ゲーム好きが高じてキャラクター化も ロックバンド・L'Arc~en~CielとHYDEが業界に与えたインパクト

L'Arc~en~CielとHYDEが業界に与えたインパクトとは

 ビデオゲームとミュージシャンに深い結びつきがあることは、もはや周知の事実だろう。有名アーティストとのタイアップで生まれた多くのゲーム主題歌をはじめ、楽曲提供、ゲーム内BGM監修、さらにはゲーム作品の効果音を楽曲へ取り入れるサンプリング文化……などなど、こうしたムーブメントは数十年前から存在していた。

 なかでもヒット作品のゲーム主題歌は多くのユーザーにとって馴染み深い楽曲だと思われるが、今回は先日の記者会見(THE LAST ROCKSTARSの結成)でロック界を揺るがせたミュージシャン・HYDEと、彼がボーカルを務めるロックバンド「L'Arc~en~Ciel」(以下、ラルク)を取り上げたい。というのも、同氏および同バンドは楽曲提供にとどまらず、”作品への出演”という形式でゲーム業界にインパクトを与えてきたからだ。

『Don't be Afraid -Biohazard® × L'Arc-en-Ciel on PlayStation®VR』 ティザー映像第二弾

 本稿では、HYDEとラルクが携わったゲーム作品にフォーカス。具体例を取り上げつつ、その独創的な取り組みをご紹介する。

ゲーム好きが高じ、キャラクターとして登場 縦横無尽に走り回るL'Arc~en~Ciel

 ラルクと言えば1991年に結成され、その3年後に1stシングル「Blurry Eyes」をリリースしたロックバンドだ。数回の活動休止やメンバーの入れ替えを挟みつつも、31年にわたって精力的に活動してきた。ミリオンセラーを記録した「HONEY」や「花葬」をはじめ、TVアニメ『鋼の錬金術師』の主題歌としても知られる「READY STEADY GO」など、90年代から音楽シーンに絶大な影響を与えてきた。

L'Arc~en~Ciel「DRINK IT DOWN」-Music Clip-

 そんなラルクとビデオゲームとの出会いは、いまから23年前までさかのぼる。同年6月に発売されたプレイステーション(PS)用ソフト『グランディア』のCMイメージソングに、アルバム楽曲「It's the end」が採用されたのだ。以降、「fate」(ディノクライシス2)、「DRINK IT DOWN」(デビルメイクライ4)、「Don't be Afraid」(PlayStation VR向けMV)……と実績を積み重ねている。直近で言えば、10月27日発売の『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』に、HYDEの新曲「PANDORA」がテーマソングとして使われているのも記憶に新しいだろう。

 一方でタイアップ関連だけでなく、ラルクは”自分たちがゲームの世界に入り込む”というユニークな試みも披露している。その最たる例が、2000年7月に登場したPS用ソフト『激突トマラルク TOMARUNNER VS L'Arc〜en〜Ciel(以下、トマラルク)』である。

『トマラルク』プレイ画面

 『トマラルク』は、現ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発したレーシングゲーム『激走トマランナー(以下、トマランナー)』をベースとした作品で、”HYDEがトマランナーの大ファンだった”という経緯で誕生した。そのため、システムの大部分は『トマランナー』を踏襲しつつも、hyde・ken・tetsu・yukihiroというラルクメンバー全員をモチーフにしたキャラクターが登場している(ボイスも本人たちが担当)。

 「移動スピードが速く扱いやすいhyde」「押し合いに強いパワータイプのken」と、性能面もそれぞれしっかりと差別化。また、3等身で描かれたラルクメンバーそっくりのキャラクターがコミカルに走り回る様子はインパクト抜群で、元ネタの『トマランナー』の知名度を上回るかたちで好調な売上を叩き出した。また、発売後にはhydeと『トマラルク』でゲーム対決を楽しめる大会も開催。実力を示した参加者には、hyde着用の衣装などが贈られるという豪華な催しが企画された。

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