お掃除動画は年末前が盛り上がる? YouTubeでお掃除チャンネルが注目を集めた理由
10月3週目、YouTubeの急上昇ランキングにお風呂場の掃除について実演・解説した動画がランクインした。YouTubeではライフハック動画も人気のコンテンツではあるものの、普段はあまり急上昇に登場しないお掃除動画がなぜ注目されたのか。今回はその理由を考察してみたい。
この動画を投稿したのは、元実演販売士でハウスクリーニング店「お掃除の錫村」を経営する錫村氏。「ロックオン錫村」の名で掃除道具の実演販売士として活動していた当時、1日で約 4,000本の洗剤を販売。プロデュースした水垢洗剤「茂木和哉」は2年間で110万本以上も売れるなど、とんでもない記録を作ってきた人物だ。
話題になっている動画は今月18日に投稿された、錫村氏がお風呂場の浴槽や鏡についてしまった石鹸カスや水垢をきれいに落とす実演と解説を収めたもの。この動画が411万回も再生されており、大ヒット動画となっているのだ(10月26日現在)。頑固な石鹸カスや水垢を落とすため、動画内で錫村氏が使用したのは、洗剤2種類とゴム手袋、軍手、そして鉢底ネット。汚れが目立つ浴室の蛇口周りや鏡を、洗剤をつけた軍手でピカピカにする様子は、見ていてなんとも気持ちがいい。なかでも、本来は掃除道具ではない鉢底ネットで浴槽にこびり付いた石鹸カスをもののわずか数分で落としたのは、目から鱗だった。
視聴者の反応を見てみると、まずは軍手と鉢底ネットという予想外のアイテムを使ったアイディアに驚いたという声が多い。お掃除のプロである錫村氏が、業務用ではなく一般の人々でも気軽に購入できるアイテムを使ったことへ好感を寄せる声も目立つ。印象的だったのは、掃除が苦手だという視聴者から、「掃除をしよう」とやる気になったという声が挙がったことだ。
「なぜこの掃除動画が注目を集めたのか」という理由については、前述した視聴者の感想以外にも、時期的なものが関わっていると考えられる。巷ではすでにクリスマスケーキやおせち料理の予約が始まっており、10月から少しづつ年末に向けた動きが感じられる。年末といえば「大掃除」も恒例で、その大掃除こそがこの動画が注目された理由のひとつだ。
錫村氏のチャンネルが開設されたのは、今年1月のこと。これまでの動画でも再生回数が100万回を超えているものがあるものの、ここまで注目を集め、再生回数が伸びたのは初めてのようだ。しかし過去動画をとってしても、換気扇やレンジフード、エアコンなど掃除に苦労する箇所のお掃除動画が投稿されており、もっと注目を集めていても何ら不思議ではない。
今回の動画のコメント欄をよく見てみると、「年末の大掃除で使いたいテクニック」のような反応がポツポツあり、視聴者たちが年末に向けた準備を始めようとしている姿勢が見てとれる。錫村氏のような、その道を極めたYouTuberが動画で紹介した商品は人気に火がつく可能性があるが、今から準備を始めておけば手に入れられる確率は高い。年末も休みなく働いている方もいる中でも、こういった点で、少し早く年末の準備に取りかかる視聴者たちがいることは、いち視聴者としても消費者としても納得だ。
上述の観点から、今回お掃除動画がYouTubeで注目を集めたのは、ただの偶然ではなく、時期的な要素が絡んでいると考えられるのだ。1年間に溜まった汚れを落とし、キレイな状態で新年を迎えたいという多くの人々がいるからこそ、YouTubeでは年末に向けて掃除動画がますます盛り上がっていくことが予想される。今回の動画は、こういった世の中の流れを常に把握し、「ここぞ」という絶妙なタイミングでコンテンツを投下することがバズらせるために如何に大事なのかを感じさせる1本だった。