三菱自動車『アウトランダーPHEV』は使い勝手抜群の万能選手

三菱自動車『アウトランダーPHEV』

 2021年末に発売開始され1年が経過した現三菱自動車の旗艦車、『アウトランダーPHEV』。先代よりも大容量のバッテリーを持ちつつも3列シートも選択できるようになったことなど基本体力や使い勝手が向上した。今回はそんな同車を分析してみた。

存在感あるデザイン

 『アウトランダーPHEV』は世界初の4WDプラグインハイブリッド車としてデビュー、先代をさらに進化させてきた現行モデルは2021年12月に発表された。リリース通り堂々とした存在感、そしてデザインコンセプトには三菱のデザインアイデンティティ「ダイナミックシールド」を採用した佇まい。見た印象は現三菱のフラッグシップモデルらしく落ち着いた雰囲気も併せ持っている。特に横から見た時に窓の下端部分、いわゆるベルトラインの位置が先代よりも高い位置で水平基調になっているからよりそう感じさせる。リアビューは特長的な横長のテールライトのほか、それを囲むような六角形のテールゲートはタイヤを背負ったパジェロ伝統のリアスタイルをモチーフにしている。ボディサイズは全長が4710mm、全幅1860mm、全高1745mm。日本では大きな分類になるが、旗艦モデルとして考えればかなり使いやすいサイズに収まっているのも人気の秘密だ。

PHEVでも3列シート

 インテリアは先代では設定のなかったPHEVモデルの3列シートをMグレード以上に設定されている。この3列目は「大人が座れる」スペースを謳うが、普段から使わないのならば、床下に格納してしまうと広大な荷室になる。

 インパネはSUVらしく車体の傾きを掴みやすい水平基調のデザインで、メーターは12.3インチのフル液晶ディスプレイ。触れる部分にはソフトパッドが多用されその質感も高い。特にPグレードのセミアニリンレザーは見た目はもちろん座り心地も高級感がある。前席のシートヒーターは全モデルに標準装備だ。

走りの三菱は健在!

 『アウトランダーPHEV』のパワートレインは2.4リッター直列4気筒エンジンに前後に85kWと100kWの出力を持つ2つのモーターを組み合せたもの。エンジンは基本的には発電用に使われるが、モーターが不得手とする高速域などではエンジンで走行しモーターがアシストする。エンジン出力は98kWだ。モーターのみで走行できるEVモードは満充電であれば約80km以上の航続が可能になっている。実際に走らせるとアクセル操作にリニアなモーター駆動のそれだ。希望する速度域までスムーズに加速できる。それでいて微速域でも操作に忠実なので車庫入れなどの段差を超える時でも扱いやすい。またバッテリーがある間は基本的にバッテリーのみの走行をしようとする。

 ドライブモードは路面状況や走行状況、あるいは乗り手の気分にあわせたノーマル、エコ、パワー、ターマック、グラベル、スノー、マッドの7つが用意されている。各モードを選択するとエンジンやモーターの出力の出方をはじめ、4WD、AYC(左右輪間の駆動/制動力の制御)、パワステ、トラクションコントロール、ASC(横滑り防止装置)などを制御。最も多く使うであろうノーマルの特徴は前後駆動配分をフロントよりにするが走行安定性確保のためリアも駆動。この時に加速やステアリング操作を行うと自動で最適な駆動配分になる。エコは文字通り。パワーはレスポンス重視。ターマックはAYCの効きが最も強いコーナリング重視。グラベルは低μ路でも安定させる味付けで、スノーはパワーの出方が絞られ、トラクションコントロールなどの効きが強くなる。そしてマッドは文字通りぬかるみ路想定のトラクション重視だ。なお、筆者はせいぜい前者3つのモードだけで、7つものドライブモードは正直多すぎて使わないだろうとデビュー当時の試乗会では感じていたが、「雨天時でも使い分けると疲労が違いますよ」と三菱の担当者に言われ、実際にその通りであった。

 そしてもうひとつの走りの魅力は三菱がランサーエボリューションシリーズでラリーを戦っていた頃から培ってきたS-AWCが組み合わされた4WD技術が搭載されていること。S-AWCは4輪の駆動力や制動力を最適に制御するデバイスだ。発表時の試乗会ではダートコースも用意されており、そこを走ったのだがクルマは終始安定傾向。そこでグラベルモードにしてコーナーリング。フロントに荷重があればアクセル操作だけでクルマが曲がって行く。意地悪くリアを流すようにしても前に進んで行く、この感覚は少しばかり大きくて重いが、まさにランエボ。減速度を0から5まで設定できるパドルシフトを操作すればアイポイントが高いスポーツカーみたいだ。

 このほかにも魅力のあるアウトランダーPHEVだがそれに気付いてくれたのはなんと、最近クルマの楽しみに目覚めたというモデルの森さんだ。車ユーザーとしてはライト層になる彼女が気付いた『アウトランダーPHEV』の魅力は改めてご紹介しよう。

 

◎参考情報

アウトランダーPHEV
価格484万1100円から
三菱自動車
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/

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