メタバース普及によって「増える仕事」と「減る仕事」は? 専門家が語る、“メタバース定着後の未来”と“日本での普及が滞る原因”

専門家が語る“メタバース定着後の未来”

「メタバース内でのコミュニケーション」という選択肢も生まれる

――ここまで“メタバースが普及する“という前提でしたが、「メタバースは本当に定着するのか?」と不信感を抱いている人もいます。実際にメタバースはどこまでの広がりを見せると思いますか?

井上:インターネットも当初はそう言われていましたが、いま現在インターネットが娯楽や仕事、教育で欠かせないものになりました。このケースと同様、メタバースも娯楽や仕事、教育で欠かせないものになると思います。メタバース内の娯楽や仕事、教育の量が、現実空間の量を上回っていく可能性さえあります。ただ、完全にそうなるのは2040~50年ごろかなと思いますので、まだまだ遠い話です。

――また、メタバースに不信感を持つ人の中には、運動不足による身体的な問題、対面でのコミュニケーション不足による心理的な問題などのリスクを懸念しています。そういった問題が生じるリスクはどの程度ありますか?

井上:運動不足についてですが、メタバース内で運動する試みはいくつもあります。例えば、メタバースというよりゲームではありますが、『フォートナイト』では筋トレしないとクリアできないゲーム『TOKYO WORKOUT DEATHRUN』が設けられています。ただ、一般的には外出しないことによる運動不足は深刻化するかもしれません。

――コミュニケーション不足はどうですか?

井上:相手の身体がすぐそこにあるかどうかが、現実とメタバースに違いがあります。しかし、「現実でのコミュニケーションのほうがいい」という人もいれば、対面だと緊張してしまうため「メタバース内でのコミュニケーションのほうがいい」という人もいるでしょう。

――得手不得手を理解して選択すればいい?

井上:はい。自分が得意なコミュニケーション方法を選択することで、よりよい社会にできる可能性があります。また、相手の表情がメタバースではわかるため、SNSよりは喧嘩は起きにくく、気を病むことなく楽しくコミュニケーションがとれそうです。

――大きいリスクとして何が現状想定されていますか?

井上:現在海外で危険視されているものとして、仮想世界と現実世界の区別がつかなくなる“ファントム・タイムライン症候群”、メタバースに入り浸る“メタバース中毒”などが挙げられます。これらに対するケアは、現在の“スマホ依存症”に近い形で課題となってくるでしょう。

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