ロケットは「再利用可能」が焦点に 米航空宇宙企業の作戦、“発射”ではなく“回収”に注目
アメリカに本社がある航空宇宙企業Rocket Labは11月4日、ニュージーランドで小型ロケット『Electron』を打ち上げたが、ヘリコプターによる空中回収作戦「Catch Me If You Can」は中止を余儀なくされた。
ロケット第1段階の大気圏への再突入時にテレメトリ(遠隔測定)に異常が発生したことで、安全確保をすべく、ヘリコプターを退避させたとのことだ。
この計画の主なミッションである、スウェーデンの人工衛星を軌道に投入させることは成功していたが、ヘリの任務に巷の注目が集まっていたのだ。
今年5月にも同様の空中回収を試みたが、ヘリでキャッチしたところまではよかった。しかし想定外の負荷が生じたため切り離して海に着水させ船で回収することになったのだ。
今回も着水となり、乾燥させた状態でロケットを陸地に戻すことはできなかった。今後、改善を施して再度トライすることになる。
しかし、なぜそこまでして機体を保全しようとするのだろうか。理由は単純で、再利用するためだ。今、流行の「持続可能性」もそうだが、打ち上げの費用を下げるために必須のプロセスになる。あまりにも高額のため現在、大富豪か国家事業しかロケットは飛ばせない。
イーロン・マスク氏のSpaceXが開発するロケット『Falcon 9』は直立で降下しエンジンで減速させて着陸脚が開く方式を採っている。アプローチは全く異なるが、目的は一緒だ。誰もが宇宙に行けるように、べらぼうなコストを引き下げるためだ。
ところでこの作戦のタイトルはどこかで聞いたことがないだろうか。そう、2002年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の映画作品『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』と同じなのだ。
映画タイトルを和訳すると「やれるもんなら捕まえてみろ」といった挑発的なものだが、空中回収作戦は「できそうならキャッチしてね」的な少し柔らかい意味合いになるだろうか。
不可能を可能にし、夢が現実のものとなる宇宙計画には、映画のようなドラマがある。そう感じさせるタイトルだろう。
(画像=YouTubeより)
(source)
https://www.youtube.com/watch?v=PVTwEn9GdsA
https://www.rocketlabusa.com/updates/rocket-lab-successfully-deploys-152nd-satellite/
https://www.cnbc.com/2022/11/04/rocket-lab-live-stream-company-attempts-electron-booster-catch-with-helicopter.html
https://www.youtube.com/watch?v=Z4TXCZG_NEY&t=1s
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