Amazon Musicのポッドキャスト制作スタジオ 「Wondery」が日本で本格始動 落語家・春風亭一之輔氏も登壇した記者会見レポート
ニッポン放送つながりで『ビジネスウォーズ』に出演
発表記者会見の後半では、柴田氏と春風亭一之輔氏によるパネルセッションも行われた。登壇した春風亭一之輔氏は『ビジネスウォーズ』制作の裏話として、同番組に出演することになったきっかけを次のように述べた。
「ニッポン放送(『ビジネスウォーズ』かつ春風亭一之輔の看板番組である『春風亭一之輔 あなたとハッピー!』の放送局)で、コロナ禍で仕事が減って暇そうにしていたんです。その際、同局のスタッフが1人しゃべりができる落語家を探しており、ご縁があってビジネスウォーズに出演することになりました。この番組は固い内容のため、落語家が案内役を務めたらどうなるか、その反応を見てみたかったんだと思います。」(春風亭一之輔)
ポッドキャストに生かされている落語の技術については、「物理的にどれぐらいの距離感で喋ってるかなど、落語の場合は目線や声のトーンで全部表現する。そういう技術は落語家がポッドキャストをやる上で生かされていますね」とコメント。その上で「ただ、ポッドキャストは落語のように日常会話的にしゃべるのではなく、原稿どおりにはっきりしゃべった上で生きた言葉にしなければいけないところが難しいところです」と落語との違いについて付け加えた。
一方、柴田氏は『ビジネスウォーズ』を日本のリスナーにとって魅力的なものにするための工夫について、次のように述べている。
「英語でのオリジナルコンテンツをそのまま日本語にしてしまうと英語の表現は冗長なところがあるので日本人には伝わりにくいところがある。それを簡潔な表現に置き換えることで日本人にも伝わりやすくする工夫をしています」(柴田)
最後に春風亭一之輔氏は『ビジネスウォーズ』を通して感じた「ポッドキャストというメディアの可能性」について、こう語った。
「イヤホンで音だけを聴いていても何か楽しい"というのは生活の中のちょっとした時間でもできること。たとえば、駅まで歩く5分でも、電車に乗っている30分でもできます。そして、イヤホンを外せばそこからまた日常に戻れます。隙間時間を無駄なく有意義に過ごすというとちょっと固い表現になってしまうが、気持ちをリラックスさせる意味でもポッドキャストは楽しめる。耳だけで楽しめるエンターテイメントは、すごく人間の生活を豊かにすると感じています」(春風亭一之輔)
コロナ禍のステイホーム期間を経て、現在は多くの人が目と耳で楽しむ映像コンテンツだけでなく、耳だけで楽しむ音声コンテンツに対しても、より臨場感のある音質や物語に引き込まれるかのようなストーリー性が高い音声コンテンツを求めている。そういったこれまで以上に耳で楽しむことにこだわる日本のポッドキャストリスナーにとって、Amazon MusicとWonderyが提唱する没入感のあるポッドキャストは非常に魅力的な選択肢のひとつになっていくのではないだろうか。
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