ネット流行語から感じる“年の瀬”の気配。しかし、バーチャル業界の一年を振り返るにはまだ早い?

ネット流行語から感じる“年の瀬”の気配

 年の瀬も近づいてきた。各所では2022年を振り返る動きもいくつか見られる。毎年恒例の「ネット流行語100」も、今年のノミネートが発表された。

 VTuber業界からは、やはりと言うべきか、壱百満天原サロメがノミネートしている。VTuberの歴史から見ても、これほどのスタートダッシュを遂げたプレイヤーは前例がない。多くの人が「今年特に目立ったVTuberは?」と聞かれれば、彼女の名を挙げることだろう。

 その一方で「ロマンスの神様フェイスダンス」もノミネートされている。『VRChat』発のミームともいえるものが、外へ飛び出して大きく人気を獲得したのも印象的な出来事だ。元ネタである広瀬香美も『VRChat』へ上陸したことで、バズワードとしてすっかり広まった”メタバース”に関心を抱く人もだいぶ増えただろう。

 この手の流行語アワードは、あくまで世間のいち側面を切り取ったものにはなりがちだが、大きな流れを再確認する上では参考になる。とはいえ、バーチャルな業界の、今年全体の振り返りはどこかでしておきたいと、個人的には思っているところだ。しかしながら、年末まで各所とも動きは止まらないかもしれない。

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 先週の比較的大きなニュースは、『VRChat』とクリエイターズマーケット「BOOTH」の提携だろう。アバターや対応衣装、ワールド向けアセットなど、数多くのアイテムが販売されている「BOOTH」だが、今回の提携で『VRChat』対応商品に公式ロゴが表示されるようになった。「この商品はVRChatで使える」と一目でわかるため、純粋に使い勝手が増すはずだ。

 あわせて、『VRChat』上に公式ワールド「BOOTH House」もオープンした。「BOOTH」にて販売されている『VRChat』向けアセットで構成された、どこかハイソでおしゃれな室内空間である。純粋に居心地がよい空間だが、それ以上に特筆すべきは配置されたアセットの名前、価格、販売ページリンクをその場で表示できるギミックだろう。いうなれば、ワールド全体が見本市のモデルハウスである。

 『VRChat』向けアセットを「BOOTH」で販売する流れは、これまでは利便性などを加味して生まれた文化ではあった。今回の提携が意味するところは、長らく醸成された日本のVRChat文化が、オフィシャルに認められた「市場」となったことだろう。

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