChatに登場

『ホビージャパン駅前商店街』オープン記念イベント生配信

 VTuber業界だけでなく、ソーシャルVR業界にも新たな勢力が上陸してきた。ホビー業界の有名どころ、ホビージャパンだ。4月12日に『VRChat』に公式ワールド「ホビージャパン駅前商店街」を公開し、VR事業への参入を開始したのである。

 「ホビージャパン駅前商店街」は、ノスタルジックな雰囲気が漂う駅前の商店街だ。軒を連ねるのはライトノベルが並ぶ書店や、ボードゲームショップ、プラモデル製の商店に、塗装ブースなど、ホビージャパンにゆかりのあるものばかり。そのいずれも、「手でさわって楽しむ」ことを重視したギミックが多く仕込まれており、ホビー業界らしい遊び心にあふれている。

 そして、公式ワールドをとりあえず出すだけでなく、このワールド内で新作ボードゲームの体験会を開催したり、ゆかりのイラストレーターを起用したオリジナルアバター制作も企画しているとのことだ。実際に関係者に話を聞いてみたが、VRが純粋に好きなスタッフが、やりたいことに純粋に取り組んだ結果、こうした展開になったようだ。

 趣味人の集まる企業による、遊び心と楽しむ心にあふれたVR参入は、もしかすると次なるVR/メタバース事業参入のモデルケースとなるかもしれない。まずは、4月26日に開催予定のボードゲーム体験会がどうなるか期待したいところだ。

VTuberをめぐる法律トラブルの難しさとは VTuber法務の専門チームを立ち上げた弁護士に聞く

2022年3月、弁護士法人モノリス法律事務所は、VTuber法務の専門チームを発足した。同事務所はもともと、YouTuberのみ…

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