朝倉未来が“格闘家YouTuber”として残した功績 メイウェザー戦への軌跡を辿る

 9月25日に開催される「超RIZIN /RIZIN.38」で、“生きる伝説”フロイド・メイウェザーと対戦する“路上の伝説”朝倉未来。プロの総合格闘家にして人気YouTuberとしても知られる朝倉未来は一体どんな人物なのか、YouTubeの動画から考察してみたい。

 朝倉未来がYouTuberとしての歩みを始めたのは、2018年5月のこと。2012年から総合格闘家としてキャリアをスタートした朝倉が、『THE OUTSIDER』で2階級を制覇、実績を積んでいた中での出来事だ。現在ではそのメインチャンネルの登録者数は273万人に達しており、サブチャンネルと個人チャンネル、歌チャンネルの総チャンネル登録者数は351万人を突破している(2022年9月19日時点)。

 そんな朝倉をYouTuberとして一躍有名にさせたのは、街の喧嘩自慢たちに朝倉が挑む「喧嘩自慢」企画。朝倉が格闘技の実力を見せつけたこのシリーズは、再生回数1000万ほどを誇る動画が複数本誕生するなど、朝倉のYouTubeでの代表作になっている。最近では、朝倉が実弟・海とともに監修を手掛ける1分間の格闘技イベント『BreakingDown』の一連の動画が人気を集めており、関連動画が投稿されるやいなや、多くのメディアがこぞって取り上げている状態だ。

 RIZINへの出場やスポンサー契約、YouTubeの収益で、ガッツリ稼いでいると言われている朝倉。富と名声を手にした朝倉は現在、自身の影響力を使い、格闘技界を盛り上げるための活動や、動物や児童施設などに寄付を行うなど、慈善活動にも熱心に取り組んでいる。朝倉のYouTubeでは、そういった活動や一度関わった人を大切にする朝倉の姿に胸を打たれた視聴者が日々増加しており、人気YouTuberとしての地位を確立していることが読み取れる。

 そんな朝倉と、ボクシングで50戦50勝&五階級制覇という記録を持つメイウェザーの対戦が発表されたのは、今年6月のこと。この対戦が決定した経緯には、RIZINが2020年11月にメイウェザーの日本での試合権利を持つ『MEGA』と協力関係になり、その後契約を引き継いだことにある。

 RIZINの榊原信行CEOは米国ラスベガスで行われた記者会見で、圧倒的な知名度と実力を誇るメイウェザーの相手に朝倉を選んだ理由について、「彼を迎え撃って戦える選手は未来しかいない」と告白。榊原CEOの発言からは、朝倉がYouTubeで獲得してきた人気と、2018年8月にRIZINに初参戦して以降、7連勝を含む10勝2敗という成績がメイウェザーとのマッチアップの決め手だったと推測できる。

メイウェザーと記者会見しました

 発表同日に朝倉のYouTubeチャンネルで投稿された動画では、メイウェザーとの対戦を決めた理由について朝倉が言及。MMAで世界を狙うにあたり、どの選手と対戦しても勝てるようにするためと説明している。今回の対戦で朝倉が常勝のメイウェザーに勝てば、朝倉の格闘家としての評価は間違いなく上がる。それだけでなく、海外の有名選手との対戦機会が増えるなど、朝倉が触れた“世界進出への扉”が一気に開く可能性があるのだ。

 ちなみに今回の対戦はボクシングルールで70kgという体重制限があったものの、体重制限のないフリーウエイト制に変更されている。体格差で優位な朝倉が少し有利になったため、朝倉の勝利も世界進出も夢物語ではなくなってきたのだ。

 さらにこの対戦で注視したいのは、朝倉の現役引退についてだ。朝倉はこれまで、YouTubeでたびたび格闘技とYouTubeの引き際について言及してきた。もともと30歳での引退を宣言してきた朝倉だったが、その30歳を目前に6月に投稿した動画では、「格闘技もYouTubeもあと1、2年だと思っていて」と発言。朝倉の今後の格闘家とYouTuberとしての人生はそう長くないこともあり、今回の対戦結果が進退に影響する可能性も否定できない。

 今回の試合を「最後のエキシビションマッチ」と宣言しているメイウェザーと、格闘家・YouTuberとしての終わりを近い将来に見据えている朝倉。8月31日にハワイで開かれた記者会見後に朝倉は、自身のYouTubeで「強烈な一撃入れますよ」と意気込みを語っている。朝倉は実力とYouTubeでの確固たる人気で掴んだ“伝説”級の対戦で、意気込み通りメイウェザーに一撃を加え、勝利を手にするのか……。歴史的な一戦をぜひ見届けていただきたい。

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