Moeがライブ配信でクラシック音楽を発信するワケ 「楽器奏者にとっての選択肢の一つになれたら」

 ライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」で行われた「あなたの音楽を発信しよう♪Real Sound Techインタビュー出演権!」で、「Moe」が見事インタビュー権を獲得した。Moeは名前の通り、バイオリンでクラシック音楽を弾くことをメインにライブ配信をしているライバーだ。いろんな人の音楽体験を豊かにしたいと語るMoe。このインタビューを通して彼女のクラシック愛を受け取ってほしい。(Nana Numoto)

――「Pococha」を始める以前の音楽活動や経歴を教えてください。

Moe

Moe:私は5歳からずっとバイオリンを弾いてきました。東京藝術大学を卒業した後はフリーランスで活動し、オーケストラの一員として演奏をしたり、パーティーで演奏をしたり、歌手やアイドルの方のバックにつかせていただいたりすることもありました。特定の活動というわけではなく、いろんなところで弾かせていただいています。

――そんな中でライブ配信を始めたきっかけは?

Moe:コロナ禍の影響で、業界全体の仕事が減ってしまって。その時に身近な方がライブ配信を始めていたので、やってみたいと興味を持ちました。楽器を弾いて、その場ですぐにリアクションがもらえるというのは我々にとってレアな体験です。例えばコンサートでは、その後インターネットで感想を見ることはできても、その場ですぐに「すごい」「感動した」と言ってもらえることはほぼないので。 

――「Pococha」の中でもバイオリンを弾いているライバーさんは多くはないですし、しかもこれだけクラシックを演奏する枠は珍しいですよね。

Moe:ありがとうございます。クラシックのほかにもアニソンとサブカルのジャンルの曲を弾いていますが、楽器演奏をするライバーの中では、かなり多くの割合でクラシックを弾いている枠だと思います。「Pococha」ではアニソンやポップスなどのジャンルを演奏しているライバーが多いのですが、私の専門はクラシックですし、なによりクラシックが好きなので。クラシックをよく知らなくても、自分の演奏を通してリスナーさんに好きになってほしいと思い、積極的に演奏しています。

――実際の反響はいかがですか?

Moe:「いままでクラシックは聴いたことがなかったけれど本当にいいものだね」と褒めてもらうこともあれば、「これはCMで使われている曲だ」「これってクラシックだったの?」など、リスナーさんの新たな発見につながったりと、色々な反応があり手応えを感じています。クラシックの中でマイナーな曲を弾いたときには「よくわからないけれどいい曲だね」や、「またあの曲やってよ」と言ってもらえることも。リスナーさんの数だけ受け止め方の違いが生まれていて、そこがおもしろいですし、やっていてよかったなと思います。

――クラシックを普段聴かないリスナーさんに興味を持ってもらえるような工夫はしていますか?

Moe:私自身がわりとオタクで、アニメやマイナーな漫画もすごく好きなんです。そんななかでクラシックはアニメのモチーフとして使われていることが多く、みなさんあまり意識せずに聴いているということもあります。だから「この曲は、実はクラシックなんだよ」と伝えてから弾いたり、「これはアニメのあの部分で使われていたよ」など、興味を持ってもらえるような話を交えてライブ配信をしています。例えばサミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」は映画『プラトーン』や、TVアニメ『BLACK LAGOON』で使われています。あとは「Pococha」のリスナーさんにもクラシックファンの方がいるので、バッハの「パルティータ第2番」の「シャコンヌ」という15~16分くらいある曲を演奏するのですが「シャコンヌが聴けるのはこの枠だけだ」と喜んでもらっています。長いので曲の間に退室してもらってもいいですし、そもそも気軽に聴いてほしいという気持ちがあるので、それぞれのリスナーさんが自分の好きなように受け取ってもらえたらいいなと思っています。ただ、せっかく専門でやってきたので提供する音楽のクオリティは高いものを届けたいですね。

――オーケストラは複数人での演奏になると思いますが、ライブ配信のように一人対オーディエンスという形についてはどう感じていますか。

Moe:先ほどの話にも通じますが、リスナーさんがその場でコメントを使って感想を伝えてくれるのが嬉しいですね。「昔、伴奏した曲なんだよ」と自分の思い出を教えてくれることもあって、そういうコミュニケーションがいいなと思っています。

――それは素敵ですね。では、ここで「あなたの音楽を発信しよう♪Real Sound Techインタビュー出演権!」のイベントに参加しようと思った理由を教えてください。

Moe:同じ楽器ライバーがこちらのイベントで入賞したときの記事を読んだことがあって素敵だなと思っていました。ライブ配信を始めてちょうど半年経った時に、記念に何かイベントに出たいなと思ったんです。「Pococha」には色々なイベントがあるのですが、どうせなら何か発信できてみんなと共有できるものがいいなと思いました。みんなの目に触れたり、普段の活動をいろんな人に知ってもらえたりする機会にしたいと思ったので、こちらのイベントに参加しました。

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