年末年始の余暇に遊びたい、2022年に発売されたSwitch用ゲーム5選

年末年始の余暇に遊びたいSwitch用ゲーム5選

 年末年始、みなさんはどんな計画を立てられているだろうか。多くの人は実家に帰省するのではないだろうか。年末は『紅白歌合戦』でも観て、正月はおせちを食べ、初詣に向かい、地元の旧友に再会……、そんなプランを思い描いているはずだ。

 しかし、実際に帰省して困ることNo.1といえば、退屈である。そう、退屈なのだ。外に出かけようにも店は営業しておらず、ジムで鍛えようにもジムも閉まっており、インドア趣味をしようにも荷物が増える。あとはせいぜいスマホを片手に、寝転びながらテレビの間延びした漫才を観るか、薄っぺらい会話を親戚とするぐらいしかすることがない。

 もちろん、たまの休息は必要だ。しかしそんな休息も長ければ退屈という毒になる。そこで今回はそんな退屈をしのぐゲームを紹介したい。それも日常的に遊ぶスマホゲームでなく、正月のような休暇でなければ遊ばないような引きしまったゲームを、それでいて、「ネットなどインフラが整いづらい実家でも楽しむために、今回は持ち運びが楽なNintendo Switchの、それも携帯状態で遊ぶことを前提に」、おすすめのゲームを紹介したい。

 もしよければ、今回の記事で知ったゲームを1本でも購入して、甥や姪にお年玉を与えた後の間延びした午後を優雅に過ごしてもらえれば幸いだ。

ひとりで遊べるカルカソンヌ的ゲーム『Dorf Romantic』

 「カルカソンヌ」というボードゲームをご存知だろうか。道や山が描かれたタイルを1枚ずつめくり、それを敷いて地図を作るゲームだ。ここで面白いルールがあり、タイルごとに描かれた地形に矛盾があってはいけない。つまり、道が描かれたタイルは同じく道で結ばなければいけないし、山タイルの隣に突然街タイルを置くことはできない。そうして矛盾のない地図を完成させ、ポイントを一番多く稼いだプレイヤーが勝者となる。

 そしてここで紹介する『Dorf Romantic』は、このカルカソンヌを一人でも遊べるようにしたようなゲームである。次々にタイルをめくり、それをつなげて地図を作る。世界観はミニチュア化された中世ヨーロッパのようでかわいらしく、デジタルゲームなので川に水が流れたり、鉄道を繋ぐと列車が走り出したりと、見ていて飽きない。タイルをつなげることに夢中になっていると、みるみるうちにヨーロッパの街ができあがるのは壮観だ。

 『Dorf Romantic』の素晴らしい点は、カルカソンヌと違ってタイルの置き場所に制限があまりないことだ。山タイルの隣に突然街タイルを置いても問題ないので、かなり適当にタイルを置いているだけでも拡張できる。だが、しばらく遊んでいるうちに、矛盾によって生まれる変な地形が気持ち悪く感じる。ゲーム側が「ゲームオーバー」と言わなくても、自分が「もっときれいな街を作りたい」というモチベーションで、徐々に矛盾のない、美しい街並みを作るために努力しはじめるのだ。

 そのため、本作はカルカソンヌのように競うことも、禁止することもなく、一人でダラダラと遊ぶこともできるが、遊んでいるうちに長期的な区画整備を鑑みるようになるなど、一気に奥深い戦略ゲームになってくるのだ。

時間があるからこそじっくり没入できる『タクティクスオウガ リボーン』

 近年のゲーム業界では、過去の名作をリメイク・リマスターする例が増えており、『タクティクスオウガ リボーン』もその最たる例だ。1996年に『タクティクスオウガ』が発売され、そちらが高く評価されると、2010年に『タクティクスオウガ 運命の輪』としてリメイクされ、さらに2022年に『タクティクスオウガ リボーン』としてリメイク。「タクティクスオウガ」は約26年もの間、2度のリメイクを経て愛され続ける名作なのだ。

 そんな『タクティクスオウガ』の魅力といえば、紛争をテーマにした深刻なストーリー。本作の舞台は架空の世界、ヴァレリア諸島における3つの民族を巡る民族紛争。ディレクターの松野泰己が認めるように、このストーリーは1991年から続くユーゴスラビア紛争など史実の紛争をベースの一部にしており、現代でもウクライナで続く紛争を鑑みるに、(悲しいことに)そのストーリーの着眼点には一切古さを感じない。

 最大10人から構成されるユニットを指揮するゲームプレイは、ストーリーの深刻さと比例するように困難で、特に今作では新たに導入された数々の要素により、リメイク前の画一的な戦術はほとんど通用しなくなった。それにより「難しすぎる」という批判も一部であったが、攻略情報が口伝か攻略本だった時代から、誰でもネットで手に入る現代へ変わったことを鑑みるに、この変化は必然だったと思われる。

 いずれにせよ、『タクティクスオウガ リボーン』はストーリーもゲームプレイも骨太でありながら、近年の大作と比べて見下ろし(アイソメトリック)視点で、Nintendo Switchでも画面酔いなく楽しめる。休暇中にどっぷりと遊ぶのにもってこいな作品だ。

金のなる木を育てて時間が溶ける『Factorio』

 金はよい。しかし金のなる木はもっとよい。『Factorio』はまさに、金ではなく金のなる木を育てる快楽を凝縮したようなゲームだ。

 主人公は、得体のしれない原生生物が潜む星に墜落した人間。ロケットを作って脱出するべく、ロケットを作るための工場設備を作ることになった。最初は自分で木を伐採し、鉄を掘り起こすのだが、次第にそれらを加工する設備を整え、ベルトコンベアで各設備を繋ぎ、資源の採集から加工、製造に至るまで一本化していく。そして不労所得で生活ができる資本家に成り上がるのだ。

 『Factorio』はもともと、「Steam」で遊べたPCゲームだ。2016年に早期アクセス版がリリースされると、すぐ自動化・効率化を極めていく過程の中毒性が注目され、ゲームコミュニティで話題となった。その後も何度もアップデートによる拡張と改善が続けられ、2020年に正式にリリースされても人気はおとろえず、2022年に満を持してNintendo Switchで販売された経緯がある。

 もともと「時間が溶ける」「朝寝坊した」「留年した」と、歓びだか恨みだかわからない評判を呼ぶ作品だが、それがPCと比べて持ち運び可能、それも多くの人が持っているNintendo Switchでプレイできるのであれば、その被害し……ファンは一層増えるだろう。正月は、臨時で工場経営者になるのはいかがだろうか。

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