令和の学園ドラマは生徒に“介入”してはいけない? 『覆面D』の熱血教師が生徒に見せた「希望」
『覆面D』が描いてきた「サポート」のユニークな点は、大地が生徒たちのプライベートに介入しながら生徒を救うと言っても、金銭の授受で解決を試みたり、生活態度を変えさせようと人々を矯正する物語ではないという点だ。大地がしたことは、あくまでも話を聞いて寄り添い、時に仲介する程度。例えばヤングケアラーである武藤(水沢林太郎)の場合、大地は生活費を貸すでもなく、家に金を入れない父親を更生させるわけでもない。そして小橋(紺野彩夏)や鶴田(曽田陵介)が特殊詐欺に加担した問題では、チンピラ集団から逃すような手助けはあったものの、警察への自主を決めたのは大地ではなく本人たちなのである。では大地は何をしてきたか? 彼がしたことは、教師やレスラーとして真っ直ぐ向き合い、全力で戦うことだった。そして自身の姿を見せることで生徒たちに与えたものこそが「希望」なのである。その「希望」は、1円にもならないが、金には変えられないほどの強い輝きを持って暗く閉ざされていた生徒たちの未来を明るく照らす。「希望」を持つことで一歩踏み出す勇気を得た生徒たちは、やがて自分なりの解決方法で、それぞれが困難を乗り越えようとしていくのである。
「サポート」の方法は多岐にわたる。募金、ボランティア、教育に携わる仕事をするなど、様々な選択肢があるだろう。その中で、『覆面D』があえて描いたのは、「生徒たちの心に訴えかける」ことだ。寄り添うこと、希望を見せることがどれだけ若い世代にとって重要なことかを改めて知ることができた。今回ドラマの中で明るみになった社会問題は、現実の世界でも多くの若者を苦しめている。そこで私たち一人一人の大人に何ができるのかと問われれば、大地のように真っ直ぐに生きる背中を見せて、明るい未来を切り拓けるのだという希望を彼らに託すことではないだろうか。ドラマを通して提示された問題ときちんと向き合い、生徒たちが答えを出したように、私たちもまた自分にできることを模索していきたいと感じた。
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