『The Games Awards』開催直前 「プレイヤーに影響や変化を与えたゲーム」のノミネート作品は?

『Endling – Extinction is Forever』

(開発 : Herobeat Studios / パブリッシング : Handygames)(PC / PlayStation / Xbox / Nintendo Switch)

Endling - Extinction is Forever // Release Date Reveal Trailer

 人類による環境汚染や自然搾取によって、ただ一匹だけ地球上に残された母キツネが主人公となる横スクロールアドベンチャー作品。可愛らしい子ギツネたちを飢えや襲撃から守るため、母キツネは自然や人類の脅威から逃れながら旅を続けていく。食べ物を求めてゴミ袋を漁ればプラスチックが首に絡まり、道を歩けば罠に足を取られ、ひとたび人間に出くわしたものなら即座に狩られて運命が終わる。その中でも、時には友好的に接してくれる人間と出会って救われることもあり、何を信じれば良いのかが分からなくなってくる。

 美しいビジュアルや音楽、なにより愛くるしいキツネたちの可愛らしさには癒しを感じられるが、選択を誤れば一匹ずつ子を失い、あるいは種そのものが絶滅するという壮絶な状況からは決して逃れることができない。果たして、あなたはどれほどの命を守り抜き、この物語の結末に辿り着くことができるだろうか。

『Hindsight』

(開発 : Team Hindsight / パブリッシング : Annapurna)(PC / Nintendo Switch)

HINDSIGHT - Release Date Trailer - Nintendo Switch

 生活の中で大切にしていた物や、家に長年置いてあるものを見つめた時、それに紐づく思い出が蘇ってくることはないだろうか。本作はそんな「物に宿る思い出」を巡るインタラクティブ・アドベンチャーだ。ある出来事をきっかけに実家へと帰ってきた主人公は、荷物を整理していく過程で、その物を通じて、生まれてから現在に至るまでの自らの人生を追想していく。

 母が渡してくれた物、父がよく触れていた物、毎日のように何気なくそこにあった物、なんとなく自分が好きだった物、嫌いだった物……。その一つひとつに思い出が存在し、当時は汲み取ることが出来なかったそれぞれの想いを、いまになって理解したりする。だが、やがて実家を出て自宅に帰らなければならない主人公は、すべてのものを持ち帰ることはできない。これまでに辿った思い出を追想した上で、プレイヤーは「本当に持ち帰るべき物」を選び、主人公に託すことになる。

『I Was A Teenage Exocolonist』

(開発 : Northway Games / パブリッシング : Finji(PC ※日本語未対応)

I Was a Teenage Exocolonist Launch Trailer (Available Now!)

 舞台となるのは、人類史上初となる太陽系外のスペースコロニー。物語が開始した時点で10歳となる主人公は、コロニーの住人である様々な友人や先生、両親らと共に、新たな生活の地となるこの場所で学び、探索し、開拓する日々を過ごしていく。プレイヤーは1ヶ月ごとに行動を選択し、自分も周りも成長しながら、10年にも及ぶ日々を体験することになる。

 とはいえ、この星自体は、元々は別の生物たちが住み、それらに適した環境だったはずであり、人類が住み、開拓をするということは、それらをおびやかすということにほかならない。予想もしなかった様々な出来事が起こるなかで、あなたはこのコロニーでどのように生き、どのような環境を作ることを選ぶだろうか。学校、冒険、恋愛、友情、研究、探索、全ての行動があなたの、そしてコロニーの運命を変えることになる。本作には20種類以上ものエンディングが用意されており、遊ぶごとに異なる結末を見届けることになるだろう。

 また、本作を語る上で重要なのは、キャラクタークリエイトにおけるジェンダー表現の自由度の高さだ。見た目のカスタマイズはできないが、主人公の性自認と身体的な性についてはボタンではなくスライダーによって設定できるうえ、テキストに登場する数十のジェンダーに関連する言葉をカスタマイズすることも可能となっており、「He / She / They」の選択はもちろんのこと、「親にどう呼ばれたいか」、「誰かの恋人になった時、どのように呼ばれたいか」などを一つひとつ選ぶことができる。もちろん、物語においても多くのクィアなキャラクターが登場し、進め方次第では恋愛関係に発展する(相手によってはポリアモリーの関係性を持つことも可能だ)。自分らしいコロニーでの生活を楽しもう。

 以上となる。一部の作品が日本語に対応していないことは残念だが、どの作品も様々な角度において「プレイヤーの考え方に何かしらの変化をもたらす」であろう傑作だ。『The Game Awards』の開催日は12月9日(日本時間)。主要部門はもちろんだが、ぜひ“Games for Impact”のような様々な部門にも注目していただきたい。

(画像=Steam)

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