令和の学園ドラマは生徒に“介入”してはいけない? 『覆面D』の熱血教師が生徒に見せた「希望」

『覆面D』の熱血教師が生徒に見せた「希望」

 関口メンディーの覆面レスラー姿が印象的なABEMAオリジナル連続ドラマ『覆面D』の最終話が放送された。本作は、教育の現場で夢破れた熱血教師・大地大輔(関口メンディー)が “教育困難校”に赴任し、再度体を張って生徒に向き合い続ける姿を描く社会派学園エンターテインメントである。

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 主役にEXILEおよびGENARATIONS from EXILE TRIBEの関口メンディーを起用したことをはじめ、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEからは武知海青が、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEからは松井利樹が出演。更には水沢林太郎、秋田汐梨、曽田陵介、紺野彩夏ら、人気の若手俳優が出演したことでも話題を集めた。だが本作において注目されたのは豪華出演陣だけではない。エンターテインメント性の高いストーリーの裏では、社会問題に鋭く切り込み、若者が直面する苦悩を生々しく表現した。では、なぜいま『覆面D』は高校生の貧困問題などを描いたのだろうか。

 実はこれまでも社会派ドラマを数多く制作してきたABEMA。『17.3 about a sex』では高校生を取り巻く性事情に切り込み、Z世代の視聴者にとって興味本位に留まらず、気づけば事の重大さをしっかりと認識できるドラマ作りをしてきた。これまでZ世代から根強い人気を誇る恋愛番組を強みとするABEMAだからこそ、ティーンの心情や取り巻く環境を誰よりも理解し、彼らに真っ直ぐに刺さるキャスト選定や物語を作ることができたのだろう。本作も「現代の社会問題を抱える若者にとって、学校という居場所や頼れる先生像とはどのようなものなのか。ドラマを通じて問題提起したい」との思いから制作されたのだという。

 『覆面D』は同様に高校を舞台とし、ティーンが貧困をはじめ妊娠、いじめ、自死など様々な問題と対峙する様子を描いている。また今回は熱血教師の大地大輔が問題を抱える生徒たちと向き合うことで解決を図ろうとする様子も丁寧に描写された。教師が生徒の個人的な事情に介入することが良しとされない今の時代。教育と福祉はより明確に分けられ、かつての金八先生のような存在はもはやドラマの世界ですら減ってきてしまった。それでも大地は果敢に生徒の問題に介入し、救いの手を差し伸べようともがく。本作は、ティーンにとって手を差し伸べてくれる大人がいるという救いの物語であると同時に、大人が若い人たちに何をしてあげられるのかという問いかけにも応えようとする作品だったと感じた。

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