国内外のZ世代は“常に作業通話”が当たり前? 「mocri」のTwitterトレンド入りから考える

 イーロン・マスクがTwitter社のCEOに就任(現在、辞任を表明中)し、Twitterの大幅な仕様変更が行われたことで、2022年末はソーシャルメディア業界にとって忙しない時期となった。12月16日にはTwitterの機能の一つである「スペース」が一時的に使用できなくなり、その結果として作業通話アプリの「mocri」が突然のTwitterトレンド入りした。これは作業通話の用途で利用されることの多かった「スペース」の代わりに、Twitter上で招待用リンクをツイートできる「mocri」を使おうとしたユーザーがいたことを示している。今回は、コンテンツの多様化に伴い近年ジワジワとシェアを伸ばす作業通話文化に注目し、国内外の例を交えつつ掘り下げていきたい。

作業通話はネットスラングと一緒に文化に

 気軽に通話環境が整い、約束なしで気心知れた友人と集まれる場所として、真っ先に「mocri」や「スペース」を思い浮かべる人は多いだろう。しかしその歴史は浅く、mixi(ミクシィ)社の「mocri」は2019年リリース、Twitter社の「スペース」に至っては2021年4月だ。ただ、それ以前から作業通話を行っていた人が思い浮かべるツールと言えば、「スカイプ(Skype)」だろう。 

 PCでの音声通話ツールが広く浸透した2016年ごろに、インターネット上でイラストを描くことを趣味とするユーザーに使われ出した言葉が「さぎょいぷ」だ。これは「作業」と「スカイプ」を掛け合わせた造語で、「スカイプ」の通話を繋げたまま作業することを意味している。「さぎょいぷ」は人気を博すものの、時代の流れによるプラットフォームの多様化とテクノロジーの進化により作業通話の場は様々なプラットフォームへと移行。YouTubeライブ、インスタライブ、「Clubhouse」など、映像、音声配信だけにとどまらず広がりを見せる。現在では「mocri」をはじめ、Twitterのスペース機能、「Discord」などを用いて、非常にカジュアルに使われている印象がある。

 実は作業通話の文化は日本のみならず世界的なものとなっている。YouTubeで「Study with me」と検索すれば、様々な国の配信者が淡々と勉強や仕事をこなすだけの動画が数多く出てくる。また「Study Together」という英語のサイトは、こうした作業用のストリームに特化したサービスを提供しており、学生を中心に社会人として勉強している人や、集中して作業に取り組みたい人が動画や音声配信をしながら作業することで助け合っている。「Study Together」はサイト内とは別に「Discord」でのコミュニティも有しており、そこでも作業配信や同じ科目を学ぶ仲間づくり、同世代で勉強を進める際の情報交換がなされているのだ。

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