ゲームとエンタメの融合は、より広がっていくーー『Apex Legends』に音楽とお笑いを掛け合わせた豪華イベント『e-elements DREAM MATCH』を観て

激戦を制し、優勝を掴んだのは山本彩軍団。 MVPに選ばれたのはELLY軍「ゴイゴイラブチ7」

 後半でおこなわれた第3試合は見どころが多数。キングスキャニオンの小さな家に魔王軍が勢揃いするという、普段の『Apex』ではありえない、軍団制ならではのシーンも見られた。渋谷ハル軍、狩野英孝軍が睨み合う格好となった終盤に、両軍のすぐそばで息を潜めている最中のことだ。

狭い建物に密集する魔王軍。アーカイブより

 やはり試合を動かしたのも、レヴナント、オクタンのアビリティを組み合わせた強襲。デストーテムを設置した渋谷ハル軍はジャンプパッドの加速も併用して一気に狩野英孝軍に迫る。狩野英孝軍がこれをなんとか撃退すると、どちらの軍が放ったかは不明だが「カタリスト」の「フェロバリケード」で戦線が分断される形に。

 戦闘が一瞬落ち着いたタイミングで、満を持して登場したのが先ほどから息を潜めていた魔王軍だ。キングスキャニオンの名物とも言える「漁夫の利を狙った別チームの参戦」はこのルールにおいても変わらない。デストーテムによる復活時は体力が半分減った状態で復活する仕様のため、弱っているスキを狙ったのだと思われる。その後は狩野英孝軍も参戦し、渋谷ハル軍は壊滅寸前まで追い込まれる結果に。

 一方、マップの反対側で交戦していたELLY軍と山本彩軍。戦況が混沌とした様相になるなか、またしてもshomaru7とうみちゃんらぶちがELLYに誤射してしまい、ELLYがダウン。これには思わず解説席からも「さぁここでshomaru!ELLYを上手く落としまし……た!?ELLYを落としているぞ!?」「アンタら何やってんだ!?」とノリツッコミのような実況が飛んでいた。

 エリア収縮が狭まり、各軍がぶつかり合うなかで生き残ったのは魔王軍。アーマースワップを繰り返したRasの活躍で見事に試合を制した。

魔王軍の名前の由来、あまりの実力から”魔王”とも呼ばれるRas

 ポイント差がそこまで広がらず、全ての軍団に優勝の可能性が残された第4試合。エリア収縮が迫るなか、試合を制したのは高所を維持した山本彩軍だ。なんと4部隊11人が生存するという好スコアを記録、キル数もガッツリと稼ぎ、みごと総合優勝を果たした。

総合優勝を果たした山本彩軍 配信アーカイブより

 その後は通常ルールでおこなわれたエクストラマッチを経て、表彰が行われた。また、MVPチームにはELLY軍の「ゴイゴイラブチ7」が選ばれた。団体戦・エクストラマッチでの総合的な活躍が評価されての選出だが、自軍リーダーへの2度の誤射というアクシデントによってある意味イベントを盛り上げたことも大きそうだ。

「ゴイゴイラブチ7」津田篤宏(ダイアン)、shomaru7、うみちゃんらぶちの3名 アーカイブより

 ちなみに、12人チーム制は参加者からも「楽しかった」という声が多かったようだ。観戦する側としても、『Apex』ならではのスピーディな展開が軍団制になったおかげでさらに迫力を増していて見応え抜群だったので、次回があるならばそれも楽しみにしたいところだ。

『Apex』ネタで8組のお笑い芸人が激突した『APE-1グランプリ』や、「ELLY」「天月」「Mori Calliope」らが披露した豪華な音楽ライブ

 本イベントでは、8組のお笑い芸人が『Apex』にまつわるネタを披露して賞レースを行う『APE-1グランプリ』も行われた。審査員は狩野英孝、シソンヌ・長谷川忍、そしてRepezenn FoxxのDJ FoyとDJ Waki、『Apex』プロゲーマーのRasと、元プロのあれるが務めた。

 それぞれの芸人がネタを披露し、優勝賞金は100万円という豪華なこの企画。優勝したのはなんと結成からまだたった4ヶ月という「ダックツアーズ」のふたり。『Apex』の"あるある"を中心としたネタで見事賞金の100万円を獲得した。

見事100万円を獲得したダックツアーズの2人

 ほかに、豪華なアーティスト陣による音楽ライブも行われ、ELLY、天月、Mori Calliopeらがそれぞれが5〜6曲づつパフォーマンスを披露し、会場を大いに盛り上げた。ELLYと天月はイベントにも出演しているのだが、当然彼らの本業はアーティストであり、そのパフォーマンスは一級品。レーザーなど照明による演出もバッチリで、まるで音楽ライブを見に来ているかのような感覚だった。

 個人的に印象に残ったのは、天月がMCで語った言葉だ。

「ちょうど『Apex Legends』がリリースされた頃からコロナ禍が始まって、僕ら音楽に携わる人間は大打撃を受けました。それでも形を変え、活動を続けてきました」

 もともとはニコニコ動画などにおける歌い手として活動をスタートさせた天月。順調にネットカルチャーのスターダムを駆け上がり、メジャーデビューを果たした彼だが、実は2020年4月に活動10周年を記念して行う予定だったワンマンライブがコロナ禍の影響を受けて中止しているのだ。

天月

 そんな彼の活動の幅を広げ、コロナ禍を支えたのもゲームであり、『Apex』だった。もともと天月は自身のYouTubeチャンネルでゲーム実況をしており、ランクではプレデターに達するなどゲーム自体がかなり上手な部類だった。そうしたこともあり、2021年にゲーミングチーム「Crazy Raccoon」へストリーマーとして所属することが発表された。その後おこなわれたCRカップなどではリーダー枠として活躍し、歌い手としてのみならず「ストリーマー」としてもその名前を広めてきた。

 天月のように、コロナ禍において「ゲーム」によって活動を支えられた人は多いだろう。ライブが出来なくとも、ファンと交流する場としての役割を配信に持たせることで自身の露出を増やし続けてたのだ。そして、それはストリーマーやタレントだけでなく、YouTubeやTwitchなどの配信を楽しみにしていた視聴者や、彼らのファンも同様のはず。その結果が、ゲーム市場が右肩上がりの成長を遂げた現在へと繋がっている。

天月

 今回の『e-elements DREAM MATCH』しかり、昨今開催されるゲームのイベントではゲーム好きの芸能人、ストリーマー、プロ選手が一堂に会する機会がどんどんと増えている。筆者は本イベントを観て、ゲームの大会もその様式を少しづつ変化させていくだろう、と感じた。天月が歌い手からストリーマーへと活動の幅を広げ、そしてまた歌手としてのタレントをライブで発揮したように、多くのエンターテイナーが「ゲームと自分のタレントを掛け合わせて人を楽しませよう」という新たなチャレンジを始めている。

 イベントとしての楽しさはもちろん、ゲームと様々なエンタメの融合という意味でも、今後への大きな期待を抱かせてくれた『e-elements DREAM MATCH』。YouTubeではアーカイブも公開されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。

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